「前浜で進む磯焼けを止めたい」という強い思いから、森漁協元監事の山下良慈さんは、廃材パイプを活用した天然マコンブの着生・育成実験に挑戦し、見事コンブの生成に成功した。実験に使用したのは㈱森機械製作所(佐呂間町)と共同開発した「天然昆布種付着器」。大きな成果を得た2021年度の実験を応用し、22年度は数を増やして円形状に投入した着生実験に挑んでいる。磯焼け対策はもとより、山下さんは炭素吸収源「ブルーカーボン」としての可能性にも期待を寄せている。
昆布森漁協青年部(成田大佐部長)は昨年、海洋生態系が吸収する二酸化炭素「ブルーカーボン」の量を調べるためコンブ類の試験養殖を開始した。10年ほど前から漁港内で取り組むトロロコンブ養殖の施設を活用。ナガコンブ、オニコンブ、スジメの種苗も加え計4種を養成。研究機関の協力を得て、これらの大型海藻が二酸化炭素の吸収源としてどの程度の役割を担うのか調査していく。
近年低水準の生産で推移している北海道のコンブ。中でも道南の天然はマコンブ、ガゴメとも繁茂不良が著しく水揚げは大幅に減少。資源回復に向けて各浜増産対策に取り組んでいる。南かやべ漁協大船地区は2年養殖(マコンブ)が付く養成綱や種苗糸を海中設置している。胞子を放出させ岩盤に着底、繁茂を促すことが狙い。養成綱は長さ6メートルで、ウニやアワビの食害を避けるため土俵と浮きを取り付け海底に接触しない状態で設置している。一方、種苗糸は3カ月程度仮植させてコンブが平均10~15センチの長さに成長したものを使用。それを長さ約3メートルのロープに巻き付け、同じく土俵と浮きを取り付けている。
北海道のコンブは水揚げ低迷が続いている。道水産物検査協会の道産コンブ格付実績は2021年度まで3年連続で過去最低を更新する1万2千トン台で推移。22年度も4~11月の集計で前年同期を2割下回る8363トンと振るわず、3月末までの最終実績で約1万1千トンに落ち込む見通しとなっている。
宮城県漁協北上町十三浜支所青年部グループ(阿部勝太代表)の19生産者(2法人含む)は、国内初となるワカメ・コンブの「ASC-MSC海藻(藻類)認証」を取得した。有機食品や健康・環境配慮の商品で人気を集めるオーガニックスーパーなどで販売。輸出も視野に入れながら、環境への負担を減らし、サステイナブル(持続可能)な生産につなげる。
南かやべ漁協の木直・尾札部両地区が主力の2年養殖は、生育不良でコンブがほとんど付いていない施設も多く、来夏大幅な減産を見込む着業者もいる。木直地区の着業者は「全般的に生育状況が悪く9割は死んだ。水温が影響したのではないか」と話す。わずかに残った箇所も長さが短く生育は不十分。「本来今時期は生育良好な種コンブを選びのれんに挟み込む作業を行うが、今のところ使えるコンブがほぼない」と状況を説明。「今後どれだけ成長するか様子を見て良ければのれんに付ける」と考えを示す。
道南白口浜の一部で、養成綱に挟み込んだ促成種苗が損傷したり抜け落ちる被害が今年も発生している。被害が目立つ川汲地区ではホッケなどの食害が要因とみており、種を差し直して回復を図る着業者もいる。また、雑海藻が養成綱などに大量に付着し種苗の生育が芳しくない場所もある。
えさん漁協日浦地区の養殖コンブは今秋、5年ぶりにミツイシの種を付けた。選葉基準が簡略化されたことなどが背景。来夏は主力の促成マコンブとミツイシ両品種を水揚げする。
利尻漁協沓形地区でコンブ養殖を営む中辻清貴さんは、乾燥施設に薪ストーブや工業扇などを導入、乾きむらを改善したほか乾燥の効率化を図り燃料費の削減につなげている。台車にコンブを並べるなど乾燥前の準備で使う併設の大型施設も改良、来季から一部を乾燥スペースとして活用し1日の生産能力を上げる構想を示す。
岩手県産天然干しコンブの今季入札会が15日、宮古市の県漁連北部支所で開かれた。8漁協が計43トン(前年比2.6倍)を出荷。海況に比較的恵まれ、10トン台に落ち込んだ過去2年の記録的不漁を脱した。地区別の出荷量は下閉伊28トン(前年比9.3倍)、九戸15トン(同9%増)。例年に比べ、2~3月に冷水が停滞した影響で繁茂状況が良かった。ただ、東日本大震災前(2006~10年)平均値の2割程度の漁模様で、入札は3年連続で1回のみとなった。落札価格はほぼ前年並み。最高値は小子内浜漁協産採りマコンブ(ま)2等の10キロ1万8090円だった。