ホタテ養殖の株式会社隆勝丸(岩手県宮古市、平子昌彦社長、電話0193・65・7910)はまひ性貝毒の影響で、3カ月以上にわたって活貝の出荷ができていない。昨夏の猛暑で大量へい死も経験した。「自然相手の仕事。どうしようもない」。平子社長(宮古漁協理事)は半ば諦めの表情を見せつつ「後世につなぎたい。知恵を絞る」と気合を入れ直す。
三陸産ホタテはへい死が増えている。黒潮続流が北上し海水温が上昇した影響とみられる。2023年度の共販数量は宮城県が前年度比19%減の5372トン、岩手県が同8%減の1530トンにとどまった。まひ性貝毒による出荷の自主規制が長期化している浜もある。
陸奥湾主力の半成貝が昨年に続き大幅に減産している。2024年度4~6月の水揚量は、前年同期比44%減1万9990トン。2万6千トン計画の達成率は77%。昨年に続いて7月の水揚げも予定されており、青森県漁連は「計画に届かないまでも2万3千トン近い数量になる」と説明する。最終入札は高値がキロ260円と高騰。ベビー製品の価格上昇も避けられない状況にある。
中国の禁輸措置でホタテの消費応援ムードが高まった昨年後半の量販各社は、売価を抑え売り場を拡大した結果、玉冷の売上高で1.5倍以上と「特需」に沸いた。しかし年明けから北米、東南アジアの輸出が増大。製品相場は高値に逆戻り、売価も上げ基調で消費が鈍化している。札幌の末端流通や首都圏の消費動向、今後の展開を探る。
水産加工のマルサン松並商店株式会社(宮城県塩竈市、松並理恵社長、電話022・367・3003)は、塩竈や七ケ浜町で水揚げされた県産の未利用魚アカエイの漬け商品を開発した。「バター香草」と「金山寺みそ」の2種類。淡白でくせのない白身を生かした。豊富なコラーゲンも魅力といい、女性をメインターゲットに、県内の量販店などで売り出す計画だ。
北海道定置漁業協会(馬場浩一会長)は、今年の秋サケ定置漁解禁を前に、6月26日から7月9日にかけて全道8カ所で現地対話集会を開催。全道の定置業者らに資源状況、消流動向と今年の流通対策事業、ブリのTAC管理の動向、漁業共済と積立ぷらすの事業推進について情報提供し、意見交換した。
南かやべ漁協大船地区でキタムラサキウニ(ノナ)採りが8日に始まった。1人当たり日量25㌔に制限して水揚げ。「身入り状況は良い」と話す着業者も多く、同日はキロ3千円強の高値に付いた。ノナと併せてアワビも採取可能だが「今時期はまだ姿が見えない」と着業者。初日の浜値はキロ4500円だった。
本場折浜の促成マコンブは6月が天候に恵まれ順調に収穫が進行、順次終漁している。生育状況はばらつきがあるものの、昨年に比べて毛(ヒドロゾア)の付着が少なく増産を見込む浜もある。ただ、間引き時期などに付着が散見したコンブノネクイムシによる脱落の影響が残り減産となる着業者もいる。
東しゃこたん漁協のウニ漁は、赤(エゾバフンウニ)、白(キタムラサキウニ)とも減産傾向で推移している。着業者は「特に赤は全然いない」と強調。ハシリからシケ続きで操業回数も伸び悩み。漁獲不振を受け、浜値は6月2日の漁開始から高値を維持している。塩水パック(1個100グラム)の出荷数は6月の単月で赤が前年同期比72%減の823個、白が48%減の2420個。8日現在の浜値は赤が1個2万1千~1万4千円、白が5千~3千円。
飲食店向け生鮮品EC「魚ポチ」や鮮魚店「サカナバッカ」を運営する株式会社フーディソン(東京都)は今春、ベトナムで殻むき加工した道産ホタテを販促した。原料調達や海外輸送、現地加工のノウハウがある企業らと協業し、高品質な商品開発が実現。販売ルートが確立している同社が先導することで、継続的な取り組みとなる機会を創出している。