タカハシガリレイ(株)(大阪市、鳴田友和社長)はこのほど、アルコールバッチ式急速凍結装置をラインアップに加えた。大量、連続生産がかなうトンネルフリーザーで実績、定評のある同社だが、アルコールバッチ式を備えることで少量多品種にも対応、低温領域の生産をより幅広くカバーできるようになる。水産、食肉業界への導入促進を働きかけている。
帯広市の珍味製造・(株)江戸屋(塩野谷壯志社長、電話0155・33・8114)は、北海道産秋サケの皮を使った珍味「鮭皮チップ」が定番商品に成長している。特に本州で売れ行きが好調。昨夏に商品種を拡充し、新規取引先もつかんでいる。
東北経済産業局(仙台市)は、東日本大震災で工場などが壊れ、復旧のための補助金を国から受け取った青森、岩手、宮城、福島4県の事業者を対象とした調査結果をまとめた。売り上げが震災前の水準以上に回復した水産・食品加工業は約3割と依然低水準。原材料価格の高騰や漁獲量の減少、新型コロナウイルスの感染拡大など厳しい経営環境が逆風になっている。回復の鍵は新商品開発にありそうだ。
岩手県の2020年度アワビ漁が1日、解禁された。第1期(11月分)の上場(出荷予定)は137.8トン。事前入札の結果、10キロ当たりの平均単価は10万5464円と前年同期比22.7%下落した。需要国の香港で主力の干鮑(かんぽう)在庫が積み上がり、引き合いが弱い。不安定な政治情勢にコロナ禍が重なったことが背景にあるようだ。資源の減少も深刻な課題で、一部海域では今季も口開けを見送って回復を優先させる。
十勝管内のシシャモは総体的に群れが薄く、水揚げは苦戦を強いられている。十勝総合振興局のまとめによると10月25日現在の管内合計の数量は前年同期比38%減の93トンと低迷。薄漁を映し、浜値は主体の大サイズでキロ2千円台まで上昇。キロ平均単価は87%高の1817円に付き、金額(税込み)を15%増の1億6876万円に押し上げている。
コロナ禍の影響で末端消費に不安を抱えながらスタートした今季のホタテ消流。春先の巣ごもり需要に伴う量販店での販売と、テイクアウトを始めた回転ずしの消化が順調で、他の外食産業が低調ながら消費回復に向け前進している。しかし秋口からは原貝の歩留まり低下が著しく5S~6Sが増産、4Sを含む大型のフリー在庫はほぼ払底状態。輸出が期待薄の中、小型アソートの消化が今後の焦点となる。
噴火湾では水揚げ最盛期と新型コロナウイルスの感染拡大が重なったことから、中国向け冷凍両貝が停滞しボイル主体の製造に切り替わったものの、巣ごもり需要が追い風となり、売り場を縮小していた量販店の販売が好転した。今後は鍋商戦を迎える年末年始の消化に期待が掛かる。
留萌管内で生産した今年の稚貝は、4単協(増毛・新星マリン・北るもい・遠別漁協)合わせ前年比13%増の10 億8300万粒。来春はさらに微増となる見通し。一方、韓国向け活輸出は8割増と堅調に推移している。
青森県漁連は2020年度の最終水揚量を前年度比20%減7万5千トンと試算している。来年1~3月の成貝出荷は4千トン前後の見込み。最終金額は減産に加え半成貝、成貝の単価安も響き税込みで約3割減の90億円前後とみている。
三陸のホタテ養殖が苦境に立たされている。宮城、岩手両県の生産海域は近年、長期にわたり規制値を超えるまひ性貝毒が検出され、主力の活貝が安定出荷できない状況が続く。両県は出荷基準の緩和で打開を図るが、今季は新型コロナウイルスの影響も直撃。飲食店の休業による需要の落ち込みで浜値は3割下がった。出荷形態は生玉や玉冷にシフト。販売戦略の見直しを迫られる加工業者も苦悩の日々を送る。