農林水産省は、農林水産業・食品産業の作業安全対策を分野を横断して推進する対策を強化する。安心して働ける環境にしなければ生産業に若い世代が未来を託せないとして、3月には安全対策の取り組み気運を醸成するためのシンポジウムを開催(新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から無聴衆で)、その内容を4月23日に農水省ホームページで公開した。また、作業安全対策に役立つ漁業技術などを集めた新技術カタログも作成した。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響が水産業界にも及ぶ中、宮城県内の若手漁師らでつくる一般社団法人フィッシャーマン・ジャパン(FJ、本部・石巻市、阿部勝太代表)は、朝獲れの鮮魚を詰め合わせたセット商品のネット通販を開始した。石巻から直送される鮮度抜群の魚は下処理が施され、オンラインでさばき方を学べる特典付き。外出を控えて自宅で過ごす「巣ごもり消費」の需要を取り込み、魚食普及につなげたい考えだ。
水産庁のアンケート調査によると、東日本大震災で被災した水産加工業者のうち「売り上げが震災前の8割以上に回復した」と答えた青森、岩手、宮城、福島、茨城5県の事業者は半数の50%。前年度より8ポイント増えたものの、依然として低い水準にとどまっていることが分かった。
プラスチック容器メーカーの中央化学(株)は冷凍商材に最適なトレーを開発・生産している。顧客の要望をヒアリングしながら設計。素材の特徴と消費者の利用を細かく分析しながら作り上げていく。近年は冷凍総菜の需要が伸びているのを受けて、一食分で食事が完結する麺や丼ものなどに使われる容器の開発に注力。汎用性の高さから水産物への応用が期待できる。
沖縄県国頭村の国頭漁協は、商社や輸入業者、製氷会社など異業種連携による、定置網で水揚げした地場魚のシンガポールへの輸出に力を入れている。船上処理にシャーベットアイス(設備は高砂熱学工業(株)製)による急速冷却を利用した鮮魚出荷で、鮮度を維持したままの輸送が可能となった。それまで地元の沖縄本島でも評価が認められなかった魚の付加価値向上に成功。国頭産の海外展開拡大を目指している。
改正フロン排出抑制法(フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律)が4月1日に施行され、業務用のエアコン・冷凍冷蔵機器(第一種特定製品)の廃棄時のフロン回収対策が強化された。違反に対する直罰化やフロンの回収を確認する仕組みの導入などが柱。
1日付で道水産林務部長に就任した佐藤卓也氏は9日、記者会見し、水産行政かじ取りの抱負を語った。秋サケ、ホタテ、コンブなど主要魚種の生産回復対策を根幹の最重点に強調。喫緊には需要減退など水産業界も深刻な影響を受けている新型コロナウイルス対策に迅速に取り組む考えを示した。
出荷最盛期を迎えた「三陸わかめ」の生産現場で活躍している水産加工機械がある。(株)エフエムピー(静岡市、髙橋博社長)が製造・販売する「ワカメ全自動ボイル冷却装置」だ。全自動による省力・省人化の効果は大きく、2人体制でもボイル加工の処理能力は1時間1.5~2トン。「一度使ったら手放せない」「しっかり炊かれ、仕上がりのむらもない」などとユーザーの評価は高い。壊れにくい頑丈さも魅力で、人手不足や高齢化が進む浜を支えている。
水産庁と水産研究・教育機構は、同機構が実施するサケ・マスふ化放流事業の方向性について昨年6月から協議してきた関係者による検討会の報告を取りまとめ、3月31日に公表した。当面現状の放流施設・体制を維持し、新たな外部資金を含め財源確保の検討を提言している。
世界的な新型コロナウイルスの感染拡大で、輸入魚にも影響が出始めている。特に北米や欧州では深刻な状況が続いており、今のところ終息の見込みが立たず、通常の運用に戻るのに年内中は厳しい見方が強くなっている。国内の業界関係者の中には、輸入依存度の高い品目は短期的には「国産魚回帰」「地産地消」となるとの見通しも現れている。