道内のほぼ全域で発生した今年の採苗不振を受け、道ほたて漁業振興協会(髙桑康文会長)と道漁連(阿部国雄会長)は5日、道、道議会に対し調査研究体制の強化を求める要請行動を行った。髙桑会長は「次年度以降も発生する可能性があるため早急な対応を検討してほしい」と求めた。種苗生産体制の構築が課題となる中、道総研水産試験場や道の水産技術普及指導所など調査研究機関の統廃合や人員削減が進み、新たな調査に対する人員配置が困難な状況下で、▽稚貝の採苗不振の原因究明▽海洋環境の変化などを踏まえた採苗技術の高度化▽ラーバの出現状況などの調査と情報提供の充実強化-を要請した。
陸奥湾で稚貝のへい死が昨年に続き発生した。夏場の稚貝採取は各漁協とも順調に進み例年通り確保したが、分散作業ではへい死が目立っている状況。地域差はあるが、終了間際の青森市漁協は確保できる稚貝を通常年の1~2割と想定。平内町漁協では3分の1程度とみている。
4日に始まった標津漁協のけた引は、20日まで日産平均36トンペースの水揚げ。例年よりやや低調に推移する中、浜値はキロ平均700円台と高値基調。仕向けは活貝とみられる。
小樽市漁協の稚貝本分散は、開始から6割程度の進ちょく状況だが、8月に行った仮分散後のへい死が一部に見られ、丁寧な分散作業に注力している。サイズは小型のため選別機で落ちる下の稚貝を再度施設に戻し、最後にあらためて分散し直すことも考えながら慎重に進めている。
成長を続ける青森県内有数の水産加工グループに新たな柱が加わった。陸奥湾ホタテ加工大手の株式会社マルイチ横浜(野辺地町、横濵充俊社長)が、定塩加工技術に定評のある株式会社ヤマヨ(八戸市、藤田和弘社長)と11月1日付で資本提携を締結。これによりマルイチ横浜グループは計6社となり、全体の売上高は150億円に達する見込み。天然資源の減少など厳しさが増す中、原材料の仕入れや販路の共有などスケールメリットを生かし、グループ各社の持続的発展につなげる構えだ。
渡島噴火湾で今春に垂下した耳づり貝の成育状況は、へい死率が低く順調に成長しているよう。ムラサキイガイの付着が多く貝洗い作業を実施しながら各地区とも球付け作業に追われており、今後の成長を期待している。
ホタテ玉冷の海外輸出に拍車がかかっている。円安水準の為替相場、自国生産の減少、保水加工の輸入不足を背景に米国の買い付け姿勢が強いため。商社筋など荷受各社は「在庫が切れ産地も品薄で追加購入できず注文に応じられない」と声をそろえる。製品相場は米国主導の様相を呈しキロ3千円台後半まで高騰。量販店はじめ内販の末端売価も値上がりしており、年末商戦、さらにはその先の消流に警戒感が強まっている。
サロマ湖3単協(湧別・佐呂間・常呂漁協)の稚貝本分散は、必要量をおおむね確保し、10月中旬までに終了した。来季の採苗に向けては採苗器の増加も視野に検討していく。
沙留漁協は来年から、前浜に投入する採苗器を拡充する計画だ。今年の全道的採苗不振を受け補完体制を強化するもの。ほたて養殖部会に加え、新たにほたて貝漁業生産部会が投入。稚貝を生産するパートナー漁協が不足した場合の補充用として備える。
留萌管内で稚貝の本分散が始まった。仮分散時点で確保した粒数は例年の半分以下と厳しく、本分散でも下のサイズを慎重に採りながら確保する地区が大半だ。ザブトンかごに戻して再度垂下し成長を待つ漁家もある。