道南・黒口浜に位置するえさん漁協の天然マコンブは古武井・尻岸内両地区で採取。ただ、陸側の限られた場所にしか着生しておらず、着業者は「沖には全くない。少しでも資源が回復してくれたら」と願う。
ホタテと兼業でカキ養殖を手掛ける森漁協所属の株式会社イワムラ水産は、大型ブランド「秀峰牡蠣」の生産が昨年を上回り好調だ。一方、低水温の深場に垂下し産卵を抑え生食用端境期に水揚げする熟成ブランド「碧」(あおい)は、9月から順次出荷を開始する予定で、昨年の2倍となる10万個の生産を計画している。
留萌管内で養殖施設の水深帯温度が24、25度に上昇し、稚貝の仮分散や玉付け作業の遅れ、一部へい死も見られるなど影響が出ている。仮分散は約1カ月間中断している漁協もあり「水温が下がり次第、再開したい」と気をもんでいる。
余市郡漁協のウニ漁は8月末で終漁。出荷総数は8月23日までの累計で前年同期比7%減の5.2トン。金額は4%増の1億9297万円(税抜き)。前年同様に薄漁を反映し、赤(エゾバフンウニ)で2万円台の高値を形成した。塩水パック(1個100グラム)で出荷し、赤が19%減の448キロ、白(キタムラサキウニ)が6%減の4.7トンで推移した。
ひやま漁協乙部支所元和地区の町中漁業部・町中達成さん(34)は漁業を営む傍ら、キッチンカーで焼き団子の移動販売を展開している。養殖ホタテの大量へい死をきっかけに「漁業だけに頼らない収入源を」と、2023年1月から“兼業漁師”のワークスタイルに乗り出して3年目。今ではホタテ・岩ノリの新規需要獲得など本業・漁業に波及効果が生まれ、新展開への挑戦心も養っている。
サンマ漁の主力となる棒受網漁は15日から根室・花咲港で水揚げが始まった。昨年同様、中型船(100トン未満)・大型船(100トン以上)の解禁日を前倒し10日に小型船(20トン未満)とともに一斉出漁。公海操業で組成は1尾当たり130グラム中心と昨年のやせ型主体に比べ大きく、数量もまとまるなど期待が高まる漁況で滑り出した。22日は大型船23隻がバラ396トン、良型の発泡1412箱、冷凍217箱を水揚げ。浜値はバラの高値が1598円、発泡の160グラムが2484~1566円、150グラムが1620~1188円、140グラムが1728~950円、冷凍の高値が508円。
砂原漁協のカレイ刺網は、アカガレイ、ソウハチ中心の水揚げが続いている一方で、大量発生した毛ガニ(稚ガニ)による食害も相当多く、着業者は頭を抱えている。
南かやべ漁協のコンブで主力となる促成養殖は、水揚げが順調に進みほぼ終了した。本年度は、昨年度実績(2123トン)を上回る2355トンの生産を計画するが、枯れが早かったことなどを考慮し、同漁協は「計画数量を若干下回るのでは」と見込む。また今季はコケムシの付着も早く、着業者は洗浄・除去作業に苦慮した。
渡島噴火湾6単協(長万部・八雲町・落部・森・砂原・鹿部)の稚貝採取は、各地順調に進んでいる。仮分散は大半が8月前半に終了。採苗器の付着量が多く、十分に確保できた。
長万部の松井勝利理事(三代目かんな丸)は、7月前半から採取し始め「小さいので成長を待ちながら6厘や7厘で急がず仮分散していた」と説明。高水温時には作業を中止しながら8月20日時点も継続中で「数量は潤沢にある。地元も他産地も成長が伸び、1分5厘で採っている」と話す。
南かやべ漁協の定置網漁は、7月を中心にスルメイカがまとまって乗網した。一方、イワシは前年を大きく下回る水揚げで、サバは小型。着業者は「イカは良かったが、それ以外の魚が芳しくない」と漁況を示す。イカは7月29日までで組合全体で650トンの水揚げ。