一般財団法人リモート・センシング技術センター(RESTEC、東京都港区、池田要理事長、電話03・6435・6700)など3者は、岩手、宮城両県の三陸沿岸で冬から春にかけ、親潮の前線域(潮目)にイサダが多く集まる特性に着目し人工衛星の観測データを使ってイサダ(ツノナシオキアミ)漁を効率化するアプリケーション(ウェブサービス)の開発を進めている。海面水温から漁場が形成される場所を1時間ごとに推定し、リアルタイムでスマートフォンなどに示す。水揚量アップのほか、燃油コスト削減や鮮度を生かした新産業創出などが期待される。
理工エンジニアリング(株)(高知県高知市、有光功社長)は中~大型魚に対応する新型のフィレマシン HS―10CW 型を完成させた。最大の特長は、これまで処理が困難だった三角骨を持つ魚種にも対応できるようにしたことで、スケソウダラやマダラのフィレ加工を可能にした。漁獲量が低減する一方で、地域によっては今まで見られなかった魚種が獲れるようになるなど予測が困難な時代。有光功社長は「このマシンがあれば、中型からある程度の大型魚までカバーできる」と自信を示している。
青森産技食品総合研究所(八戸市)と水産研究・教育機構(横浜市)は画像センシングを活用した魚種・サイズの自動選別技術を開発し、14日、実証試験の様子を公開した。AI(人工知能)の手法の一つである機械学習を用いることで90%以上の精度で魚種判定を行い、同時に画像データからサイズを高精度に計測。県沿岸で漁獲されるサケやサバ、ワカシ(ブリの未成魚)など約40魚種の自動選別を可能にした。水揚げ現場に導入されれば生産性を3割高められるといい、作業の省力化や人手不足の解消に向け実用化が期待される。
北海道産のマダラは日本海沿岸の減産を受け、加工向けの価格が昨季に比べ上昇している。主力のサンマが薄漁に陥り、道東の加工業者の仕事買いも影響。仕向先の大半を占める加工相場の強含みに連動する形で、札幌市中央卸売市場の生鮮相場も堅調な値動きを示している。ただ、タチ(白子)を中心にコロナ禍で外食需要が鈍化しており、日本海側が昨季同様の増産基調に転ずれば一気に値崩れも想定され、不透明感も抱えている。
野付尾岱沼の根室海峡共同海区は、29号巽沖造成、29号外海造成、野付単有の3海区が今年の操業を開始した。空貝が多い漁場もある中、昨年並みの日産180~200トンペースと順調な水揚げ。浜値はキロ200円台中盤で推移している。
高水温やホッケ食害が原因とみられる促成種苗の芽落ち・損傷が発生した南かやべ漁協で復旧作業が進んでいる。余分に残していた種を差し直したほか、移植を始めた着業者も。15日には種苗センターで新たに生産した種が希望者に分配された。着業者は「可能な限り回復させたい」と前を向く。
岩内郡漁協の底建網は昨年11月以降、シケ続きの海況に悩まされている。出漁回数を稼げず苦慮。コロナ禍を受け、ヒラメを中心に魚価安にも見舞われている。
1月上旬は約10軒が操業。中村正紀指導漁業士は「11月からシケが多発している。潮も速い」と説明。「12月は4、5回の操業にとどまった」と続ける。
日高中央漁協浦河地区のタコ着業者は、活出荷で使うネット袋にタコを投入しやすいよう専用の枠を使用、作業の効率化を図っている。
開口状態のネット袋を枠に装着しタコを入れていく。タコ縄に着業する第八桃進丸の辻克人さんは、枠上部を斜めに角度を付け、よりタコを投入しやすいよう工夫を施している。
横浜市立大大学院や慶応義塾大、水産研究・教育機構、理化学研究所の研究者でつくる共同研究チームは、深層学習を用いた太平洋クロマグロの卵のふ化予測に成功した。産卵直後の卵がふ化するか否かを高精度に予測可能であることを示した。この技術を用い、質の高い卵のみを選択してふ化・飼育することで、効率的に種苗生産できることが期待される。
八雲町の老舗みそ・しょうゆメーカー、服部醸造株式会社(電話0137・62・2108)は自社製調味料を核に北海道産食材にこだわった食品開発にも取り組んでいる。昨年は地元・噴火湾産ホタテを使ったレンジ調理の炊き込みご飯を商品化。時短・即食需要にアプローチしている。