岩手県の2021年度秋サケ漁は3年連続で過去最低を更新することが確定した。県の漁獲速報(最終)によると、河川捕獲などを含めた2月28日現在の回帰実績は13万9403尾(前年同期比76%減)、413トン(同)。人工ふ化放流事業が本格化した1984年度以降、千トン割れは初。
水産庁は東日本大震災で被災した東北・関東6県の水産加工業者の復興状況をまとめた。売り上げが震災前の「8割以上に回復した」との回答は49%にとどまり、前回調査と比べて横ばいだった。生産設備などの復旧は進んだが、人手不足や風評被害、原材料の不足・価格高騰などが復興の足かせになっている。
上ノ国町でナマコの種苗生産を中心に事業を手掛ける株式会社三方(加藤卓也社長、電話0139・56・1135)は、約15年にわたり培った種苗生産技術で実現した独自の飼料内容や飼育法をもとに、30ミリ以上の大型サイズの放流用種苗約250万個体を供給している。国内では最大級の供給数。大型種苗のため生残率が高く、同社の種苗を放流している漁協では漁獲量が増加傾向を示している。
北海道産ニシンは主力の石狩・後志の日本海産の入荷が少なく卸値がキロ400円台中盤を維持している。一方、水氷で梱包(こんぽう)されている刺身向け中心の道東産は卵巣・精巣が成熟し腹身が薄くなり引き合いが弱まった。卸値もこれまでの半値近くの400円台まで落ち込んでいる。
鵡川漁協の直営水産物直売所「いちうろこ」で1月下旬から始動したバーチャル店舗。道内漁協では初の試みで、当日店頭に並ぶ獲れたての鮮魚を実店舗と同じような感覚でショッピングできるのが好評。ネット関連の知識に精通する指導事業部の安堵城(あんどじょう)真さん(38)、小林佳樹さん(31)が市場業務などの合間を縫って、試行錯誤を重ねながらバーチャル店舗を完成させた。
渡島噴火湾(長万部・八雲町・落部・森・砂原・鹿部漁協)の加工貝水揚量は、3月30日時点で累計2万9600トンとなった。計画に対する進ちょく率は61%、前年実績比は111%と1割増産している。6単協合わせた日産数量は1200~1300トンペース。落部が300トン前後、長万部が250トン前後、鹿部、森が約200トン、砂原が170トン前後。一方浜値はキロ350円前後~330円と堅調に推移している。
道水産物検査協会がまとめた道産コンブ格付実績は、3月単月が前年同月比4%減の479トンにとどまり、2021年度累計で過去最低だった前年度を0.4%(57トン)下回る1万2816トンに落ち込んだ。減り幅こそ2年続けて微減だが、3年連続での過去最低更新となった。
湧別漁協のニシン刺網が昨年に続き順調なスタートを切った。3月末時点の水揚げは、1軒当たり日量500キロ~1トン前後、サイズは大・中主体と良型が占めている。一方、浜値はオス・メス込みでキロ200円台後半の好値発進。3月後半から300円台と堅調に推移している。
東京・豊洲市場のサクラマス消流は高値基調のまま春商戦本番を迎えた。ロシアのウクライナ侵攻の影響で搬入量が減っているアトランティックサーモンの代替需要が強く、例年よりキロ500円ほど上昇。また、近年増えている活じめ・神経じめを施した良品は人気が高く、国内外の高級飲食店・小売店で扱われている。
道水産林務部は、2022年度から5カ年を推進期間とする「北海道さけ・ます人工ふ化放流計画中期策定方針」の改正案をまとめ、3月24日に札幌市で開かれた道連合海区で示した。近年2千万尾を下回る水準に低下しているシロサケ(秋サケ)は油脂添加餌料の給餌や、地域に適した放流サイズ・放流適期の見直しなど調査研究の実証結果を踏まえ、稚魚の生残向上への取り組みを実施する。