新ひだか町東静内の老舗鮮魚店・高槻商店を営む株式会社 銀鱗(堀田毅一社長、電話0146・44・2433)は、活魚蓄養の新技術と電気刺激の脱血処理を施した鮮魚出荷で固定客をつかんでいる。自然界の電気「雷」にかけて「雷神 Raijin 」の表記で訴求し、活きと日持ちの良さが評価を獲得。今後は主力加工品の干物で、対を成す「風神」を冠したブランディングに取り組んでいく。
苫小牧漁協の冬ホッキ漁は、シケ早い海況に見舞われ操業回数が伸び悩む中でも潤沢な資源量を受け順調な水揚げ状況で推移している。冬ホッキ部会の小堤昌樹船団長は「3月中旬はシケが多発している。水揚げは順調だが、現状の出漁ペースを考慮すると、全体のノルマ達成は4月中旬過ぎになる」と見通す。
3月上旬に始まった湧別漁協のニシン刺網が今年も順調なスタートを切った。序盤は多い着業者で日量1トン以上。サイズも大主体と良型が占めている。ただ中旬ごろから100キロ台~500キロ前後に減速する展開となった。ここ数年好漁が続き着業軒数が増えたことから外海にしん部会が今年発足。古谷之聖(ゆきまさ)部会長は「調整を図りながら増加した資源を絶やさないよう獲っていきたい」と話す。
上磯郡漁協のニシン漁は今年も好調な水揚げが続いた。小定置や底建網、刺網など各漁法で漁獲、上磯地区中心に隣の茂辺地地区などでも漁がまとまった。魚価対策で雌雄選別出荷にも取り組みメスは好値を付けた。上磯地区の着業者によると獲れだしたのは1月に入ってから。12月下旬だった昨シーズンに比べ若干遅れて始まった。「2月をピークに漁が続き、多いときで10トン以上を水揚げ。他の商売との兼ね合いで3月頭に切り上げたが最終日でも7、8トン獲れた。トータルの数量は最多だった昨年を下回るが今年もそれに次ぐ漁模様だった」と笑顔。魚体は「終漁間際になんぼかこまくなった」と話す。
えさん漁協の養殖コンブは、株密度を調整し生育を促す間引き作業が進んでいる。これまでシケ被害はなく、生育状況は促成マコンブでおおむね順調な一方、ミツイシは地区でばらつきがあり、補殖(予備のコンブ)を活用した着業者もいる。
いぶり中央漁協のかご漁が2日に始まり、主力のヤナギダコは11日現在で前年同期比43%増の16トンと伸びている。ただ着業者からは「タコは昨年に比べ若干多い。それほど多く獲れている実感はない」などと現状を捉えている声が複数上がった。一方のエビもナンバン、ボタンが前年を上回るペースで推移するが「全体的にエビは薄い」と話す着業者が多く、今後の増産に望みをつなぐ。
東京都・豊洲市場の北海道産ミズダコ(足・皮むき済み)消流は販路がほぼ飲食店に集中している。昨年10月から年末にかけての高騰は落ち着いたものの、依然高値で推移し、量販店からの引き合いが乏しい。飲食店では端材になる先端や吸盤も「タコぶつ」などに調理し提供、ロス削減でコストの吸収に注力している。
むかわ町の有限会社丸中舛岡水産(舛岡博美社長、電話0145・42・2178)は、主力商材・シシャモの水揚げ不安定化をはじめ、ポストコロナ社会、物価高騰など魚食や経営をめぐる変化を踏まえた業務展開の道筋を探っている。一策が1次処理・2次処理の加工度で日常の食卓に上る商品形態。所有原料を生かし、ホッケを手始めに打ち出していく。
一般社団法人北海道水産物荷主協会(会長・根田俊昭株式会社マルキチ社長)は14日、札幌市の京王プラザホテル札幌で第59回全国水産物大手荷受・荷主取引懇談会を開いた。主要魚種の長引く不漁、労働力不足やコスト上昇、物流などの問題、ポストコロナ社会の変化などに適応しながら、道産水産物の安定供給、価値向上に二人三脚で臨んでいくことを確認した。
落部漁協の舘岡勇樹さんは、刺網やエビかご漁に専念する傍ら、妻・志保さんと任意団体「落部ブルーツーリズム」を継続し、海浜清掃活動や漁業体験活動にも力を入れている。水産業に興味を持つ学生らを受け入れ、環境保護や6次化の取り組みなど漁業現場が抱える課題や漁師の魅力を伝えている。