東北3県(青森、岩手、宮城)の秋サケ漁が、今季も極度の不漁に終わることが確実となった。各県のまとめによると、1月31日現在の沿岸漁獲量は青森1340トン(前年同期比31%減)、岩手1277トン(同30%減)、宮城457トン(同31%減)。採卵用の河川捕獲も低水準で、サケが回帰する4年後の漁況も危ぶまれる。
岩手県宮古市が取り組む、トラウトサーモンとホシガレイの養殖調査事業が成果を上げている。コロナ禍で消費が冷え込み、全国的に魚価が下落傾向の中、試験出荷を終えた1季は高品質を武器に高単価を維持。浜に活気をもたらした。両魚種とも2季目の試験がスタート。「つくり育てる漁業」の推進に向け、早期の事業化移行を目指す。
南かやべ漁協(鎌田光夫組合長)が木直漁港内に建設を進めていた製氷・貯水施設が完成した。全面建て替えで製氷・貯氷能力とも旧施設の1.5倍に増強。近年定置網漁の主力魚種となったブリの集中水揚げ時など氷需要の増大に対する安定供給体制を整えた。漁獲物の消流拡大への基盤となる鮮度保持機能の強化で魚価の安定・向上につなげていく。3月のエビかご漁解禁から本格稼働する。
漁獲量が低迷傾向だった北海道の毛ガニ。今年は昨年まで4年連続で許容漁獲量が減枠だった主産地・オホーツク海の宗谷海域が2倍強の増枠となり、全道の供給量は底を打って7年ぶりに増産見込み。ただ、網走海域は過去最低枠が継続、日高海域も減枠で、2千トン割れの水準が続く状況。消流は昨年産の大・中サイズが消化され、価格形成は強含みの様相だが、高値基調による需要先の縮小、コロナ禍の構造変化などで特に小サイズの販路確保が焦点となる。
根室管内5単協(歯舞・根室・根室湾中部・別海・野付漁協)が操業する野付尾岱沼の根室海峡共同海区は、開始から1カ月で計画の3割に当たる4660トンの水揚げ。2月から全54隻体制の操業が始まり、日産数量は平均300トン台となった。一方、アジア向けの玉冷輸出が強く、浜値はキロ300円台前半から200円台後半と堅調に推移している。
戸井漁協原木地区の養殖は促成マコンブ、ミツイシともに順調に生育している。大きなシケ被害もなく、コンブの伸びも例年に比べて良好。3月から徐々に間引きを始め成長を促すが、同地区昆布養殖部会長の松本和彦理事は「毎年彼岸時期にはシケがある」と警戒する。
いぶり中央漁協のスケソ刺網漁は、シケ続きの海況に苦戦しながらも昨年並みの水揚額で推移している。例年は1月上旬過ぎに切れる展開だが、今季は漁が続いて序盤の遅れを後半に挽回。着業者らは終盤に入った2月の増産に望みを託している。
捕鯨4団体は合同会見をこのほど開き、鯨肉市場の再興に向けて力を入れていくことを2021年の業界の統一方針に据えた。商業捕鯨に切り替わってから操業、消流、調査などさまざまな状況が一変したことを踏まえたもの。その要として、当面は鯨肉を本来の価格に戻すための品質向上と消費拡大を目指していく。
電気通信や高周波を事業とする電気興業株式会社(東京都、松澤幹夫社長)は愛媛県宇和島市の洋上養殖いけすで、ローカル5G(自営による第5世代移動通信システム)を使った海中映像伝送の実証実験に成功した。この結果が実用化につながれば、いけす内の様子を陸上にいながら把握できるなど漁業者にとって有益になるものと期待されている。
西網走漁協のワカサギ漁は、漁期前の豊漁予測に反し苦戦している。開始から10日目に1カ統を増やしたが、日量1トン前後と前年同期の半減に。同漁協は「1~2日留めても変化がない」と困惑する。浜値は2月に入り50円高となったが、キロ400円の安値基調に着業者は頭を抱えている。