岩手県洋野町の水産会社・株式会社北三陸ファクトリーの下苧坪(したうつぼ)之典社長はこのほど、東京の恵比寿駅近くのイタリア料理店ALMA(アルマ)で行われたイベントで、ウニを中心に北三陸の漁業や展望について調理者と来店客に伝えた。6年前から毎年実施されているが、これまではウェブ参加で、直接の来店は初めて。
宮城県石巻市で、水産加工品の対米輸出を強化する動きが本格化してきた。石巻食品輸出振興協議会の下、株式会社マルカ髙橋水産の「活タコの炙り焼き」を8月、全米展開の回転ずしチェーンに供給。現地では今年度中に石巻産をPRするフェア開催も計画する。東京電力福島第一原発のALPS処理水の海洋放出で禁輸措置を発動する国もある中、輸出拡大が見込める米国市場をターゲットに「稼げる水産業」の実現を目指す。
30日に開幕する北海道の秋サケ定置網漁。水揚げの回復傾向に対応した原魚の円滑処理に加えて、今季はロシア、北米のマスが好漁、東京電力福島第一原発のALPS処理水海洋放出による中国などの日本産への輸入規制など消流に及ぼす懸念材料を抱えている。道漁連の鳥毛康成参事兼販売第二部長に商戦展望、流通対策の重点などを聞いた。
東京電力は24日、福島第一原発のALPS処理水の海洋放流を始めた。風評被害などに不安を抱える地元・東北地方をはじめ漁業関係者らが反対する中、岸田文雄首相は21日に全漁連の坂本雅信会長らと面会し、風評被害対策など「全責任を持って対応する」と強調。ただ、中国は24日、放出を非難し、日本の水産物の輸入を全面的に停止したと発表した。東日本大震災の復興に避けて通れない福島第一原発の廃炉に向けて長期にわたって漁業者、水産業界は懸念材料を背負わされる。
水産加工の株式会社ケーエスフーズ(宮城県南三陸町、社長・田畑正人株式会社カネタ・ツーワン社長、電話0226・46・8111)がギンザケの陸上養殖に乗り出した。既設の養殖場に大型水槽を設け、地下水(淡水)をかけ流しで使用。成育は順調で、試験初年度の今季は10月までに4トン(2千尾)の出荷を計画する。早ければ来春にも事業化する方針で、生鮮の海面養殖物が出回らない秋場の需要を取り込み、新たな収入源としたい考えだ。
岩手県産養殖干し(本干し)コンブの今季初入札会が4日、宮古市の県漁連北部支所で開かれた。販売数量は前年同期比36%減の158トン。減産がほぼ確定する中、品質はおおむね良好で棒の落札価格は2割ほど上昇した。
岩内町が青森県の株式会社オカムラ食品工業(青森市)と同社グループの日本サーモンファーム株式会社(深浦町)と連携して取り組むトラウトサーモン(ニジマス)の海面養殖試験は今年6月に初水揚げを迎え、約14トンを出荷した。加えて、岩内沖の海洋深層水を活用した陸上での蓄養試験も実施しており、将来的な端境期出荷が可能かどうか検証している。
岩手県水産技術センター(釜石市)は7月31日、2023年度(9月~2024年2月)の県内への秋サケ回帰予報を発表した。予報値は数量10万尾、重量298トン。いずれも前年度実績の6割程度で、東日本大震災前(06~10年度の5カ年平均)の1%に落ち込み、人工ふ化放流事業が本格化した1984年度以降で最低となる見通し。回帰の中心は12月上旬とみている。
福島県内でスーパーマーケットを展開する株式会社いちい(福島市)は、東日本電信電話株式会社(NTT東日本、東京都新宿区)、岡山理科大(岡山市)と共同でベニザケの陸上養殖に成功した。情報通信技術(ICT)や人工飼育水の「好適環境水」を駆使。1年半で、稚魚から販売できる大きさまで成長させた。今後は大規模生産に着手し、2025年の事業化を目指す。
福島県浜通り地方の水産加工品を集めたフェア「常磐大漁市」が8月1~8日、JR仙台駅2階ステンドグラス前で開かれる。メヒカリのから揚げやサンマの干物、アオサの加工品などを販売するほか、5、6の両日は試食コーナーも開設。常磐ものの魅力を伝え、取引先の開拓につなげる。時間は午前10時~午後8時(最終日は7時)。浜通りを中心とする15市町村の事業者の販路拡大を支援する「ふくしまみらいチャレンジプロジェクト」の一環で、公益社団法人福島相双復興推進機構の主催。本年度は全国各地で第5弾まで計画されており、第3弾の今回は「東北物産展」に出展する形をとる。