10月11日に開場する東京・豊洲市場で16日、買参人や市場関係者を対象とした大規模な習熟会が開かれた。場内の物流に関するデモンストレーションを行いつつ、市場施設の使い勝手を確認するもので、関係者3千人以上が参加した。
これまで業界別に個別の習熟会は何度か実施されているが、水産や青果合同の大規模な訓練は3回目。実際に大勢の人が集まった中での使い勝手をつかむのがねらい。
この日は、ターレの動線の確認、7街区(水産卸売場棟)から6街区(水産仲卸場棟)への連絡通路を経由しての搬送や、仲卸店舗内での荷下ろし、買い出し車両への積み込みに至るまでを確認。冷蔵倉庫でもフォークリフトを使った荷捌きの確認が行われた。
岩手県南部でホタテの採苗分散が進み、稚貝の不足する浜が多くなる。採苗器への付着が少なく、稚貝の成長を待ったり、目合いの小さなふるいで選別し確保に懸命だ。コツブムシ(ウミセミ)の食害も示唆される。分散作業がほぼ終わった唐丹町漁協では「予定の半分」。南部一帯で余剰は見込みづらく、補充は難しくなる。
噴火湾一帯で、採取したばかりの稚貝が大量にへい死している。地区間で差はあるものの、特に深刻なのがいぶり噴火湾漁協の虻田、豊浦、礼文地区。漁業者によると仮分散後の8月末時点で1漁家当たり8~9割が死滅しているという。渡島管内6単協でも例年以上のへい死を確認。このため全道各地の養殖漁家から緊急調達する動きが相次いでいる。
北海道の秋サケ定置は9月後半に入って日量が増えてきたものの、20日現在で昨年比1割増の低調ペース。今年は魚体サイズが全道的に極度に小型で、尾数に比べ重量の伸びが落ちる状況。浜値はメスが昨年比3割安ながら、ジリ高の展開も見せている。
道漁連の集計によると、日曜休漁明けの17日に1300トンと初めて千トンを超え、20日まで500トン、980トン、1100トンと上向き、今後の伸びに期待がかかる。
日高管内の秋サケ定置では、ひだか漁協の三石、静内の両地区中心に沖網が入って本格操業の10日からブリが大量乗網した。1カ統で100トン以上の集中乗網もあり、17日以降は落ち着いたものの、1週間余りで500トンを超えるハイペースの水揚げを記録している。
同漁協では2011年以降、秋サケ定置にブリの乗網が急増し、12年570トン、13年458トン、14年246トンなどと推移。今年は17日現在で535トンと既に昨年実績(194トン)の2・8倍、金額も1億4555万円と2倍に達している。
日高中央、えりもの両漁協管内は少なく、ひだか漁協も全16カ統のうち、三石地区の2カ統、静内・春立地区の1カ統の計3カ統に局所的に集中。新冠以西は多くても日量数トン程度にとどまっている。
今年5月に初めて試みた野辺地町漁協のマナマコ人工種苗生産は、計画より少ない28万3千個体を放流した。飼育幼生の最終的な生残率は12.6%。配水管交換のミスやシケに伴う放流日の延期が大きな減耗につながった。同漁協では来年以降も続ける予定だが「放流時期の再検討が必要」と話している。
北海道の秋サケ定置漁は全地区が操業を開始し本格化した。出足は台風21号や胆振東部地震による停電の影響で生産、流通とも足踏みとなり、挽回に期待がかかる。昨年の凶漁、異常高騰で売り場が縮小し、今季の価格形成は手探り状態。浜値は低調な水揚げにも冷静に発進しているが、盛漁期に向かって今週からの日量水準に商戦の行方が懸かっている。
札幌市の丸本本間水産株式会社(梶原博之社長、電話011・756・3011)は、主力の数の子で通年消費を追求している。めんたい、マヨネーズなどさまざまな味付けや、パスタ向けなど料理具材での提案で食シーンを拡大。また、さけとばで各種商品を展開してきた珍味では、今年5月に初のホタテ商品も打ち出し、総合食品企業へ舵を切っている。
SEAPA社(オーストラリア)のシングルード専用バスケット(養殖かご)が日本でも普及している。日本法人の株式会社SEAPAジャパンの吉本剛宏社長は「100軒ほどが実証試験を実施中。量産体制を確立した生産者も出てきた。またイワガキでも量産に成功した業者が現れている」と話す。また、同社が独占販売する選別機・SEDグレーダーはサイズの均一化に効果。評価を得て導入が広がっている。
南かやべ漁協で主力となる促成は、水揚げが終わり製品化が進んでいる。6月に一部で潮流による施設被害が発生したが、おおむね順調に揚がり計画数量(2500トン)は上回る見通し。一方で今季はコケムシの付着が目立ち、着業者を悩ませた。