道ほたて漁業振興協会(阿部滋会長)は今年度、近年の輸出主導型の価格形成で縮小した国内消費の回復対策を重点化。併せて需給バランス適正化に向けた輸出促進を継続し、平成30年度以降の生産回復を見据えた流通体制の整備を進めていく。15日の通常総会で事業計画を決めた。
岩手県大船渡市のカレーハウス・KOJIKA(鈴木典夫代表、電話0192・47・4777)は5月、レトルトの「三陸まるごとあわびカレー」2千食をほぼ完売した。地元のホタテとカキを次の素材にカレー製品の開発を進め、早ければ7月に販売する。
あわびカレーは180グラムをレトルトパウチに入れ2700円と高価。4分割したアワビ1個が入る。三陸まるごとシリーズの第2、第3弾として、同市綾里地区のホタテ、赤崎地区のカキに白羽の矢が立った。
鈴木代表は「カキは商品開発が終わって量産する段階。ホタテは9割方開発できた。7月までに(パッケージの)箱ができればいい」と笑顔で話す。早くも盛岡市の百貨店から、アワビを含む3種類をセットでギフト製品にという話がきているという。
3月の早い段階から開始した、いぶり噴火湾漁協の耳づり作業は、数軒を残しほぼ終了した。成長は各地区とも良好で本数も例年並み。一部の地区でへい死が若干見られることから、漁業者は今後の管理に気を引き締めている。
各地区とも5月末で大半が終了した。礼文地区ホタテ養殖部会の平田順司部会長は「順調に成長し例年並みの本数を下げられた。へい死は1本で4~5枚程度(5月末時点)。昨年の今時期は水面から見ただけで相当死んでいたが、今年は問題ない」と安どする。
豊浦地区の漁業者は「昨季の減産を踏まえ、どこも例年より1~2割多く下げている。変形は少なく9割以上が健苗」と説明。同支所でも例年より多めの数量と見ており、来季の回復に期待を寄せている。
渡島噴火湾の耳づり作業は、6単協とも順調に進み終盤を迎えている。例年並みの成長でへい死や変形、欠刻も目立たない。ここ数年、遅い時期の耳づりでへい死が多発したことから、早めの開始で5月末には大半が終了。漁業者は夏場のへい死を回避できるよう気を引き締めている。
ウトロ漁協のホタテけた引が5月25日に始まった。今季は隔年周期の「豊漁年」。日量は1トン台で不漁年だった昨年の倍に伸長。ただ、漁獲対象外(2~3年貝)が例年より少なく、来季以降の資源動向を注視している。
昆布森漁協仙鳳趾地区の安田定祝さんは、長年ホタテ養殖に着業している。毎年春の大型連休明けに半成貝を搬入し10~12月の3カ月間で水揚げ。所有する加工場には水槽や紫外線殺菌装置を完備、殻付き・むき身の良質なホタテを全国に出荷している。
ホタテの新物商戦を展望する道水産物荷主協会(宮崎征伯会長)主催の第23回全国ホタテ大手荷受・荷主取引懇談会が24日、ロイトン札幌で開かれた。ボイルは販売チャネルの拡大、玉冷は1万トンの国内消費を見据えた下地づくりの必要性を強調。早期の適正価格設定が売り場の回復や輸出促進につながることを確認し合った。
平成28年度の水揚げが数量・金額ともに史上最高を記録した陸奥湾のホタテ養殖。生産量が拡大した要因や今後の課題、新たな取り組みをむつ湾漁業振興会の三津谷廣明会長に聞いた。8月には北海道ほたて漁業振興協会との意見交換会開催が決まり、情報交換や連携強化の必要性を強調している。
全国ホタテ取引懇談会では、道漁連の瀬川直樹販売第一部長が「ほたての生産・流通動向等について」と題し講演した。来年の増産を見越した国内の足場固めを強調。玉冷の産地価格は2000円台前半、消費地の流通価格を2000円台半ばで需要喚起し、内販先行の相場づくりに言及した。
青森県陸奥湾の半成貝出荷が本格化している。今年は成長不良が目立ち西湾の一部ではへい死も増大。過去最高の水揚げだった昨季より5割減の出荷ペースで今季計画量の進ちょく率は24%。減産は免れないが、大半の漁業者は「平年並みの水揚げに戻る感じ」と捉えている。