道北日本海の稚貝付着状況は、低水準ながらも一部の地域を除き何とか必要水量を確保できる見通しだ。留萌地区水産技術普及指導所では「採苗不良となった平成20年ほど深刻なレベルではない」と話している。
同指導所によると、6月に行った試験採苗器の最終調査では遠別地区がネトロンネット1袋当たり700個(19日)、羽幌地区が千個(20日)、苫前地区が1600個(15日)、臼谷地区が千個(20日)、増毛地区が1400個(同)。
1週間ごとに投入した調査結果。「各地区でばらつきも見られるが6月末時点ではさらに付着しており、上手に使えれば足りるだろう」とみる。
宮城県のホタテは6月後半、北海道産半成貝の養殖が水揚げ活発化に向かった。400円台後半の高値を維持したが、死滅と変形が深刻、貝毒発生もあり出荷量が不安定となった。死滅は減産を確実にするばかりでなく、養殖経営の先行きを不安にしている。
死滅や変形の要因ははっきりしないが、全体的には増えた昨シーズンよりさらに増加。一昨年以前に比べれば激増といえる。昨秋の移入時に変形の混入が目立った道内産地ばかりでなく、サイズが大きく健苗そうに見えた産地の貝でもその後にへい死が増えた。「年明けから玉を食わなくなった」と生産者。
ホタテ養殖の各種機械を製作・販売する佐呂間町の株式会社森機械製作所(森光典社長)は、船上でも使えるコンパクトサイズの「酸素濃縮装置OPD―B(船用)」を開発した。コンプレッサー内蔵型の酸素マイクロバブル発生装置。循環ポンプをつなげるだけで酸素濃度が一気に上昇する。生存率の向上が期待できるため、稚貝分散や耳づり作業時の使用者が増えている。
オホーツク海のけた引本操業は、6月から南部でも本格的に始まった。紋別は12日から1隻ノルマ20トン、常呂・佐呂間は16日から12トンに引き上げて操業。4単協が行った初回値決めはキロ200円前後で妥結している。
道ほたて漁業振興協会(阿部滋会長)は今年度、近年の輸出主導型の価格形成で縮小した国内消費の回復対策を重点化。併せて需給バランス適正化に向けた輸出促進を継続し、平成30年度以降の生産回復を見据えた流通体制の整備を進めていく。15日の通常総会で事業計画を決めた。
岩手県大船渡市のカレーハウス・KOJIKA(鈴木典夫代表、電話0192・47・4777)は5月、レトルトの「三陸まるごとあわびカレー」2千食をほぼ完売した。地元のホタテとカキを次の素材にカレー製品の開発を進め、早ければ7月に販売する。
あわびカレーは180グラムをレトルトパウチに入れ2700円と高価。4分割したアワビ1個が入る。三陸まるごとシリーズの第2、第3弾として、同市綾里地区のホタテ、赤崎地区のカキに白羽の矢が立った。
鈴木代表は「カキは商品開発が終わって量産する段階。ホタテは9割方開発できた。7月までに(パッケージの)箱ができればいい」と笑顔で話す。早くも盛岡市の百貨店から、アワビを含む3種類をセットでギフト製品にという話がきているという。
3月の早い段階から開始した、いぶり噴火湾漁協の耳づり作業は、数軒を残しほぼ終了した。成長は各地区とも良好で本数も例年並み。一部の地区でへい死が若干見られることから、漁業者は今後の管理に気を引き締めている。
各地区とも5月末で大半が終了した。礼文地区ホタテ養殖部会の平田順司部会長は「順調に成長し例年並みの本数を下げられた。へい死は1本で4~5枚程度(5月末時点)。昨年の今時期は水面から見ただけで相当死んでいたが、今年は問題ない」と安どする。
豊浦地区の漁業者は「昨季の減産を踏まえ、どこも例年より1~2割多く下げている。変形は少なく9割以上が健苗」と説明。同支所でも例年より多めの数量と見ており、来季の回復に期待を寄せている。
渡島噴火湾の耳づり作業は、6単協とも順調に進み終盤を迎えている。例年並みの成長でへい死や変形、欠刻も目立たない。ここ数年、遅い時期の耳づりでへい死が多発したことから、早めの開始で5月末には大半が終了。漁業者は夏場のへい死を回避できるよう気を引き締めている。
ウトロ漁協のホタテけた引が5月25日に始まった。今季は隔年周期の「豊漁年」。日量は1トン台で不漁年だった昨年の倍に伸長。ただ、漁獲対象外(2~3年貝)が例年より少なく、来季以降の資源動向を注視している。
昆布森漁協仙鳳趾地区の安田定祝さんは、長年ホタテ養殖に着業している。毎年春の大型連休明けに半成貝を搬入し10~12月の3カ月間で水揚げ。所有する加工場には水槽や紫外線殺菌装置を完備、殻付き・むき身の良質なホタテを全国に出荷している。