一般社団法人マリン・エコラベル・ジャパン(MEL)協議会は15日、東京都内で第5回通常総会を開いた。任期満了に伴う役員改選で再任された垣添直也会長は、日本発信のエコラベルへの関心が高まる一方、「漁業者への浸透は遅れている」とし、そこに向けた取り組みが今後の課題であると示した。 新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、総会を書面で決議する団体が多い中、MELが昨年12月のGSSI(世界水産物持続可能性イニシアチブ)承認後の初めての総会で、会員間で共有すべきことが多いことから、あえての会場開催であることを強調。「水産資源の持続的利用を推進するという熱意のもと、行政や研究機関、産業が一体となり、承認取得となった。関係者と力を合わせて守っていきたい」と語った。
遠別漁港で建設を進めていた新上架施設がこのほど完成した。船体を4台のホイストでつり上げ、シップキャリーで移動させるクレーン式を採用。旧施設の老朽化と課題だった漂砂対策が一度に解消され、安全かつスピーディーな上架作業が実現した。管理する遠別漁協の千葉光悦組合長は「作業の効率化、安全性の向上につながる大変素晴らしい施設が完成した」と喜んでいる。
水産業や漁村の振興を図るための諸活動を行う水産業・漁村振興議員連盟が12日に発足した。東京都で開いた設立総会では会長に立憲民主党の安住淳衆議院議員を選任。同議連は今後、日本各地の漁村や産地市場、加工メーカーを視察し、現場に直接触れ、各地の課題把握のために意見交換を行う。会長代行には国民民主党の渡辺周衆議院議員、副会長には同党の原口一博衆議院議員らが就任した。同議連は休止状態にあった旧民主党・民進党「水産振興議員連盟」を再構築したもので、発足時には約60人の議員が参加している。
根室湾中部漁協の単有海域(幌茂尻沖)のホタテけた引漁は、今年から本操業に移行、6月1日に水揚げを開始した。資源状況は良好でハシリから順調な水揚げで推移、10日現在で早くも計画数量の46%を消化した。5月には過去最高となる1200万粒の稚貝を放流。未利用海域の有効活用に加え、地元雇用対策と人材育成の側面も持つ新たな漁業として期待は高い。
斜里第一、ウトロ両漁協の春定置はトキサケの水揚げが振るわない。サクラマスは昨年より獲れている漁場があるものの、ニシン、ホッケなど他魚種も昨年より低調。6月に入ってブリが乗りだしている。
オホーツク沿岸の本操業は、南部でも6月から本格化した。紋別、常呂漁協は日産260トン、常呂は12日から320トンにペースアップ。10日現在の累計数量は3万4380トン。低かった歩留まりも10%台に上がった海域が見られ、浜値はキロ100円台に乗せる組合も出てきた。
厚岸漁協のさお前コンブ漁は、解禁日の10日に初水揚げを迎えた。今季は2日間、1日2時間半の操業計画。禁漁後の解放区で操業した長崎朝吾班長は「全般的にコンブが若く、すそ枯れも早い。資源調査通り下側(東側)は特に若い」と話す。
えりも漁協営業部販売課がネット通販を手掛ける塩水ウニが好評を博した。新型コロナウイルス感染拡大を受け、今春は「えりもうに祭り」や日高振興局が旗振り役で昨年初めて開催した札幌市での即売会も中止。4月と5月は外食需要が消失し通常出荷が苦戦した一方、ネット販売で一般消費者から多数の注文が寄せられた。
えりも漁協庶野地区のタコ空釣縄漁が9日で終漁した。年明け以降に主体となるヤナギダコは数量、価格とも振るわず、着業者らは「水揚げ減に価格安が重なり、とにかく厳しかった」と話す。
昨年10月に始まり、漁期最終盤の6月上旬は5隻が操業。同地区たこ部会の藤田慶二副部会長は「昨年末も年明けもそう変わらず数量が伸びなかった」と示す。
大日本水産会は9日、第124回通常総会を東京都内で開き、2019年度事業報告や収支決算などを承認。漁船更新の促進や漁業後継者の確保、魚食普及など20年度事業計画を決めた。また水産業界でも多大な影響を受けているコロナ禍からの早期脱却を図ることで意思統一した。
白須敏朗会長は「コロナ禍によりイベントや外出自粛など経済活動が制限され、インバウンド需要も見込めない。水産物の輸出入も大幅に減少し、養殖業者や加工業者への影響も深刻だ。海外で操業する遠洋漁業も休漁を余儀なくされている」と業界が直面している状況を述べた。
大日本水産会では4月1日に新型コロナウイルス感染症対策本部を立ち上げ、業界が抱える課題や要望をまとめ、政府・与党に働き掛けてきた。白須会長は「今後も業界の声を伝えていく。コロナに負けず、創意工夫で難局に立ち向かっていきたい」と呼び掛けた。