いぶり噴火湾漁協の稚貝本分散が全地区で始まった。成長は例年より伸びているが、一部で変形や欠刻を心配する着業者もいる。虻田本所と豊浦・礼文支所が9月後半にスタート。9月前半から始まっている伊達・有珠支所はシケの影響で遅れており、10月前半には終了する見通し。
留萌管内(増毛・新星マリン・北るもい・遠別漁協)の稚貝本分散は、苫前地区を皮切りに9月中旬から順次始まった。選別機の通し穴は13ミリと例年並み。韓国向け活貝出荷中の羽幌と、水温低下を待つ遠別は9月末に開始する予定。
渡島噴火湾では稚貝の本分散が9月から始まった。進ちょく状況は地区間で異なるが、前半に連続したシケの影響で作業はやや遅れ気味。場所によっては空貝が目立つ地区もあるようだが、おおむね必要量を確保できる見通し。
ホタテの消費拡大を目的に、道漁連と道ほたて漁業振興協会は、グループ企業が製造するホタテ製品を道庁地下大食堂の特別メニューに提供している。フライ定食を販売した初日の4日は正午前に完売する大盛況ぶり。当面2~3カ月続ける予定だ。
オホーツク沿岸の8月末水揚量は、北部・南部合わせ21万9430トン、計画達成率は70%となった。猿払村の3万トン台はじめ宗谷、枝幸、紋別、常呂の5単協が2万トン以上の水揚げ。達成率は7単協が7割を超えた。歩留まりのピークは過ぎおおむね10~11%で推移、アソートは3Sまたは5S主体で、キロ100円台半ばから3桁に届かない浜もある。
噴火湾の稚貝は各地で順調に付着し、8月中旬までに必要量を確保して仮分散を終了した。渡島管内の一部で収容後にへい死した地区も見られたが、不足するほど深刻な状況ではなく、9月以降順次、本分散に入る見通し。地場産は全域で成長が進み、良型の稚貝を確保している。
韓国向けの活貝が昨年より多いペースで進んでいる。財務省の通関統計によると、1~6月の輸出量は前年同期比20%増の3106㌧。このうち留萌管内が6割を占めている。今年の成育は良好で生残率が高く、コロナ禍でキロ200円前後と昨年の半値に落ち込んだことも輸出に拍車を掛けている。
留萌管内(増毛・新星マリン・北るもい・遠別漁協)の稚貝仮分散は、苫前地区を残し終了した。産卵時期が例年より早く、作業は4単協とも10日~2週間ほど早い開始。各地区で成長が進み付着量も十分で、7月末には大半の漁家が作業を終えている。
陸奥湾ベビーの消費は、コロナ禍による巣ごもり需要の伸長で量販店中心に堅調だ。相場は蔵前キロ1050円前後で推移している。反面落ち込んでいる外食系は6月以降回復基調とみられたが、最近の全国的な感染再拡大傾向から足踏み状態。産地加工業者は「先が読めず不安だが粛々と生産するしかない」と、苦境に腹をくくっている。
森町砂原の(株)丸太水産(坂本德博社長、電話01374・8・2120)が昨年2月に整備を完了したホタテ加工施設が、5月27日付で一般社団法人日本食品認定機構の米国向け水産食品加工施設HACCP認定制度の認定を取得した。対象製品は冷凍ホタテ貝柱(玉冷)。国内や既に輸出に取り組んでいるアジア市場での商品力向上に加え、3~5年後をめどに年間100トンの米国輸出を目指す。