玉冷の消流は、中国加工の停滞と円安基調を背景に、北米、東南アジア向けの輸出が依然強まっている。1~5月の輸出量が最も多い米国は前年同期比2.6倍。東南アジアも台湾はじめ各国で伸びている。特に北米中心のバルク優先となり、国内流通は鈍化傾向にある。
水産加工のマルサン松並商店株式会社(宮城県塩竈市、松並理恵社長、電話022・367・3003)は、塩竈や七ケ浜町で水揚げされた県産の未利用魚アカエイの漬け商品を開発した。「バター香草」と「金山寺みそ」の2種類。淡白でくせのない白身を生かした。豊富なコラーゲンも魅力といい、女性をメインターゲットに、県内の量販店などで売り出す計画だ。
飲食店向け生鮮品EC「魚ポチ」や鮮魚店「サカナバッカ」を運営する株式会社フーディソン(東京都)は今春、ベトナムで殻むき加工した道産ホタテを販促した。原料調達や海外輸送、現地加工のノウハウがある企業らと協業し、高品質な商品開発が実現。販売ルートが確立している同社が先導することで、継続的な取り組みとなる機会を創出している。
安全性に配慮した食品・食材を販売するオイシックス・ラ・大地株式会社は回転ずし大手の「スシロー」と初コラボでミールキットの販売を始めた。目利き食材を食べ切るプロジェクト(PJ)を立ち上げ、にぎりずしのたねにならない部位の新たな活用方法を見いだした。これまで未活用食材を多く“アップサイクル”してきた同社と、厳選された目利き力と食材を余すことなく使うスシローの思いが共鳴した。第1弾は「おおばちまぐろ(厳選めばち鮪など)」の加工時に発生する「わかれ身」という部位に注目、低温のオイルでじっくりうま味を余さず加熱する「コンフィ」にすることでコラボメニューを完成させた。
東京都中央卸売市場のホッキ消流は主産地・北海道産の入荷量がここ4年で増加傾向だ。コロナ渦前の2019年度を超えており、キロ平均単価も上昇を続けている。2番目に入荷量が多い青森県産は減少している中、キロ平均単価は北海道産同様に上昇。仲卸業者は「加熱・生食の両方できる通年商材。漁期中は安定した入荷と卸値で顧客に供給している。欠かせない存在」と強調する。
Q・B・Bベビーチーズを製造販売する六甲バター株式会社(神戸市)は、新企画・日本の名産ベビーチーズシリーズで湧別産ホタテを使った「北海道産ホタテ入りバター醤油仕立て」を製品化した。こだわりの原料に付加価値を訴求する「ご褒美気分」の商品として開発。原料を提供する湧別漁協オホーツク湧鮮館の小熊篤直販部長は「湧別のホタテ生産に興味を示してくれた。全国に湧別産をPRしてほしい」と期待する。3月から全国の主要な量販店で販売を開始している。
昨年4月に設立50周年を迎えた株式会社寺島商会(函館市、寺島達則社長)は、漁業者の声を参考に利便性や作業効率化などを追求したコンブ関連機器を製作販売。最近では主力の洗浄機で作業負担を軽減できるコンパクトタイプの新型を打ち出したほか、コンブの巻き取り機も製作。また、曲げ・レーザー両加工機の導入で板金加工の精度向上を図ったほか、多様な部品・文字看板などの製作も新たに手掛け関係先に提案している。
小樽市の株式会社NSニッセイ(松田さゆり社長、電話0134・52・2022)は、常温品の商品展開を強化している。北海道産水産素材と野菜のコラボで3年前に発売した「食べるスープ」に次いで「生茶漬」を打ち出した。7月中旬から販売開始。従来のギフトに加えて、観光土産品や災害・非常食の需要開拓にも照準を合わせている。
東京都・豊洲市場の北海道産いくら消流は相場が下げ基調だ。飲食店など末端需要が伸びず、引き合いは低調。仲卸業者は「年明けから状況は変わっていない。顧客は価格が下げ止まるまで最少限の仕入れに徹している」とし、過剰在庫を抱えないよう買い付けている。東京都の集計で豊洲市場のいくらのキロ平均単価は5月時点で前年同期比29%安の5361円。歓送迎会シーズンを過ぎて急落。「他の水産物は物価高で高騰する中で、いくらだけが下がっている。当社の仕入れ値はしょうゆが7200円、塩が7900円。昨年同時期はしょうゆ7800円、塩は1万円と高かった」と振り返る。
「TOSPACK」シリーズで知られる真空包装機国内最大手の株式会社TOSEI(東京都品川区)は、食品機械・技術の展示商談会「FOOMA JAPAN 2024」(東京ビッグサイト、4~7日)に出展した。実機のデモンストレーションを繰り返しながら品質や作業効率の高さを示し、人手不足の解消や食品ロス削減につながる真空包装の性能を訴求した。7月に発売する新製品で要望の高かった密着真空包装(スキンパック)対応機も紹介し、来場者の関心を集めていた。