三陸の秋サケ水揚げが低調な滑り出しだ。9月下旬、いずれも例年まとまりが比較的早い、岩手県久慈市の定置は1日1000~1500尾(3~5トン)ペース、宮城県南三陸町市場の刺網は26~28日で日産5~7トン。ともに昨季のハシリを大幅に下回る。今季は両県とも昨季並みからやや上回る程度の低迷が予測されているだけに懸念が深まる。価格は久慈のメス高値が1000円を超えるなど全般的に高い。
北海道の秋サケは9月後半に入ってオホーツクを中心に日量は拡大したものの、太平洋や日本海は低調。海域格差が大きく、伸び悩んでいる。浜値はオス、メスとも高止まり。札幌市場の生秋サケ、生すじこ販売は集荷に苦戦している。
北海道の秋サケは低水準の水揚げペースで盛漁期を迎えた。9月中旬に入ってオホーツクが上向いてきたものの、高水温の太平洋側は低調に推移。浜値はオス、メスとも昨年より高値に張り付き、価格形成は今週から水揚げ水準がどこまで拡大するかが焦点になる。
北海道の秋サケ定置はメス、オスとも全面高でスタートした。台風や低気圧による出遅れ、休漁も絡んで水揚げが低調な出足となり、メスがキロ800円台半ばから700円台後半中心、オスが400円絡みの高値発進。いくら製品の在庫薄などに加え、工場稼働の原料確保で高止まりの様相も呈しており、製品価格の形成は、秋サケと併せてサンマやイカなど他魚種の水揚げ動向にも行方がかかっている。
親魚捕獲場やふ化場などサケ・マスの増殖施設も全道各地で被害が発生している。河川の増水による冠水や破損、土砂や流木の流入・堆積などで、各地区増協は早期復旧に奔走。ただ、十勝釧路、根室、北見などでは河川の水位が下がらず、ウライの冠水などで9月に入っても親魚を捕獲できない施設も出ている。
十勝釧路管内は広尾川捕獲場でウライなどが流出、さらに土砂の流入・堆積で川床が大きく変わり抜本的な復旧工事が必要。千代田捕獲場も河川水位が高く、川床も変わって「捕獲再開まで時間を要する」と説明する。
北海道の秋サケ定置が30日解禁となる。今季の生産予想は引き続き、11~12万トンの低水準。一方、消流環境は、いくらの繰越在庫は低位だが、高値継続による消費動向が懸案事項。親製品は原料輸出に停滞感を抱えている。商戦の見通しや流通対策の重点について、道漁連の安田昌樹代表理事常務に聞いた。
オホーツクの建マス(カラフトマス小定置)は5年ぶりのまとまった水揚げで健闘している。今季は隔年周期の不漁年に当たるが、主力のオホーツク管内で豊漁年ながら不調だった昨年実績の2倍以上、5000トン超の水準となり、久々に活況を呈している。
活じめ鮮魚「船上一本〆」を水産物の付加価値・ブランド化事業に位置付ける標津町。地域HACCPの厳格な衛生管理に取り組んで、まちの象徴でもある秋サケでは、地元企業が昨年から関東圏に構える飲食店でメニュー提供。食材の調理加工を地元加工業者が担う。船上から最終消費者まで活じめの経済価値をつなぐ窓口もでき、地域連携で需要拡大に挑んでいく。
秋サケの消流状況は、親製品が輸出の低迷で国内への供給量が増加、輸入物も前年を上回る搬入量で荷動きが停滞している。魚卵は国産が高値継続で需要が縮小し、輸入物の搬入量が増加。北海道の秋サケ業界は本年も引き続き、旬期の消費を促進する生鮮対策、供給増の親製品を中心に消費拡大を図る国内対策、輸出対策の3本柱で流通対策を実施、魚価と消流の安定を目指す。
道総研さけます・内水面水産試験場は6月30日に札幌市で開かれた道連合海区で、ことしの秋サケの資源状況を説明、北海道の総来遊数は前年比6%増の3901万5千尾との予測を示した。予測通りの場合、沿岸漁獲数は7年連続の4千万尾割れ。重量ベースで11~12万トン規模の低水準が続く。