岩手県でサケ・マス類の海面養殖が活発化している。久慈市、宮古、三陸やまだ、新おおつち、釜石湾の各漁協管内のほか広田湾でも試験養殖が進行中で、2025年の水揚量は前年比65%増の3340トン。主力魚種・秋サケの記録的な不漁が続く中、漁協経営の安定化や地域水産業の振興につなげる狙いがある。県内の「ご当地サーモン」が拡大する中、各産地とも認知向上に力を注ぐ。
青森県の八戸市魚市場がスルメイカの好漁で活気づいている。市によると8月25日現在の水揚数量は634トンで、前年同期(87トン)に比べて7.2倍。金額は4.2倍の3億9482万円に上る。多い日には60~80隻が入港し、25日には今季最多の39トンを水揚げした。県内船のほか北海道や岩手、宮城など県外の船も多く、入船するイカ釣漁船の3~4割が県外籍という。昨年までの不漁から一転、各船とも「今年はいい」と口をそろえる。
道南・黒口浜に位置するえさん漁協の天然マコンブは古武井・尻岸内両地区で採取。ただ、陸側の限られた場所にしか着生しておらず、着業者は「沖には全くない。少しでも資源が回復してくれたら」と願う。
ホタテと兼業でカキ養殖を手掛ける森漁協所属の株式会社イワムラ水産は、大型ブランド「秀峰牡蠣」の生産が昨年を上回り好調だ。一方、低水温の深場に垂下し産卵を抑え生食用端境期に水揚げする熟成ブランド「碧」(あおい)は、9月から順次出荷を開始する予定で、昨年の2倍となる10万個の生産を計画している。
留萌管内で養殖施設の水深帯温度が24、25度に上昇し、稚貝の仮分散や玉付け作業の遅れ、一部へい死も見られるなど影響が出ている。仮分散は約1カ月間中断している漁協もあり「水温が下がり次第、再開したい」と気をもんでいる。
余市郡漁協のウニ漁は8月末で終漁。出荷総数は8月23日までの累計で前年同期比7%減の5.2トン。金額は4%増の1億9297万円(税抜き)。前年同様に薄漁を反映し、赤(エゾバフンウニ)で2万円台の高値を形成した。塩水パック(1個100グラム)で出荷し、赤が19%減の448キロ、白(キタムラサキウニ)が6%減の4.7トンで推移した。
函館市漁協のイカ釣船は主漁場を前浜(津軽海峡)中心に移して操業しているが漁模様は低調に推移している。水温も高く、着業者は「いけす出荷用として魚倉に入れたイカが弱り死んでいく」と影響を話す。
太平洋側の青森・岩手沖で好漁のスルメイカ。多くのイカ釣船が集まる中、道南・えさん漁協の所属船も八戸や久慈沖などで操業、型は小さいものの好調な水揚げで推移。今後もイカの北上に合わせて各地で操業していく。
厚岸漁協のアサリ漁は1月から禁漁期前に当たる7月上旬までの出荷量が昨年に比べ増産となった。全体で前年同期比11%増の989トン。キロ平均単価は5%高の739円と前年を上回った。着業者は禁漁明けの好漁況持続に期待している。
サーモン業界初の機能性表示食品「薬膳サーモン」の開発・販売を手掛ける株式会社BKTC(東京都)の小瀧由貴社長が白老町観光大使に就任した。白老町の養殖場で生産された「白老産薬膳サーモン」を全国に発信し、白老町の新たな特産品の創出、食と観光振興などに寄与していることから、町が7月3日付で任命。8月22日に町役場で委嘱式が行われた。小瀧社長は薬膳を取り入れた養殖用飼料「約全健美」を開発・販売。それを給餌して育成した「薬膳サーモン」の含有成分・アンセリンが尿酸値の上昇を抑制する研究レビューが認められ、消費者庁に機能性表示食品の届け出が受理されている。また、「臭みが全くない」などの特徴が水産業者、調理者などから評価を得ている。