定額料金で定期的に商品・サービスを提供するビジネスモデル「サブスクリプション(サブスク)」が、水産物の消流拡大でも注目度が上がっている。メーカー側にとっては安定した売り上げを確保でき、経営戦略を立てやすいのがメリット。旬の鮮魚をはじめ未利用魚の活用、刺身専門、下処理済み・調理済み、一流シェフ監修、調理方法の伝授……。工夫を凝らし、「ワクワク感」など消費者の購買動機を刺激している。
株式会社フーディソンは5~18日、福島県と連携し「ふくしま常磐ものフェア」を開催した。東京都内の運営店舗「sakana bacca」2店舗(豪徳寺店、新橋店)で県産の鮮魚やそれを使用した丼を販売。プレゼント企画も実施するなど消費者に向け県産品の魅力を訴求した。ヒラメやホッキ、メヒカリ、タチウオなどの常磐ものを鮮魚で販売したほか、それらを使用した刺身セットを展開。またヒラメを使用して刺身や漬け、炙りの3種類を楽しめる食べ比べ丼を限定品として提供。県の地酒も取りそろえるなど多方面から福島の魅力を伝えた。メヒカリを使用した焼きかまぼこのプレゼント品も用意した。
ウトロ漁協所属で定置網漁を営む有限会社協和漁業部(古坂彰彦代表)は、加工販売に乗り出す。併せて魚料理を専門に提供する飲食店を15日に開業。多角的に自船「第二十八栄宝丸」で水揚げした魚介類の付加価値向上に取り組んで、定置経営の持続安定、前浜・知床産の消費拡大を目指す。
イオンリテール株式会社は、水産庁が新たに制定した「さかなの日」(毎月3~7日)に賛同し、国内の水産物の消費拡大に向けて取り組む。月初めの週末に「イオン」「イオンスタイル」の本州にある約350店舗でサステナブルシーフードの売り場を拡大。全漁連とも連携して地域の旬の鮮魚を提供、説明員なども配置して消費者に水産品の魅力を訴求していく。
釧路管内のシシャモ漁は、低水準ながら不漁の昨年を上回る出足となった。先行して始まった白糠漁協は過去最低の昨年比で2割増となる序盤の漁況。釧路3単協(釧路市、釧路市東部、昆布森)も昨年を超える日量でスタートし、今後の漁本格化に期待がかかる。良型主体の組成で、浜値はキロ4千円台に付くなど昨年同様に高値で推移している。
宮城県塩竈市で、市場に流通しにくい未利用魚を活用した「塩竈フィッシュバーガー」が誕生した。水産加工のマルサン松並商店株式会社(同市、松並理恵社長)などが展開する「海の宝物プロジェクト」の一環。漁獲資源の有効活用や漁業者所得の向上を図ろうと、傷物のマダラを使って地元の高校生と共同開発した。ご当地バーガーとして売り出し、観光振興や交流人口の増加にもつなげる。
札幌のセンチュリーロイヤルホテルは、松前町の未利用海藻である天然アオノリをふんだんに使った特別メニューの提供を1日から日本料理「北乃路」で開始した。青のりの上品な磯の香りや味わいが炊き込みご飯や茶わん蒸しを引き立てて、未利用資源に潜む可能性に光を当てた。
イカのまち・函館で漁獲が増えているマイワシを有効活用した新たな産業基盤の確立を目指すプロジェクトが進んでいる。レストラン、水産加工・販売業者、漁業者らが連携。先導役に「アンチョビ」を選定し、商品の販売拡大と併せて自家製の普及などで地域の食文化を形成。イカ同様に全国に認知される土台を築いていく。
1日に解禁した道南太平洋沖のスケソ刺網は、胆振管内の主産地・いぶり中央漁協では高水温などの影響で着業船の日量が伸びず、ハシリから低水準の水揚げで推移している。23日現在の累計数量は前年同期比45%減の289トン。漁業者は今後の海況好転と増産に望みをつなぐ。一方、魚体も小ぶりで卵が未成熟ながら、浜値はキロ100円超の相場を形成。地元加工業者の仕入れ環境も厳しさを増している。
真空包装機国内最大手の株式会社TOSEI(東京都品川区、谷嶋和夫社長)は18、19の両日、仙台市の産業見本市会館サンフェスタで展示会を開いた。賞味期限切れによる食品ロスの削減を目指す機運が高まる中、高鮮度保持が可能な真空包装機への関心度もアップ。三陸・常磐など東北地方の水産加工会社を中心に約200社が来場した。