新型コロナウイルス禍の影響で玉冷の国内消費が進み、在庫払底下で始まった今シーズン。海外需要は世界的な経済活動の再開と主要国の供給減を背景に、大型組成も追い風となって急伸した。3S中心に相場高の展開となり、売り場を回復していた量販店は縮小傾向。輸出は当分継続するものと予想され、相場高のまま来シーズンに突入する可能性が高まっている。
宮城県漁協はホタテ共販事業の戦略見直しを急いでいる。これまでは活貝出荷がメインだったが、まひ性貝毒の発生件数が年々増加する中、貝毒を蓄積しない貝柱の販売にも力を入れざるを得ない状況。玉冷を海外に売り込んでいく考えだ。
青森県漁連は、2021年度の最終水揚量を当初計画より千トン多い7万3千トン、前年度比4%減と試算している。来年1~3月の成貝出荷は約3千トンの予定。最終金額は税込みで135億円を見込んでいる。2年ぶりに100億円の大台を突破し、前年度比5割増と大幅に回復する見通しだ。
留萌管内(増毛・新星マリン・北るもい・遠別漁協)の来季稚貝生産量は、前年比13%増の11億1150万粒を計画している。分散後の成育状況は順調に進んでおり、今春のような減産はひとまず回避できる見通し。一方、2020年度の韓国向け活輸出は2倍に伸長した。21年度も堅調に推移している。
コロナ禍に伴う巣ごもり需要の追い風で、マーケットが縮小していたボイル製品は、量販店やネット販売を中心に消費が拡大。昨年は過去5年間で最も多い消費量となった。今年は一転、玉冷や冷凍両貝など海外需要が旺盛で価格が上昇。噴火湾のボイル供給量は昨年並みだが消費の落ち込みが懸念される。
オホーツク海沿岸のけた引は、10月末で30万9090トンとなり、前年同期比20%増と好調だ。宗谷、猿払村が4万トン台、紋別、湧別、常呂が3万トン台の水揚げ。いずれも前年同期を上回るペース。歩留まりは12%前後と依然高く、3S主体の地域ではキロ200円前後の浜値で推移している。
紋別市の丸ウロコ三和水産株式会社(山崎和也社長、電話0158・23・3628)はホタテの玉冷で、何度でも開閉できるジッパー付きの袋入りを商品展開している。9月に自動包装機を新規導入し、量産体制を確立。既に製造している800グラムと200グラムの少量タイプに加え、来季からアイテムを増やし、拡販に乗り出す。
オホーツク海沿岸の北部4単協(宗谷・猿払村・頓別・枝幸漁協)は、宗谷、猿払村の2単協が4万トン超えとなり、当初計画を大幅に上回っている。両漁協とも漁場造成と位置付けた操業を進めており、日産数量は減少傾向。歩留まりは2桁を維持しており、好漁のシーズンとなった。
北海道産干貝柱の認知度向上、家庭での利用促進を図るため、道漁連、道ほたて漁業振興協会、オホーツク乾貝柱宣伝協議会は、国内最大手レシピ動画サービスの「クラシル」とタイアップし、簡単でおいしく楽しめる「ほたて鶏だんごの旨塩ラーメン」のレシピ動画を公開した。これに合わせ「たべれぽキャンペーン」を実施。実際に作り写真・コメントを投稿した参加者には抽選で30人に「北海道の海の幸セット」が当たる。たべれぽ応募期間は11月1日~12月7日。
いぶり噴火湾漁協の加工貝(2年貝)は、伊達支所の「早出し」が12日にスタートした。初日は2軒で5トン半の水揚げ。高値は前年比9円高のキロ248円と堅調な滑り出し。2日目は5軒で10トンに増え248~190円、3日目は5軒11トン、235~170円で推移している。