オホーツク海南部(雄武・沙留・紋別・湧別・佐呂間・常呂・網走・西網走漁協)の水揚げは、漁場造成を合わせ10月中旬で約16万トンに達した。前年同期と同水準で推移している。2単協が計画を達成しており紋別が115%、雄武が113%。常呂、沙留も98%と順調だ。歩留まりは11~12%、アソートは3Sまたは5S中心。高値はキロ200円台を継続している。
4年ぶりに来遊数が2千万尾を超えた北海道の秋サケ。近年失速した10月以降の漁獲動向が今年は持続したのが特徴。低迷期に入って前期偏重だった期別の来遊数が平年化・平準化を示し、道総研さけます・内水面水産試験場は「資源回復への一つの入り口」と推察する。最終実績3千万尾近くも想定され「定置漁業の今後の制度設計や経営をどう見据えていくのか、重要な年になる」と話す。漁獲動向は2017年以降18年を除き昨年まで10月に入るとぱたりと切れる状況が続いてきたが、今年は10月以降も順調に推移。同水試は「来遊時期の偏りが解消され、期別の資源がうまく来遊してきた16年と同様の回帰を示している」と特徴を説明する。
広尾漁協のシシャモ漁は低調な出足。初漁後にシケ休みが長く続いたことに加え、水揚げも船間差があるものの総体的に振るわない。一方、昨年同様型は大きく、浜値も高く推移している。
10月7日に初水揚げしたが、それ以降は10日連続で沖に出られず2回目の操業は18日に。着業者は「これほどシケ休みが続いたのも珍しい」と話す。
札幌市の海産物卸小売・株式会社まる旬(佐藤旬社長、電話011・590・1825)は、冷凍加工品を専門に取り扱い、各種ギフト・景品・自家需要などで個々の予算・好みに合わせたオリジナルセットを考案・販売している。厳選食材の仕入れから梱包・発送業務まで内製化し、一気通貫で提供。北海道の食の価値・魅力を発掘・発信し、企業の成長に臨んでいる。仕入れ先は10社を超え、歯舞漁協の歯舞たこかご部会が厳しい選別基準や餌吐きなどの品質管理で付加価値向上に取り組む活ダコ(マ、ミズ)のブランド「金たこ」も取り扱っている。「今後も各地のナンバーワン、オンリーワンの価値ある商品を増やしていきたい」と話す。
利尻漁協の養殖は、製品づくりがおおむね終了した。一部施設で春先にシケ被害を受けたり収穫期後半にヒドロゾア(毛)の付着も進んだが、同漁協全体で昨年実績(255トン)並みの生産を見込んでいる。
根室・花咲港を拠点とするサンマ棒受網漁は、低調だった昨年と同水準の水揚げが続いている。9月下旬以降は日量100トン超えも散見され、ハシリより上向いたものの、漁業者や地元の買受人は「水揚げが増えている実感はなく、厳しい状況には変わりない」と一様に不安を口にする。組成は小ぶりで100グラムが目立ち、地元の加工会社は「小サイズが多く、本州送りにも苦労している」と強調。10月中旬以降での水揚げ挽回と組成の大型化に望みを託す。
利尻漁協のウニ採りは、8月末で終漁したバフンが前年を3割強上回る金額実績に伸ばした。ホソメ(1年コンブ)の繁茂が厚く採取しにくい操業環境にあったものの、身入りは良く若干の増産。浜値も高く推移した。船外機船で操業。むき身をざるに乗せて出荷する。同漁協全体で数量は前年比7%増の34トン、金額は33%増の9億1438万円、キロ平均単価は24%高の2万7062円だった。
来年創業110年を迎える帯広地方卸売市場株式会社。今年2月には代表取締役社長に専務取締役の髙嶋昌宏氏が就任するなど新体制が始動した。4年前に開設した東京事業所を核にした新規販路の開拓、プライベートブランド(PB)商品の拡充、直営総菜店の開設なども実施。市場流通の変化を踏まえ経営体質の革新・強化に臨んでいく。
小平産ホタテの商品開発、販路拡大に向け、新星マリン漁協臼谷地区帆立養殖部会の有志が「うすはまフーズ株式会社」(岸良斉社長)を立ち上げ6次化に取り組み始めた。ベビー貝の「レンチンホタテ貝」や3年貝の「味付ほたて貝柱」を主力に独自の凍結製法で商品化。食品ロス軽減を念頭に食べ切りサイズで販売開始した。岸良社長は「居酒屋チェーンなど業務筋の販路拡大も視野に対応したい」と意欲を示す。
北海道の秋サケ定置は10月13日で6万トンを超え、大幅回復で3年連続の増産となった。10月の中旬に入っても失速した昨年に比べ持続しており、2016年以来6年ぶりの7万トン台も見えてきた。出足から順調だった日本海、オホーツクの西部や中部に加え、オホーツク・東部の斜網地区も9月後半からまとまり、全道連日2千トン以上の盛漁水準に貢献。19年来の低迷傾向から脱し、終盤の伸びに期待をかけている。