従来加熱製品や珍味の原料で注目されてきたムラサキイカが、生鮮商材でも市場評価を高めている。スルメイカの不漁で生食用イカが品薄となったのが背景。加えて胴肉の歩留まりが95%と高く、用途の多様性でスルメイカに代わる基幹商材としての地位を確立しつつある。
大樹漁協の事業部・自営加工場は、大樹さけ定置共同経営体が手掛ける船上活じめ秋サケの拡販に取り組んでいる。塩蔵品(新巻き・山漬け)などの加工品、生筋子の差別化に加え、今季から数量限定で漁業者が厳選出荷した3.5キロ以上の大型サイズを一尾発泡で消費地市場に生鮮出荷。来遊資源の低迷が続く中、沖の水揚げから陸の加工処理まで短時間の強みを生かし、1尾1尾の価値を高める流通対策を続けている。
いぶり噴火湾漁協のヒラメは、底建網中心に好漁となった。特に伊達地区の水揚げが伸長。全地区合計では8月末現在50トンとなり、昨年の2倍に伸ばしている。浜値も昨年より高値傾向で、金額は約3倍となっている。全地区合計の4~8月水揚量は前年同期比2.1倍の50トン、金額は2.9倍2440万円(税抜き)、キロ平均単価は37%高488円。うち活出荷分は34%増15トン、76%増850万円、32%高570円。伊達は計31トンで5.5倍に増加した。
散布漁協の養殖ウニは8月末に出荷が始まり、出足にキロ1万2千円(殻付き価格)を付けるなど今季も高値で推移している。永坂哲也うに養殖部会長は「目立ったへい死もなく順調に水揚げが進んでいる」と笑顔を見せる。
歯舞漁協の成コンブ採取が終盤を迎えている。今季は珸瑶瑁(ごようまい)地区を中心にナガの繁茂状況が良く、7月は順調に採取を重ねたものの、8月は出漁ペースが鈍化。着業者は「天候不順や波に阻まれ出られなかった」と振り返る。9月に入ってねじり採りが解禁となりアツバも水揚げ。シケ後には拾いコンブも行われている。
小樽市漁協で稚貝の本分散が20日にスタートした。高水温に伴う7月25日の仮分散中断から約2カ月ぶりの再開。採苗器(棒網)に付着した仮分散前の稚貝は順調に成長しているため、本分散に直接移行している。加藤昭一ほたて貝養殖漁業部会長は「成育は順調で心配したへい死は少なかった。計画数量は確保できる」と安どしている。
ひやま漁協大成支所のスルメイカ漁は7月から8月末まで久遠漁港を拠点に地元船3隻と、えさん漁協所属の外来船3隻が操業し、1隻当たり日量平均20~30箱の水揚げが続いた。9月以降は何度か漁況が上向くも続かず低調に推移している。
福島県相馬市の相馬原釜魚市場がスルメイカの好漁で活気づいている。9月から始まった相馬沖合の底引網漁で、県によると24日までの水揚量は前年同期比2.6倍の約193トン、キロ平均単価は同40%安の291円。市場関係者らは「珍しいくらいの好漁」と口をそろえる。資源管理の面から現在は各船1日2トンまでと上限を設けての操業が続いている。
香川県の養殖ブランド魚「オリーブハマチ」の今シーズンの出荷が始まった。首都圏を中心に生鮮魚介専門店を展開する東信水産株式会社では、刺し身やすし、切り身、総菜などの商品にし、順次出荷される「オリーブぶり」と合わせ来年1月上旬ごろまで展開する。23日には荻窪総本店(東京都杉並区)に池田豊人香川県知事や香川県漁連の嶋野勝路会長が来店してトップセールスを行ない、この時期でしか味わえない県自慢の産品をPRした。
東京都・豊洲市場のマサバ消流は宮城県産の入荷量が安定している。ただ、身質に課題があり、長崎県産に比べ安値に付いている。東京都が集計する9月第2週の取扱状況によると、宮城産マサバは前週比81%増の約22トンが入荷し、キロ単価の中値は621円となった。