網走湖で漁獲する西網走漁協のシジミ漁は、序盤から好調に推移している。後続群が潤沢で水揚量が増加し、販路も拡大したことで、多い時は昨年の約2倍となる1人当たり日量140キロを出荷している。漁期は5~10月。噴流式じょれん底引網で37軒が着業。規定殻幅は14ミリ以上。年間計画は500トンで昨年より100トン上乗せした。6月末水揚量は前年同期比89%増の223トン。7月も好調な水揚げを継続している。
厚岸漁協の青ツブ主体のツブかご漁が7月1日に始まった。つぶ漁業部会湖内班の林敏昭班長(速風丸)は息子・諒さんと操業し、日量平均200キロを水揚げ。「ハシリは漁も値段もあまり良くなかった。時季にもよるが、資源は総体的に若干減り気味」と話す。厚岸湖内を漁場に湖内班の3軒が着業。かご数は上限200個、青ツブの漁獲サイズは班で自主規制を設け、殻長8センチ以上に設定する。
羅臼漁協の天然コンブは、3月に接岸した流氷の影響で陸側漁場の資源状況が芳しくない。8月に入って自由操業での採取が進んでおり、着業者は「出漁日数は順調。少しでも多く水揚げできれば」と力を込める。7月22日にスタート。同月7回、8月は7日現在で6回と順調に出漁。約130人が着業する。
オホーツク海沿岸の漁場造成を含む7月末水揚量は、前年同期比10%減の14万4380トンとなった。北部が10%減6万730トン、南部が10%減8万3650トン。計画全体の達成率は54%。紋別、常呂漁協が2万トンを超えている。歩留まりは全域的に10%前後と低く、組成も小型傾向となった反面、堅調な海外需要を背景に浜値はキロ300円台~200円台後半と昨年の約1.5倍に伸長している。
道東沖のマイワシ棒受網漁は水揚げが7月末現在で前年同期の2割台と大幅な減産で推移している。序盤漁場の釧路沖で漁が続かず、6月後半から移動した落石寄りも苦戦。組成も近年の小型化が続き、生鮮向けに加工業者が切望する100グラム以上とかけ離れた50~60グラム主体。関係者は道東沖に滞留する暖水塊の影響や資源量と回遊域の相関などの要因を推察し、北上群の先行きを注視している。
サロマ湖3単協(湧別・佐呂間・常呂)で稚貝の仮分散が始まった。採苗器の付着は良好で、成長も良く、十分な数量を確保できる状況。採苗不振で苦戦した昨年とは異なり、3単協とも7月後半から例年通りに開始した。一方でシュウリガイ(ムラサキイガイ)など付着物が多く、高水温の傾向にあるため、慎重な作業を心掛けている。
礼文島のバフンウニ漁は資源状況が芳しくないことに加え、シケも多く水揚げは苦戦。着業者は「将来の資源となる小さい個体も少ない」と憂慮する。薄漁を映し浜値は高騰している。
ここ数年、カラフトマスの水揚げが伸び悩む網走漁協のマス小定置は、低水準ながらも昨年よりやや多いペースでスタートした。一方、海水温が高めに推移しているため、着業者らは今後の漁況に不安を感じている。
日高定置漁業者組合(佐藤勝組合長)は今年度から環境保全対策事業「『さけの里』森づくり」に着手した。生業・定置網漁の主力魚種・サケの資源造成を担うふ化場の運営に不可欠となる増殖用水・地下水(湧水)の安定確保で森林の「水源かん養機能」を考慮し、施設内に植樹。10年計画で全10カ所の増殖施設に実施していく。定置網漁業経営の組合員47人が賛同し、苗木の購入費を拠出。植樹木は保水能力を有することに加え、寒冷地に適応・生育可能で成長が早い早生樹「春蘂柳(はるしべやなぎ)」を選定した。
礼文島の天然コンブ漁が最盛期を迎え、自由操業での採取が進んでいる。今季はナギや天候に恵まれない日も多いが、島全般的に繁茂状況が良く、着業者は「順調に水揚げできれば」と力を込める。