宮城県産「三陸わかめ」の今季初入札会が2月27日、気仙沼市の県漁協わかめ流通センターで開かれた。塩蔵製品の入荷量は31トンと、1月下旬の大シケの影響などで昨年(70トン)の半分以下にとどまった。中芯を除いた10キロ当たりの平均単価は42%高の1万3945円。脱落などのシケ被害は東日本大震災以降で最大規模という。品質は上々で、減産懸念の高まりも受け、初回から在庫確保の動きが活発化した。
総務省の2023年家計調査によると、全国1世帯(2人以上)当たりのワカメの年間購入量は713グラムで、過去最低だった前年比で3%増にとどまった。支出額は6%増の1509円。100グラム当たりの平均購入価格は3%高の212円と、5年連続で過去最高を更新した。三陸の減産傾向を受けた高値などを背景に、国内消費は依然として低迷したままだ。
常磐ものなど福島県産食材の安全性とおいしさを国内外に発信しようと、NPO法人日本料理アカデミー(京都市、栗栖正博理事長)所属の著名料理人らがオリジナルの懐石料理を考案し、18日に福島市で発表イベントが開かれた。素材の魅力を引き出す京料理のアイデアが生かされたトラフグのこうじ漬けや、あおさ(ヒトエグサ)に彩られた酢の物などが次々に披露され、味わった関係者は「目でも舌でも楽しめる」と太鼓判を押した。
盛信冷凍庫株式会社(宮城県石巻市、臼井泰文社長、電話0225・95・7615)などは3月、宮城県産養殖ギンザケを使ったオンライン料理教室を開く。時短をテーマに、複合フィルムメーカーのクリロン化成株式会社(大阪市)とコラボ。高機能素材の調理袋を用いることで手軽においしく作れ、臭いや掃除の手間も軽減できる点をPRし、魚食普及につなげる。
岩内町は青森県の株式会社オカムラ食品工業、同社グループ会社の日本サーモンファーム株式会社と包括連携協定を結び、トラウトサーモン(ニジマス)の海面養殖試験を推進。加えて、岩内沖の海洋深層水を活用した陸上の蓄養試験にも取り組んでいる。
「無駄な配送コストをかけていませんか-」。電子商取引(EC)サイトを使い、「イワカキ商店」や「イワカキ屋」の屋号で三陸の海産物を販売する岩佐亘さん、玲子さん夫妻(仙台市太白区)は、小口配送に適した正六面体の発泡スチロール箱「cube(キューブ)80」を開発した。以前からある、同じ「80サイズ」の直方体の箱に比べて6割増の収容力。殻付きの生カキ5キロにぴったりのサイズ感だ。個人向け(BtoC)EC市場の拡大を後押しするアイテムとして注目を集める。
株式会社丸ほ保原商店(宮城県石巻市、保原敬明社長)は、主力事業である宮城県産めかぶの加工販売を強化する。産地ならではの鮮度と独特の食感や粘り、豊富な栄養成分をそのままパック。食品ロス削減と消費者の購買意欲向上につなげようと、自分好みに味付けできるお得なたれなし商品を新たに投入した。健康意識を背景に高まるめかぶ需要の取り込みを目指す。
理研食品株式会社(宮城県多賀城市、宮澤亨社長)を代表機関とするコンソーシアム(共同事業体)は、一年生マコンブと福島県相馬市名産のアオサ(ヒトエグサ)を大規模養殖し二酸化炭素(CO2)の吸収量を増やす研究に着手する。大気中の温室効果ガスを減らす「ネガティブエミッション(負の排出)技術」の実用化に向け、大量生産可能な種苗・養殖生産方法を開発。海洋資源の回復や食料不足の解決、海藻類に吸収・固定されたCO2由来の炭素量の評価基準確立も目指す。
岩手県の2023年度アワビ漁が終了した。県漁連のまとめによると、1号品の水揚量は101トン(前年比9%減)で、金額は8億9354万円(同41%減)、10キロ当たりの平均単価は8万8547円(同35%安)。アワビ資源の小型化や肥満度の低下、ALPS処理水の海洋放出など、さまざまな要因が複合的に絡み、厳しい共販実績となった。
株式会社海遊(宮城県石巻市雄勝町、伊藤浩光社長、電話0225・25・6851)が雄勝湾で手掛ける主力のカキ養殖が好調だ。湾の深さを生かした独自の養殖法で高水温によるへい死を回避。訪日外国人客(インバウンド)需要を追い風に売り上げを伸ばす。1月下旬にプロトン凍結機を導入。今春から冷凍殻付きの出荷を本格化する。