オホーツク沿岸の水揚げが30万トンを超えた昨年は、主力の玉冷生産を中心におおむね順調に消化された。玉冷は内販、輸出とも道漁連が示す計画通りの需要が見込まれ、特に回転ずしは幅広いサイズを消費。輸出は中国、東南アジアが堅調で計画を上回る可能性もありそう。3月の期末在庫は「重くならない」と、関係者は口をそろえる。
生産地と結び付きの強い農林水産物の名称を品質とともに登録する地理的表示(GI)や、地域ブランドの名称を商標権として登録する地域団体商標の申請・出願が北海道でも増えてきた。最近では西網走漁協がGIに「網走湖産しじみ貝」、枝幸漁協と枝幸水産加工協が地域団体商標に「枝幸ほたて」の登録を目指している。
野付漁協尾岱沼漁港に水揚げする根室管内5漁協(歯舞・根室・根室湾中部・別海・野付漁協)の共同海区は、日産150トン前後の水揚げ。巽沖は従来組成より小型で、浜値は出足のキロ400円台から270円前後に下げている。
オホーツク海のけた引は先週で枝幸、雄武、沙留、紋別、網走の5漁協が今季の操業を終えた。枝幸3万7700トン、紋別3万290トンと、この2漁協が3万トン超え。空貝や天然貝の選別に苦労した漁協もあるが、5漁協とも前年実績を上回り順調な操業となった。
羅臼町の株式会社のりとも朝倉商店(朝倉奉文社長、電話0153・88・2303)は、ホタテの生殖巣(卵巣、精巣)を原料に開発した「ホタテ節」を活用した商品開発に取り組んでいる。食品・調味料メーカーとタイアップ。今年度内の完成を予定しており、活用事例の創出で北海道発の新たな「だし」素材として普及を目指す。
オホーツク海のホタテけた引は、宗谷、猿払村、頓別漁協が今季の操業を終えた。自然発生の小型天然貝に苦戦を強いられたが3単協とも無事終漁。猿払村は4万8000トンで、全域で今季最高水揚げとなる見通し。宗谷はM~2Sの大型組成で推移。頓別は前年実績を10%上回る水揚げとなった。
枝幸漁協と枝幸水産加工協(19社)は、「枝幸ほたて」を地域団体商標登録に申請した。枝幸産ホタテのブランド力を高め、国内外の販路拡大につなげるのが狙い。商品パッケージにシールを貼ったり町内外イベントでのぼりを掲げ周知している。特許庁が2006年に創設した地域団体商標制度は、昨年末時点で645件が登録。北海道35件のうち水産食品は5件。2月末現在でホタテは登録されていない。「枝幸ほたて」は11月上旬に申請しており、登録までに1年ほどかかる見通し。
最終盤に入ったオホーツク海けた引の10月末水揚量は、漁場造成を含め29万770トンとなった。計画達成率は99%。大台の30万トンが目前に迫っている。アソートは3Sまたは5S中心。小型の割合は増している。キロ180円前後~130円前後の値決め、一部は100円割れも。シケ早く荒天戻りが増え1日満度の操業が減ってきた。早い漁協は11月20日をめどに終漁する。
留萌管内で三陸向けの半成貝出荷が今週から順次始まる。成育は全地区で順調に進み、ここ数年多かったへい死は皆無に近い状況。着業者は「ようやく平年並みの状態に戻った」と安どの表情を浮かべる。早ければきょう4日から出荷開始の見込み。
オホーツクや陸奥湾のホタテの水揚げが伸びている今年は、玉冷、ベビーの生産量が大幅に増加した。玉冷生産量は2万1000トンと試算され内販消化で1万3000トンの目標。小型主体に回転ずし店や業務筋で順調に消費されているが、相場は昨年とほぼ同様のため量販店では値ごろ感のあるベビーが席巻。国内消費に期待がかかる今シーズン。今後は大型の玉冷消化やアジア圏の輸出動向が注目される。