岩手県陸前高田市の広田湾特産、エゾイシカゲガイは100トンの生産が目標だ。天然採苗で養殖、2年で出荷サイズに育ち、すしネタとして高値で販売。唯一の課題となる採苗の安定が目指される一方、わが国の継続生産で「オンリーワン」となる「広田湾産イシカゲ貝」のアピール、ブランド力発揮にも力を入れる。市の支援が大きく、県も協力。今年は着業者が3人増加する。
豊洲市場の仲卸・有限会社倉田商店は、従来敬遠していた規格外の魚種にも着目し、利益を生む体制を整えている。競り場で定期的に出る買い手のつかない魚種に価値を見いだし、新事業であるケータリングサービスの原料に転換。さらに市場で開催のキッチンカー向けの原料供給などビジネスの場を広げている。
東日本大震災で被災した漁港施設の早期復旧のために開発された「プレキャストコンクリート製残置型枠工法」。工期短縮や計画的施工、潜水作業の安全性など従来工法である鋼製型枠工法の課題を解決でき、全国で老朽化した漁港施設の補修・補強工事で普及が進んでいる。漁港の使用制限期間の短縮や占用面積の縮小が可能で、漁業者のメリットも大きい。販売会社の共和コンクリート工業株式会社(札幌市)は道内の漁港工事での活用を提案、道も採用を検討している。
道北日本海の留萌管内4単協(増毛、新星マリン、北るもい、遠別漁協)で、地まき用の稚貝出荷が進んでいる。規定殻長の3.3センチは満たしているが全体的に小ぶりの傾向。出荷計画量は昨年より980万粒多い10億6300万粒。17日現在の計画達成率は54%と順調だ。
枝幸町の株式会社マルチカ須永水産(須永忠幸社長、電話0163・67・5535)は、簡便調理などの加工品開発で「枝幸ホタテ」の知名度向上に取り組んでいる。これまでクリームコロッケやグラタンを打ち出し、ネット通販やふるさと納税返礼品などでファンを獲得。さらに異業種連携で新たな商品づくりを進めており、将来的には海外市場の開拓も視野に入れている。
留萌管内のカレイ刺網は、3月後半からマガレイ主体に増産している。好調だった昨年を上回る水揚量で大半の着業者が反数を減らし漁獲調整。キロ300円で始まった浜値は、4月前半に他管内の水揚量も増えたことから100円台中盤と値崩れ。増毛以外の大サイズは道漁連が昨年より早い買い取りで底値を下支えしている。
厚岸漁協のニシンが好漁に恵まれ、4月10日現在の数量は前年同期比42%増の710トンと大幅に伸ばしている。ただ浜値は安くキロ数十円まで下げたこともあり、キロ平均単価は同49%安の102円に下落、金額は同27%減の7200万円にとどまっている。
株式会社マルヤナギ小倉屋(神戸市、柳本一郎社長)は、7月1日から昆布つくだ煮やとろろなど各種製品を値上げする。原料高騰に加えエネルギー、物流、包装資材、人件費など各コスト上昇のため。昆布製品で主力のつくだ煮は2011年以来の値上げ。
宮城県産ホヤは水揚げが増え始め、6、7月が盛漁期となる。暖かくなって需要が伸びてきたが出荷量にまで及ばず、浜値、市況とも昨シーズンを下回っている。韓国禁輸の「逆転敗訴」も影を落とす。仙台市場に直送する県漁協谷川支所谷川支部(石巻市)の馬場伸一養殖組合長は、今季の厳しさを覚悟しながらも望みをつなぐ。
寿都町漁協の有限会社マルホン小西漁業(小西正之代表)は数年前から取り組む船上活じめの進化に乗り出している。今春からサクラマスの2キロ以上を厳選し、「桜寿(おうじゅ)」の名称でブランド展開。脱血、海水氷を使用した冷却処理による鮮度・品質保持を基盤に独自のネーミングで訴求力を高め、道内、本州の消費地市場などで差別化に臨んでいる。