噴火湾の毛ガニかご漁が6月20日に解禁した。渡島地区の組成は昨季より小ぶりで中、小主体だが、特に長万部周辺の漁場で順調な水揚げ。浜値は中がキロ3千円台前半から2千円台後半と強含んでいる。
中標津町地方卸売市場を管理運営する中標津地方魚菜(株)(久本眞一社長)が敷地内に建設を進めていた新加工施設が完成し、7月上旬から稼働を開始する。窒素を活用した製氷・加工設備(㈱昭和冷凍プラント製)を新たに備え、酸化による劣化抑制技術で鮮魚、干物など加工品の鮮度・品質保持を強化。国内をはじめシンガポール、タイ、台湾などアジア圏への販売拡大に取り組む。
貝殻さお前コンブ漁が6月30日に終漁した。今季はシケや雨に悩まされる日が多く、漁期中盤には10日連続で沖止めになったことも。終盤に連日出漁して挽回、昨年より4回少ない11回の操業で漁を終えた。
歯舞、落石、根室3漁協の241隻が着業。6月1日に解禁した。4日に初水揚げ。14日まで6回操業したが同日の漁を最後に天候が崩れ、15日から10日間足踏み状態に。着業者は「異常気象。6月にここまで続けて休むことは珍しい」と口をそろえ、不安を募らせていた。
漁期終盤に入った25日以降に天候が回復、27日以降は30日まで連日出漁。最終的にコンブ採取日数を11回まで伸ばした。
道内各海域の稚貝付着状況は概ね順調のようだ。噴火湾は八雲町漁協で34万個と多く付着。留萌地区やオホーツク海でも例年並み。サイズは全般に大きめだ。
留萌地区は、苫前沖の5月~6月末累計付着数が1袋当たり7千個。昨年の5千個と比べ多く、留萌地区水産技術普及指導所では「例年並みかそれ以上」と説明。5月前半の付着が多いためサイズは「大型が多い傾向」という。採苗器の回収は7月中旬以降と話す。
寿都町漁協の定置網はヒラメの水揚げが振るわない。ホッケも低水準だった前年より盛り返したものの、依然低調な水揚げが続いている。
6月27日現在で6カ統が操業。ヒラメの水揚げは1月~6月27日現在で数量が前年同期比56%減の8.5トン、金額は同47%減の635万円、キロ平均単価は同27%高の742円。
また、前年大不漁だったホッケは数量が同19%増の168トン。金額は同24%増の2873万円、キロ平均単価は同11%高の171円。
落部漁協(佐々木治一組合長)がことし2月、新市場の竣工とともに導入した北海道初の「荷受システム」が、荷捌き業務の効率化に威力を発揮している。
同システムはタブレット型の携帯端末(iPad)を使い、市場担当者が場内に搬入した荷物の魚種や規格(大・中・小)、数量、荷主名(組合員名)を入力するだけで入荷情報を瞬時に記録できる画期的なシステムだ。
さらに魚箱の重量などを外した正味数量が自動的に計算され、これまで手作業で行ってきた起票や集計、電算室での入力など煩雑な作業が大幅に簡略化された。
データは無線LANにより事務室兼電算室のコンピューターサーバに送信され、同時に場内に2台、仲買人室に1台、それぞれ設置した液晶ディスプレイにも情報が即時表示となる。組合員、職員、買受人ともにリアルタイムの上場状況(販売予定情報)を共有でき、競り終了後には買受人名と単価を入力することで入札結果も簡単に記録される。
春夏分の出荷が進む根室湾中部漁協の養殖カキは、総体的に成長が良好だ。中谷孝二かき部会長は「昨年より成長が良く、ここ数年は毎年更新する感じ」と説明。隣で作業する石野洋一さんも「身入りも上々」と笑顔を見せる。目立ったへい死や脱落被害もなく、順調に推移している。
札幌市中央卸売市場の荷受、カネシメ高橋水産(株)(高橋清一郎社長)は本年度、収益力の強化に向け、鮮魚部門の改革、マーケティング能力の向上、提案型営業などに乗り出している。従来の収益構造は冷凍部門のウエートが大きく、鮮魚、製品両部門の販売力を高める。
鮮魚部門の改革では専従の執行役員専務(細井司氏)を配置。予約相対の見直し、競りの復活、卸・仲卸の機能強化など札幌市場の経営展望策定委員会と連動し、取引の改善を図っていく。
製品部門の強化ではマーケティング部を新設。消費者ニーズ、トレンドの把握など市場調査を実施し、性別、年代、地域などターゲットを明確化しながら売れる製品づくりに取り組む。
常呂漁協の若手漁業者3人が独自に取り組んできた鮮魚の直販を共同化し販売拡大に乗り出す。「地元の水産物を広めたい」という共通の思いが募り、浜で顔を合わせ語り合ううちに意気投合。2年後には加工も視野に入れた会社組織の設立を目指している。
東しゃこたん漁協のウニ漁は1日に解禁し、キタムラサキが不漁だった昨年に比べて好発進。海藻が少なく探索しやすい状況で水揚げを伸ばしている。一方、資源が減少傾向のエゾバフンは低調。浜値はキタムラサキの塩水カップ(100グラム詰め)が千円前後と昨年より安く推移している。