北海道の秋サケは昨年並みの低水準の水揚げで盛漁期を過ぎた。今季ピークとなる見込みの中期も10月中盤から失速傾向となり、浜値は根室海峡でメスが高値キロ2千円台まで高騰。道総研さけます・内水面水産試験場の推定で前期実績は4年魚(2016年級)が77%、5年魚(15年級)が14%と、予測通りの年齢組成。平均目廻りが昨年より小型の状況下、昨年(約4万5千トン)超えは主群・4年魚の来遊水準が焦点となる。
道の駅「しかべ間歇泉公園」が販売する「根昆布だし 天然白口浜真昆布使用鰹節エキス入」(500ミリリットル、950円)が好評だ。貴重な鹿部産天然真昆布を贅沢に使い、清澄で雑味がなくすっきりとした味わいが特長。レシピなどの店内POPを充実させて訴求する。リピーターも多く、昨年9月の発売から1年で約1万本を売り上げた。
余市郡漁協のイカ釣漁はハシリから低調な漁模様で苦戦を余儀なくされている。今後は11月以降の戻りイカでの増産に期待を寄せる。
10月下旬は地元船1隻と外来船2隻が操業。20日に余市港で荷揚げしたいか釣部会の川内義一部会長は「全然獲れず、皆無状態。きょうも20箱足らず」と嘆く。「ハシリから数量が伸びない。全体でも昨年を大きく下回る」と厳しい表情を見せる。
また、「個人的には現在は前浜の水深100メートルの浅みで操業している。深みが特に芳しくない。カムチャツカ根で試しに操業している人もいるが、掛からない」と付け加える。
トラウトの養殖・加工事業を専門に行ってきたチリのカレタベイ社は、昨期からギンザケの養殖も開始し、製品ラインアップを拡充している。トラウトでは330年以上の歴史があり、日本への年間の仕向量はトップ規模。この実績と信頼を背景に、新商材となるチリギンでも日本市場への流通促進、定着を図っていく。
宮城県は、石巻市渡波の県水産技術総合センターに閉鎖循環式陸上養殖研究施設を整備する。サンマや秋サケなど主力となる冷水性魚類の水揚げが不調の中、加工原料の確保は喫緊の課題。温暖化による急激な魚種変動に対応しながら、栽培事業の高度化や新たな原料供給につなげたい考えだ。2023年度の運用開始を目指す。
鹿部漁協出来澗地区で新田邦雄さんが唯一着業するホヤ養殖は、主力の4年ボヤが順調に成長したものの、3年ボヤのへい死などもあり減産の見通し。価格は出荷2回目に上昇しキロ100円強で推移している。
昨年は5年ボヤも生産、全て合わせ約100トン出荷したが「今年は70トン出せれば御の字」と見込む。「現在出荷する4年ボヤは順調だが、今年は5年ボヤがない。3年は雑物の付着もあって成長が芳しくない。へい死もある」と今季の状況を説明する。
道南太平洋のスケソ刺網は10月1日に解禁したが、渡島・胆振ともシケ絡みで操業を阻まれる日も多く昨年を下回る低調な出足となった。いずれも深み主体の漁場形成でサイズは小ぶり。一方、薄漁や加工筋の仕事買いを受け、浜値は昨年に比べ高く推移している。卵の熟度が増す冬場にかけ漁模様が好転するのかが今後の焦点となる。
噴火湾では9月以降、表層から深い水深帯まで高い水温が長期間続いたことから、ホタテ養殖漁業者は成育への影響を不安視している。少なくても10月上旬まで表層から水深60メートルの水温が均一に20度程度となった。道総研函館水産試験場は「東風が長期間吹き、表層の温かい水が深い水深まで流入した」と説明、過去に例のない珍しい現象と捉えている。
いぶり中央漁協登別・虎杖浜地区のスケソ刺網は水深400メートル前後の深みを主体に始まり、キンキの水揚げが順調だ。価格も平均でキロ3千円程度と前年並みで推移している。
同漁協から集荷する(株)室蘭魚市場の担当者は10月上旬の段階で「多い日で200~300キロの出荷量。昨年に比べ少ないが、白老地区のスケソが始まっていない割に数量がまとまっている。サイズは若干小ぶり。中や小が多い」と説明。価格は約3千円で「コロナ禍の影響を受けず、引き合いが堅調。本州送りが多い」と現状の荷動きを示す。
日高中央漁協の採りコンブが終漁した。全地区延べ採取日数は昨年比92日増の161日と伸長。繁茂良好だった地区もあり、低調だった昨年に比べ増産の見通し。
鵜苫地区は繁茂良好で、向井進組合長は「今年ほどコンブがあったのは久しぶり。昨年を大きく上回る18回操業。切り上げ間近でも漁が減らず、最後まで同じペースで水揚げできた」と振り返る。