えさん漁協尻岸内地区で養殖ミツイシの水揚げが5月25日に始まった。序盤から幅広で実も入り、生育状況はおおむね良好。「特に1番切りは今時期にしては最高」との声もある。大半の着業者が今季からミツイシの養殖比率を増やしており、最盛期に向けさらなる生育向上に期待している。
釧路管内のさお前コンブ漁が26日、釧路市東部漁協を皮切りに解禁となり、同日に初水揚げした。前浜の資源調査を行い操業計画を決めた漁協も今後順次スタートしていく。
今季の岩手県産すきコンブは大減産の見通しとなった。消費低迷に伴う近年の価格安を受け、共販に出荷しない浜が出たためだ。原油価格高騰など外部要因も背景にあるが、最大産地の予期せぬ「出荷ゼロ」に買受人たちは困惑の色を隠せない。突発的な品不足感から、直近の入札会で価格は高騰した。
加工流通業者や小売店などでつくる大阪昆布商工業協同組合(池上時治郎理事長)は、小学校などで行う食育授業を継続して10年。だしの飲み比べや調理実習などを通し、昆布の普及宣伝と家庭での利用促進に力を入れている。コロナ禍でも感染対策を徹底、地道に昆布文化の魅力発信に努めている。
福島吉岡漁協のコンブ養殖業者13軒がつくる「やわらか昆布」の生産が終盤を迎えている。春の薄く軟らかい促成の間引きコンブを乾燥させたもの。今季は乾燥機に使う燃料価格が高く、湊勝廣福島地区昆布生産部会長は「なるべく天日で乾かすように対応している」と話す。
煮物やおでん、炒め物などにお薦めのやわらか昆布。今季は3月中旬に生産を開始した。
水揚げした間引きコンブを天日干しした後、乾燥機に入れて仕上げる。湊部会長によると天日干しでは風や日照などその日の天候状況によって乾燥時間を調整、日差しで色が変わらないよう留意する。乾燥機では温度を40~45度に設定し扇風機で風を循環、天日での乾き方に応じて2~3時間乾燥させる。その後規定の長さに裁断・選別。不純物なども取り除き良品出荷に注力する。
湊部会長は「今季は株に付く本数が多く生産数量は多くなりそう」と見込むとともに「色目など品質的にも上々」と自信を持つ。
各種昆布製品を製造販売する株式会社マツモト(大阪府堺市、松本紳吾社長)はこのほど、昨年12月に移転した本社ビル1階に直営店「こぶ政」をリニューアルオープンした。店内は接客面を考慮しダブルカウンター式にするなど工夫、移転前と同様に和テイストのつくりに仕上げた。初日から常連客らが多数買い物に訪れるなど盛況を博している。
日本の伝統的な食文化を支えてきた昆布。つくだ煮やとろろなど多様な形に加工され食卓に並ぶほか、だしのうま味は料理の下支えとなり、郷土の味覚も形成してきた。ただ国内生産の95%を占める北海道では減産傾向が続き、生産量を示す格付実績は3年連続で過去最低を更新。消費もコロナ禍における飲食店需要の減退を受け業務筋中心に低迷している。昆布産業を取り巻く環境が一層厳しさを増す中、漁業者らは増産対策に注力。消費地業者も販売を工夫して魅力発信・需要喚起に努めるなど難局打開に向け奔走している。
道総研函館水産試験場が試験的に取り組む、成熟誘導(人工的に子のう斑を形成させる技術)を用いた早期生産種苗のマコンブ養殖。通常の促成マコンブより採苗・沖出し時期を前倒しできるため、成長が早く、形態や歩留まりに優れたコンブの収穫が期待できる。昨季は連携する戸井漁協小安地区で良好な結果が得られ、今季から近隣の浜にも普及、漁業者の関心も高まっている。
釧路・根室両管内のコンブ産地に3月、流氷が接岸した。滞留中に大シケでもまれ、コンブ漁場が削られた地区もあるもよう。着業者は「どの程度影響があったのか心配」と話している。歯舞では太平洋側沿岸に接岸。漁業者は「2月に入った氷は厚みがなく小さかった。わりと静かに入って静かに出たので、それほど影響はないとみていた」と言う。ただ3月の流氷は大きく、接岸後に大シケが発生。「自分が確認した場所はなぎさ中心に削られ、岩盤に海藻が付いていない」とし「5月の生育調査でどのような状況になっているか」と被害状況を懸念する。
函館市漁協入舟地区の浅海漁業者は前浜でコンブやワカメの養殖を手掛けている。胞子を放出させ、ウニなどの餌となる海藻資源の回復を目指した取り組み。収穫はせず、間引き分だけを餌用としてウニ漁場に投入しウニの身入りも促す。今季から養殖規模を拡大している。