三重県の志摩観光ホテルは、生産者とともに地場産食材の魅力を伝えるイベント「ランチ賞味会」を開催している。水産物など毎月テーマにする食材を決め、和食やフレンチで多彩な特別メニューを提供するほか、食材への理解を深めてもらおうと生産者による「ミニ講演会」も実施。当日までテーマが明かされない期待感も相まって高いリピート率を誇る。イベントを通して生産者と消費者をつなげるとともに、伊勢志摩地方の食の豊かさを発信、地域資源の持続化に寄与している。
枝幸町のホタテを柱とする水産物の海外輸出拡大に向け新たな事業が動き出した。町内水産加工業者はじめ漁協、商工会、運送事業者、町の13団体は「枝幸水産物輸出促進協議会」(会長・三國浩司枝幸水産加工業協同組合長)を発足。生産・加工・物流面の効果的な体制整備を目指す。農林水産物・食品の輸出拡大を支援する農水省の「GFPグローバル産地づくり推進事業」にこのほど採択され、刻々と変化する輸出環境に対応しながら、新たな輸出先の掘り起こしにつなげたい考えだ。
農林水産省と経済産業省は7日、日本貿易振興機構(JETRO)に「水産品等食品輸出支援にかかる緊急対策本部」を設置した。政府の要請に基づく。海外における代替市場の販路開拓、水産物をはじめとした日本産食品のさらなるイメージアップへの取り組みを重点的に展開する。
東京都の豊洲市場で十勝や釧路からマツダイの入荷が増えている。秋サケ定置の混獲で、例年より水揚げが増加しているのが背景。ただ、従来安定した入荷状況ではなく、なじみが薄いため、需要先の確保など供給増への対応に苦慮している。卸値は9月11日時点で広尾産がキロ千円、高値はキロ2千円ほど。仲卸業者は「いつもは青森県、岩手県、宮城県の東北太平洋側が主。北海道産を豊洲で見かけるようになったのはここ2~3年で顧客からの詳しい評判はわからない」と話す。
大樹漁協の秋サケ自営加工は、大樹さけ定置共同経営体が手掛ける船上活じめ製品の拡販に取り組んでいる。生鮮出荷に加え、昨年から塩蔵品(新巻き・山漬け)を差別化して売り込み。また、生筋子も血合いがなく、きれいで鮮やかな見栄えなどが評価を得て、量販店からの引き合いが強まっている。
中国の日本産水産物禁輸措置を受け、青森県は13日、ホタテの販路確保を柱とする流通緊急支援パッケージを公表した。県内外でつながりの強い小売業59社に対し取扱量の拡大を要請するほか、輸出先の転換・販路開拓を強化し国内外対策を進める。また9月中にも水産団体や国の研究機関などで構成する「戦略チーム」を立ち上げ、ホタテ生産体制の強化策などを検討していく。
北海道の秋サケ定置漁はオス、メスとも異常高騰の昨年より安値でスタートした。8万トン超の水揚げ予測、昨年産の消化・在庫状況に加え、ロシア・アラスカのマス豊漁などから下方修正の滑り出しは予定調和。ただ、価格形成は全網出そろう今週から本格化。中国の日本産禁輸措置で保管場所を含め冷凍品の行き場に懸念を抱え、生鮮消化の促進、通年商材の売り場再構築に向けた適正価格の見極めなど正念場の年となる。
えりも漁協(坂本好則組合長)がえりも岬地区に整備を進めていた水産物荷捌施設が竣工、供用を開始した。車両の乗り入れ禁止をはじめ、漁獲物や施設の洗浄などに使用する海水の紫外線滅菌装置やサニタリー設備の導入など衛生管理の強化に加え、氷の安定供給や活魚出荷の体制を構築。漁獲物の品質・鮮度保持を徹底し、付加価値の向上につなげていく。
フードテクノエンジニアリング株式会社(大阪市、野田憲司社長)は今年創立25周年を迎えた。食品工場の冷却設備に特化したエンジニアリング会社として、さまざまなエネルギー問題に着手。機器だけでなく工場全体をマネージメントし、自社電気計装部でシステムやソフトを組むことで省エネに向けた提案を促進させた。基幹事業を伸ばしつつ、今後は新分野にも注力。食品ロス削減、地球環境に配慮したカーボンニュートラルやCO2排出削減、人手不足に対応する省人化機械の開発など事業領域を広げていく。
東日本大震災で被災した三陸・常磐地域の水産加工業の販路回復・開拓を後押しする「東北復興水産加工品展示商談会2023」が26、27の両日、福島県郡山市のビッグパレットふくしまで開かれる。併催のオンライン商談会を含めると、地元福島や宮城、岩手など6県から過去最多となる140社近い企業が出展。東京電力福島第一原発のALPS処理水の海洋放出など新たな課題も浮上する中、工夫を凝らした展示で生鮮・冷凍から高次加工まで多彩な商品の魅力をアピールする。