函館市の水産加工・販売、株式会社山大(小林繁孝社長、電話0138・48・0231)では一昨年来進めている商品・企業ブランディングの核となるサケ商品の開発が大詰めを迎えている。特に地元・道南産のブナサケは山漬けし、かまくらに入れて低温熟成でうま味を引き出す独自製法を考案。中元商戦でのデビューを目指し、パッケージ案などを詰めている。
枝幸町の海洋食品株式会社(三國浩司社長、0163・62・3731)は、前浜・枝幸産の生原料で製造するサケ缶詰を差別化商品に位置付けていく。初年の昨年に個人客のリピーターをつかんだほか、ことしは協同購入の食材宅配、百貨店の通販に採用され、増産を計画している。
近年来遊資源の低迷が続く北海道の秋サケ。道総研さけます・内水面水産試験場は、ふ化場の飼育・放流状況や沿岸環境などの情報を活用し、来遊状況を再現・評価する解析技術の開発に取り組む。増殖事業の基本単位であるふ化場個別の放流効果などを検証、解析結果を飼育・放流方法の改善、飼育コストの削減などに役立てて、回帰率の向上につなげていく。
標津漁協さけ定置漁業部会(中村憲二部会長)はことし、ブランド化に取り組む活じめ秋サケ「船上一本じめ」の増産を計画している。末端からの引き合いが強まっており、定置業者が一丸となって需要に応えていく構えだ。
ひやま漁協は、サクラマスの種苗生産を行っている乙部サクラマス種苗センターを、秋サケ稚魚の2次飼育に転用することを検討している。
昨年魚病(IHNウイルス)が発生し、サクラマスの種苗生産を中断。既存設備を活用し、秋サケの資源増大へ増殖事業をシフトする。
昨年(平成27年)も前年に続き3千万尾台半ばの低来遊にとどまった北海道の秋サケ。26年に4年魚、27年に5年魚として回帰した22年級の不振が要因。特にオホーツク、根室、えりも以東の道東が顕著だった。一方、23年級は4年魚までの回帰が近年平均以上の来遊数で、来期の漁獲回復に期待がかかる。
秋サケの資源回復に向け、道総研さけます・内水面水産試験場が稚仔魚の原虫病予防技術の開発に取り組んでいる。ハーブの一種・オレガノを添加した飼料を給餌することで原虫の寄生を抑制できることを見いだし、昨年来、ふ化場での実証試験を実施。治療から予防への転換で、健苗育成とその作業負担の軽減につながる新技術。増殖事業関係者も実用化への好結果に注目している。
北海道の秋サケは10万6000トンと、昨年を若干下回り平成元年以降ワースト4位の漁獲実績となった。一方、いくらの在庫払底や加工原料不足などの状況下、盛漁期の台風・低気圧被害も重なって水揚げが振るわず、魚価は高値形成。親子とも製品コストが上昇した。今後の消流は、特に親製品が昨年を上回る供給見込みで、輸出環境は厳しく、国内需要の拡大が懸案となる。
中国への原料輸出は今季、前評判通り低調に推移している。昨年に引き続き水揚げ不振の中、日本国内向けの原料需要が消流をリード。特にフレーク原料の引き合いが強く、下値を底上げし、中国加工筋の希望値とかい離が生じている。
大詰めを迎えた新巻き商戦は、水揚げが10万トン台半ばと昨年並みの不振となり、生鮮や冷凍ドレス向け主体の処理から生産量が引き続き低水準。卸相場はほぼ昨年並みで、小箱(10キロ)は需給均衡の様相。一方、大箱(19.5キロ)は特に単価高となる4、5尾のマーケットが縮小しており、年内に順調に消化できるかが焦点だ。