新型コロナウイルスの感染状況が落ち着きを見せ徐々に人の動きが戻る中、観光地や商店街で商いをする昆布専門店は、人出の中心となる若者や外国人観光客を意識した商品展開に加え、だしの提供も行うなど昆布食文化の発信に努めている。
北海道日本海沿岸のニシン刺網漁は2月以降、各浜で増産傾向となり、約5300トンまで伸ばした昨季を上回るペースで推移している。主産地・石狩湾漁協は浜益地区がハシリから好漁。厚田、石狩両地区も前年同期を超え、今季も5千トン確保が視野に入る。一方、数の子原料のメスは加工筋が昨年産の製品在庫を抱え、やや浜値が下落。ただ、円安傾向や船賃の上昇など海外産の搬入リスクから道産シフトが進んで来季以降も需要が底堅いとの見通しが浸透している。
イオンリテール株式会社南関東カンパニーは、宮城県石巻市の取引先と連携し、水産品の鮮度向上に向けた新たなバリューチェーンを構築する。10日から、漁獲から店頭販売まで一度も冷凍しない蒸しだこ(ミズダコ)=写真=を関東・山梨エリアの「イオン」「イオンスタイル」125店舗で販売する。震災で途切れた販路の回復と拡大の一端を担う。
マリン・エコラベル・ジャパン(MEL)協議会(垣添直也会長)と責任ある漁業管理(RFM)認証プログラムのスキームオーナーであるサーティファイド・シーフード・コラボレーティブ(CSC、マーク・フィーナ理事長)は2月28日、東京都内で会見を開き、流通加工段階(CoC)認証規格や審査制度などの相互承認に関する提携に向けた協働作業を進めることを正式に合意したと発表した。両者の協働で、日本発の水産エコラベルであるMEL認証の水産品の北米での販売機会拡大やMELそのものの信頼性アップなどさまざまな有用性に期待が高まる。
加工流通業者や小売店などでつくる大阪昆布商工業協同組合(池上時治郎理事長)は、小学校などで行う食育授業を地道に継続、10年目を迎えた本年度は家庭科教員を対象にした勉強会も初めて実施するなど昆布食文化を伝える活動に広がりを見せている。
白糠漁協の定置漁業者、田森栄輝さんが代表を務める龍宝丸水産は、昨年11月で加工販売に取り組み10年の節目を迎えた。低利用魚の付加価値向上をコンセプトに製品づくりに注力。これまで原料高やコロナ禍による消費減退など困難にも直面したが、その都度ヒット商品を生み出すなどして苦境を打開。田森さんは「10年でやっと形になり向かうべき方向が明確になった」と強調。白糠産の認知度向上や魚食文化の継承も念頭に置き次の10年を見据えている。
昨年8月に札幌市中央卸売市場隣のさっぽろ朝市内に開業した天然鮭鱒専門店の鮭蔵(電話011・727・2727)=写真。ロシア・カムチャツカ半島から仕入れた沖獲りのベニサケ、シロザケ(トキサケ)を主力に、「氷蔵藁(わら)製法」と「ふっくら製法」の二通りの独自製法で加工を施した塩蔵品などを提供。個人消費の二極化に対し、隙間市場の開拓・獲得に挑んでいる。
根室市とねむろ水産物普及推進協議会は19、20の2日間、東京都の新宿駅西口地下イベントスペースで「北海道根室まるごとフェア2023」を開催した。水産品を中心とした特産品の対面販売や、「鮭の聖地」の物語の紹介、同市で見られる生き物のはく製展示、観光体験動画の上映などを実施。国内最大規模の利用客を数える新宿駅で、市をまるごと堪能できるイベントを繰り広げた。フェアのタイトルには「世界が誇る『根室の自然・歴史・食』に魅せられる」と冠し、“オール根室”でプロモーションに臨んだ。物販コーナーでは市内の水産会社など10社が直接ブースを構えたほか、6社が主催者に委託して商品を販売。計16社140品にも上るアイテムが一堂に会した。
利尻富士町は利尻漁協鴛泊地区の昆布養殖部会と連携し今年も「利尻昆布株主(オーナー制度)事業」を実施する。初めて行った昨年の好評を受け今年は株数を増やして募集。漁業者との交流を通した利尻昆布ファンの増加と魅力アップに努め、付加価値向上と消費拡大につなげていく。
道漁青連(尾崎勇太会長)は12~15日に東京都内の視察を行った。株式会社UMITO Partners(ウミト)に企業の視察依頼をし、同社が企画・調整・引率。担当する道漁連指導教育部とともに、若手漁業者7人が飲食店や企業と情報交換し、また道漁連の関連施設の見学などを通して、北海道漁業の進むべき未来のヒントを得た。