岩手県産養殖素干しコンブの初入札会が8日、宮古市の県漁連北部支所で開かれた。前年同期比19%減の41トンが出荷され、主力の黒長切はほぼ前年並みの十キロ1万3千円台で取引された。
漁協別出荷量は重茂36トン、田老町5トン。同支所によると、春先のシケ被害などもなく、生産はおおむね順調という。
道南・本場折浜の促成は、天候に恵まれず水揚げペースに遅れが出ている。悪天時に使う乾燥機はコンブの収容本数が限られ、天日干しに比べ1日に揚げる本数が大幅に少ないため。「機械乾燥の稼働率が上がる中、燃料価格が高く大変」との声も挙がっている。また、例年より多い毛(ヒドロゾア)の付着にも頭を悩ませている。
道内初の有機海藻が誕生した。函館市小安産の養殖マコンブ、奥尻島産と松前産の養殖ワカメで、昨年12月に制定された日本農林規格(JAS)の「有機藻類」認証を取得。種苗生産で培養液を使わないことなど厳格な生産基準を満たした。3地区と連携を図り、小分け業者として認証を取得した㈱丸善納谷商店(函館市、納谷英雄社長)が乾燥製品を製造、有機市場が拡大する欧州への輸出を計画している。
道漁連は7日、道昆布事業協同組合の総会で、本年度の道内コンブ生産予想を1万2600トンと発表した。過去最低だった昨年度実績(1万2816トン)に比べ2%減。過去10年平均(1万5016トン)比では16%下回り、今季も低水準となる見通し。地区別で函館と日高は増産となる一方、釧路や根室、稚内などが減産の見込み。
釧路管内のさお前コンブ漁が終漁した。今季は浜中漁協が流氷被害の影響で採取を断念したものの、操業した釧路市東部、昆布森、厚岸、散布の4漁協はそれぞれの計画日数を消化。成コンブは1日、釧路市東部漁協を皮切りに解禁となり、今後各浜順次開始する。
根室の貝殻さお前コンブ漁が22日に始まった。今年はロシアのウクライナ侵攻を受け、操業条件を決める日ロ民間交渉の妥結が大幅にずれ込んだ影響で、例年より3週間遅れてのスタート。総体的に着生状況が薄く、採取は苦戦を強いられている。
砂原漁協は2021年度から3カ年計画で促成マコンブの養殖試験事業に乗り出した。天然ホタテ漁場の1区画に試験用施設を新設し昨秋から養成を開始。年明けから間引き作業を進め、近く初水揚げする。代表を務める河村大助さんは「手探りで進めているが予想以上に成長した」と手応え十分。刺網を中心とする漁船漁業者の挑戦が、安定経営の一助となることを期待している。
食品加工の株式会899社シャイン(岩手県大船渡市、桑野祐一社長、電話0192・25・1477)は、未利用資源を使った商品開発に力を入れている。コンブの仮根(ガニアシ)はこれまでほとんど使い道がなかったが、高い栄養価に着目。粉末化して付加価値を与えた。桑野社長は「捨てられていた海藻や魚も見方を変えれば宝。漁業者の所得向上につなげたい」と話す。
函館市漁協根崎地区の養殖ガゴメは今季の収穫を終えた。序盤は例年に比べ生育状況が遅かったものの、施設によっては徐々に改善。一方で減産を見込む着業者もいる。
5月下旬に収穫を開始した岩田和晴養殖部会長は「ハシリは成長が遅かったが、その後昨年並みの実入り、長さにまで成長した」と説明する。「不純物が付くためガゴメの収穫は1カ月間が勝負だが、今年は序盤の生育遅れの影響で水揚げペースは若干遅れ気味だった」と話す。