未利用資源に光―――。ナマコの一種で、これまで利用価値が低かった根室産キンコ(地方名・フジコ)が今秋から乾燥製品で上海など中国市場に流通する。釧路市の水産加工業者が9月から本格加工に乗り出しており、11月以降に製品化、順次出荷する。今季は300トン規模の取り扱いを予定。これまで海に眠っていた資源に価値が生まれ、「新たな商売になった。今後さらに需要が拡大すれば」と着業者の期待は大きい。
道東沖のサンマ漁の水揚げは10月に入っても低調だ。全国の漁獲量は詳しい統計が残る昭和55年以降で過去最低だった平成11年を下回る可能性がでている。主漁場はロシア水域、公海、久慈沖で、道東沖に形成されず苦戦。ロシア水域での操業は漁獲量割当(5万1730トン)を消化し、18日で終漁した。
北海道太平洋沿岸のシシャモ漁が開幕した。胆振管内の鵡川漁協はシケで出遅れたが、十勝管内の広尾、大樹両漁協、日高管内のえりも漁協庶野地区の水揚げは昨年より好スタート。キロ平均単価は各単協とも前年を上回っている。
森漁協のエビかご秋漁が好調だ。ハシリから日産平均2~3トンの水揚げが続き、10月以降も切れずに好漁を維持。一方、浜値は量次第で変動が大きく、例年より多いメスはキロ2000円を割ることもある。
珍味製造販売の株式会社江戸屋は、自社商品、仕入れ商品合わせて300アイテムを扱う。水産素材の減産高値や、農業王国・十勝に立地する強みを踏まえ、農産品、農産物と水産物を組み合わせた商品開発にも注力。ことし創業60年の節目を迎え、今後も新たな挑戦を続けて、商品の安定生産・安定供給に臨んでいく。
北海道の秋サケ定置は今季、平成18年以来の甚大な自然災害に見舞われている。9月中旬の台風17号、10月頭の爆弾低気圧に続き、8日から9日にかけて温帯低気圧に変わった台風23号による暴風波浪の影響でオホーツク、根室海峡などで被害が発生。操業断念に追い込まれる漁場が増大するなど事態は深刻だ。
宮城県南三陸町の志津川湾で10月、天然採苗、シングルシード(一粒種)養殖の「あまころ牡蠣」が念願の事業化となった。採苗分散で殼長15ミリ以上の約3万5000個を確保し、11人が個人養殖を開始。来年6、7月、未産卵の生食用殻付で出荷を予定、注目される。
森漁協で本格化しているホタテ稚貝の本分散作業は終盤戦に入った。へい死や変形貝が少なく成育は順調。大半の漁家が10月下旬~11月上旬で作業を終える。
函館市漁協の天然は9月末に終漁。主力の根崎・石崎両地区は、シケや悪天候に阻まれ、採取日数が昨年より13日減少、マコンブ、ガゴメともに昨年を下回る生産見通しだ。一方、夏場で終漁した促成も主力2地区が振るわず、昨年に比べ根崎が4割減、石崎は2割ほど減るという。
安全・安心で質・量ともに高いポテンシャルを持つ国内のホタテ生産。シケ被害によるオホーツク海沿岸の減産で水揚量の下方修正が余儀なくされたことしは、浜値高騰で玉冷製品価格が大幅に上昇、国内消費は依然として低迷している。今後の生産量や商戦の見通し、流通対策の重点について、道漁連の大谷内優営業第一部長に聞いた。