株式会社ハケタ水産(青森県)は8日、東京プリンスホテルで開催された輸出向けの商談会「All Japan Specialties Gala」(全国商工会連合会主催)に水産関連企業として唯一出展した。酒類や農畜産物が大多数を占める中での水産品の出展には熱い視線が集まり、今後の販促にも直結する話し合いも進められていた。自慢の主力品ホタテを前面に、新たなビジネス機会の獲得につなげていた。
ニチモウ株式会社(本社・東京)は3日、富山県射水市、堀岡養殖漁協(同市海竜町)と「いみずサクラマス」の海上養殖事業の推進や地域活性化などに関する連携協定を締結した。これまで培ってきた海上養殖のノウハウを生かし、稚魚・餌料の供給や技術指導、商品開発などを進める。いみずサクラマスをブランド化することで、地場産業の活性化にも貢献していく。
胆振管内のむかわ町は「未来につなぐ鵡川ししゃもプロジェクト」を始動し、町魚・シシャモの資源保全と地域の魅力発信に力を入れている。地域団体商標に認定されるなど地域産業を支える主要魚種の一つ「鵡川ししゃも」。近年は資源の減少により、漁獲量は20年が3トン、21年が1.4トンと減産し、休漁前の22年は64.6キロと過去最低を記録。鵡川漁協のシシャモこぎ網漁は、23年から3年連続で今季の出漁を見合わせた。同プロジェクト(PJT)を推進する町農業水産グループの担当者は「むかわ町のシシャモを幻の魚にしないために、まずは町民の意識醸成と再認識を図り、町の事業者や関係団体と連携して地域経済の活性化につなげていきたい」と話す。
東京都の株式会社UMITO Partnersが主催する漁業コミュニティ「UMITOBA=ウミトバ」の初となる対面イベントが9月11日、東京都新宿区の明治公園内Parkletで開かれた。全国から漁業者、研究者、料理人、行政ら約50人が参加し、気候変動や環境変化に直面する海の現状と持続可能な漁業について議論した。
札幌市の株式会社ふじと屋(齋藤裕一社長、電話011・787・4155)は、食品脱水シート「ピチット」(オカモト株式会社製)を使った浸透圧脱水製法でふっくら食感に仕立てる干物商品を提供している。今年から北海道産イワシで酸化・腐敗・臭みの抑制効果を持つ魚介類専用処理水を組み合わせた商品も新規に打ち出し、催事販売で好調な売れ行きを見せている。「ピチピチ造り」(登録商標)と名付けた干物はピチットに包んで低温熟成。魚の余分な水分と生臭みを取り除き、うま味を凝縮する。味付けは塩と特製のイワシ魚醤(ぎょしょう)のみ。マホッケを売れ筋に、サバ、ソウハチ、ニシン、サンマ、イワシ、ソイ、コマイ、ハッカクなどの商品アイテムをそろえている。
福島県の相馬双葉漁協は1日、今季のトラフグ延縄漁を開始した。県内外に出荷し、35センチ以上を「福とら」の名称でブランド展開。相馬市では新たな名産としてPRに取り組んでいる。県の速報値によると8日までの水揚量は前年同期比68%減の1904キロ、キロ平均単価は27%高の2890円。出漁隻数も少なく出足は鈍いが、関係者らは今後の漁況に期待を寄せる。漁期は2月まで続く。
余市郡漁協のエビかご漁は9月から主漁場を水深600メートルから300メートルの浅海に移し、ボタンエビを1隻当たり日量50~60と混獲のヤナギダコを水揚げ。依然として餌を食い尽くすシオムシの漁業被害により厳しい漁況が続いている。
歯舞漁協(小倉啓一組合長)は防災情報伝達システムを導入し、コンブなど沿岸で操業する漁業者の安全安心を確保している。緊急地震速報や大津波警報といった全国瞬時警報システム(Jアラート)発報時に、漁業者が所持する情報端末(スマートフォンなど)とブルートゥース(近距離無線通信)で接続した船上の電子サイレンが吹鳴する仕組み。漁業者が波や風、エンジンなどの音に遮られず防災情報配信に素早く気づき、直ちに帰港・避難できる態勢を構築。防災・減災機能を有する組合施設と併せて、大規模災害に備えた対策を推進している。
北海道で初めて線状降水帯が発生した9月20日から21日にかけての豪雨・突風・高潮が漁業にも深刻な被害をもたらしている。道水産林務部が現在、各振興局を通じて被害状況を調査・集計中だが、盛漁期を迎えた定置網では使用不能となった漁場や操業継続が困難となった漁場も出ている。
北海道の秋サケ定置網は9月が7800トンと前代未聞の1万トン割れとなった。昨年は善戦した中期に期待がかかるが、10月も勢いがない滑り出し。浜値はメスが昨年より3~5割高、根室やオホーツクでは異例のキロ2100円以上に高騰している。道漁連の集計(速報値)によると、昨年は全道で2千トン台となった日曜休漁明けの9月29日が815トンと千トンにも届かず、9月は日量千トン超が23日(1280トン)の1回にとどまり、漁期前予測も下回っている。