一般社団法人北海道水産物荷主協会(会長・根田俊昭株式会社マルキチ社長)は昨年(2024年)も道内の「子ども食堂」と連携した道産水産物の魚食普及推進事業を実施した。4年目の今回は、ホタテ加工品を使った親子で作れる料理レシピや水産加工品にスポットを当てた食育用パンフレットを172カ所に配布。十勝管内の3カ所ではレシピを活用した料理の試作・提供などを行った結果、調理ボランティアから「手間がかからず作りやすく、常用メニューに加えることができる」などと好評を得ている。
北るもい漁協羽幌本所に所属する桜井漁業部(桜井健一代表)は、刺網で水揚げしたカレイやホッケなどの加工品販売に乗り出した。昨年11月に作業場を備えた販売店舗「北のこんぶ小屋」をオープン。その名の通り前浜で採取している天然コンブの加工品も自慢の一品だ。6次化構想の夢が現実となった今、桜井さんは「バーベキューを楽しめるスペースも確保した。人が集まるグルメスポットを目指したい」と意気込んでいる。
東京・豊洲市場で5日に行われた初競りで、青森県大間産の一番マグロが2億700万円で落札された。キロ単価は75万円、重さは276キロで、昨年の落札額を大きく上回り、史上2番目の高値を記録した。競り落としたのはすし店などを展開する「ONODERA GROUP(小野寺裕司社長)」と大物仲卸業者の「やま幸」(山口幸隆社長)。
マルサン松並商店株式会社(宮城県塩竈市、松並理恵社長)は昨年11月、塩竈や七ケ浜で調達した未利用魚アカエイを使った商品を発売した。栄養価が高く、コラーゲンが豊富なことから女性をメインターゲットに見込む。ほかの未利用魚商品も組み合わせたサステナブル(持続可能な)ギフトとして展開。海洋環境が激変する中、資源を有効活用することで漁業者応援の一端につなげていく。
ナンバンエビ(甘エビ)の加工販売に力を入れる北るもい漁協所属の有限会社蝦名漁業部(羽幌町、蝦名弥代表)は、6次化の開始から10年が経過し、副産物の再利用など新たな展開で魚食普及に貢献している。「頭も殻も全て食材」と話す蝦名桃子専務は「無駄のない食材はもっと楽しめる。魚食拡大にもつながるはず」と展望。さらなる商品開発に意欲を燃やしている。
日本を発祥としながらまずは海外で受け入れられ、そののち日本国内でも反響となることがある。ベトナムなど東南アジア地域で活躍するマイコック産業株式会社(石川県白山市、経塚陽一社長)が開発したエビの加工機。国内でも活躍するときをうかがっていたが、近年日本でもエビの陸上養殖が立ち上がっており、そのときが訪れる気配を感じさせる。世界で磨き鍛えられたのちに日本にやってくる、言わば“逆輸入”のようなことが、食品加工機械で起こりそうだ。
カニ商材の主力となるタラバ・ズワイの消流はロシア産の相場が上昇している。タラバは韓国が活相場をつり上げ、大消費国の中国も追いすがる状況で、日本向け冷凍品の生産は消極化。極東産ズワイも中国の活需要で不足感が強く、新物相場を底上げ。日本国内の引き合いは単価の安い小型に偏っている。
札幌市の株式会社フジウロコ大橋水産(大橋誠一社長、電話011・709・1221)は、干物の生産体制を増強した。2021年3月にGSK株式会社(大阪市)の特殊冷風乾燥機を新規導入、自社商品の製造販売に乗り出し、販路やリピート注文、商品アイテムが年々拡大。10月に大型機を増設し、初年に比べて4倍の処理能力を確保した。業務筋や小売業者、通販業者など需要先への安定供給と一層の販売拡大に臨んでいく。
えさん漁協尻岸内地区で、天然コンブ資源の回復に向けた新たな取り組みが始まった。資源低迷要因の一つと推察されるムラサキウニを除去(移殖)し食圧を抑制、コンブの着生・繁茂状況などを調査していく。北大や株式会社WMI(千歳市、伊藤慶子社長)と連携。「令和の里海づくり」モデル事業(環境省)の一環として実施。増輪正理事や岸本眞彦漁業士らコンブ漁業者4人と北大大学院水産科学研究院助教の秋田晋吾氏(海洋科学博士)が主体となり、今年の秋から潜水によるウニの除去を進めている。
ひやま漁協乙部支所のナマコ協議会加工部門(日沼賢澄部門長)は10月24~27日の4日間、台湾の「2024高雄国際食品見本市」(台湾経済部国際貿易署主催)で農水省の地理的表示(GI)保護制度に登録された乾燥ナマコブランド「檜山海参(ヒヤマハイシェン)」をPRした。見本市には各国から320社・570小間が出展し、国内外のバイヤーやメディアなど1万5千人以上が来場。日本のGI登録産品として、食品需給研究センター(GIサポートデスク)が主体となり「檜山海参」のほか、鹿児島「種子島安納いも」、福井「越前がに」、青森「小川原湖産大和しじみ」の4品目で売り込んだ。