宮城県漁協はカキの品質検査を20日に石巻市の石巻総合支所共販所で実施し、今季のむき身共販開始を29日と決めた。9月中のシーズン入りは震災後初。放卵が進み、順調な身入りでスタートできると判断された。生産見込みは昨シーズン(1699トン)並みの1700トン。台風18号に伴う被害は小さく、良好な出荷が期待される。
野辺地町漁協のトゲクリガニは、3年前のテレビ放送をきっかけに引き合いが強まっている。最盛期の浜値は毎年キロ2000円台と堅調だが、今年は2500円まで上がった。
陸奥湾の採苗は比較的問題なく進んだが、小型が多く、場所によっては満度に採取できない漁家もあった。一時は高水温も懸念されたが8月に水温が下がり今後の成長が期待される。本分散は早い人で9月末、大半は10月頭から始める予定だ。
南三陸町の株式会社マルセン食品(三浦洋昭社長、電話0226・46・2420)は、志津川十日町に本社工場=写真=を新設、4日稼働を始めた。直売店も併設し、店内からは製造工程も一部見ることができる。新たな設備を導入し、新商品開発にも挑戦していく。
岩手県野田村の下安家漁協で早くも秋サケの採卵・授精が活発化した。県北部の中核的なふ化場で2年ぶりに稚魚を生産する。計画の受精卵5428万粒、稚魚4840万尾は一昨年までの15%アップとハードルが上がるが、島川良英組合長は必達を期す。定置漁業者ら周囲の期待も大きい。
スルメイカが今季も全国的な不漁となる中、岩手県北部の久慈市場では7月の当初から昼操業でまとまった水揚げ、高値が続く。漁場形成に恵まれ船が集まっているのが最大の要因だ。9月は35~40隻ほどが連日3000~4800箱を揚げ、200箱を超える船もある。
岩手県の秋サケ漁が始まり、久慈市漁協の滑り出しが好調だ。10日まで6309尾、2072万円の水揚げで、前年同期比は尾数188%、金額251%。ベテラン定置漁業者の皀健一郎組合長は「ハシリとしては上出来。漁があり型、色もいい。久慈は今年、期待できるのではないか。値もいい」と早くも手応え。
野辺地漁協のカレイ刺網は、マコガレイ=写真=が春先から順調に捕れている。夏場の数量は減るもののコンスタントに水揚げ。浜値は大、中がキロ600円台前半とまずまずだ。
来年1月から成貝出荷を始める横浜町漁協の耳づりは、遅い時期に下げた連でへい死が多発しているようだ。ただ全体のへい死割合は昨年より少ないとみられ、着業者は正常貝の今後の成長に期待をかけている。
宮城県漁協の石巻地区など3支所はカキ漁場のASC認証取得に向け検討を重ねている。養殖のエコラベルと呼ばれる国際的な認証で、むき身の消費拡大が狙い。2020年の東京五輪も視野に入れる。
ASC認証は、環境に大きな負荷をかけず、地域社会に配慮した養殖場として認める国際的な制度。ASC(水産養殖管理協会、本部・オランダ)の基準に従って認証される。日本での初認証は同県漁協志津川支所戸倉出張所のカキ漁場で昨年3月。
石巻地区と石巻市東部、石巻湾の3支所が認証取得を検討。3支所は「石巻かきブランド化事業委員会」メンバーとなる。まだ具体的な審査日程などは決まっていないが、この秋からの漁期中に取得の可能性がある。