中小食品会社の支援・活性化を進める株式会社ヨシムラ・フード・ホールディングス(HD、東京都、吉村元久CEO)は10月16日付で、森町砂原の株式会社ワイエスフーズ(坂本拓也社長)の株式70%を取得し、子会社化する。3月に子会社化した網走市の株式会社マルキチ(根田俊昭社長)と併せてホタテの調達力を強化し、シンガポールで水産品卸を行うグループ会社の海外販路を組み合わせ、マーケットシェアの拡大を目指す。
ホタテ輸出先の多くを占める中国の消費低迷が現実味を帯びている。中国輸出に詳しい商社筋は、ゼロコロナ政策や不動産市場の減速に伴う景気悪化に加え、7月に始まった放射性物質検査の強化が追い打ちをかけ、さらには「日本産水産物に対する中国国民の受け止め方も変化している」と警戒を強める。
留萌管内で稚貝の仮分散が始まった。当初の予想通り採苗器の付着量が低水準のため丁寧に作業を進めている。開始後数日の状況で「稚貝の成長は進んでいるが下のサイズが少ない」と着業者。それでも「なんとか足りそう」と気を引き締めつつ、水温も上昇しているため、より慎重な分散を心掛けている。
陸奥湾養殖ホタテの2023年度春季実態調査結果がまとまった。減少した22年産の成貝向け割合は直近5年平均よりやや多く、確実な再生産を目指すためにも、異常貝率が低く収容枚数が少ない成貝を親貝用に確保し、施設を安定させながら来春の産卵まで保有することを促している。親貝保有枚数は必要量を下回っており、今秋の稚貝分散時には収容枚数を減らした成貝用パールネットを多く作り、25年採苗に向けて親貝確保に努めることを示している。
サロマ湖内の養殖は、常呂漁協の水揚げが1日、湧別漁協が10日に始まった。今年の生残状況は例年より低い傾向にあり、各漁協では常呂が8~9割、湧別が6~7割の見通し。個人差も見られるが、湧別ではへい死率が高く成長不足による低歩留まりで安値に振れている。
国内で年間50万トンの水揚げを誇るホタテ。主要商材の玉冷は昨年から続く円安に伴い海外需要がけん引する形で新物シーズンを迎えた。しかし順調に動いていた輸出はこの数カ月で軒並み停滞。消費低迷で各国の在庫が滞留し、価格修正を待つ様子見の情勢に入ったことが大きな要因とみられる。製品相場は下げ基調の様相。中心サイズの3Sでキロ2千円台の情報も漏れ伝わってきた。動向を注視する内販の引き合いも低調となり、底値を探る展開に移っている。
陸奥湾の主力となる半成貝の2023年度水揚量は、4~6月で前年同期比30%減の3万5679トンと大幅に減少した。しかし昨年に続き7月も水揚げを継続。青森県漁連では「当初の計画量に達するのは間違いない」と説明する。浜値は初回入札から堅調に推移し、最終5回目には235円まで上昇した。今後はベビー製品の消費動向に注目が集まる。
留萌管内(増毛・新星マリン・北るもい・遠別漁協)の2023年稚貝生産量は、前年比8%増の13億580万2千粒となった。道漁連留萌支店によるとデータが残る2002年以降で最高。各地で生残率が高まり大幅に伸長した。オホーツク海沿岸の地まき用稚貝を生産。近年は採苗不振や成長不足で10億粒を割る年もあったが、おおむね10~11億粒で推移している。契約粒数は増加傾向にあり、昨年は12億粒台に拡大。好成長が続いた今年は余剰貝も増え、能取湖産の大量へい死で苦慮した紋別向けにも当初の契約粒数以上に対応した。
噴火湾の2022年度シーズンの加工貝水揚量は、7単協(長万部・八雲町・落部・森・砂原・鹿部・いぶり噴火湾漁協)合計で前年度比5%減5万4千トンと昨年並みの水準に落ち着いた。その大半は中国向けの冷凍両貝に仕向けられ、高騰した浜値は昨年より3割前後高いキロ400円台を付けた。ボイル生産は4500トンと昨年並みだが、価格は3~4割高と高値に振れている。