北海道の秋サケ定置網漁は極度に低水準の水揚げで推移している。善戦地区もなく、全道的に不振の展開。前年比35%減の漁期前予測を下回る記録的凶漁の様相を呈し、浜値は高騰。卵需要のBメスが空前のキロ3千円台、オスの銀が千円台半ばを形成する浜も出てきている。昨年は全道の盛漁水準を支えたオホーツクの斜網地区や根室海峡の羅臼などが振るわず、日本海や大平洋も盛り上がりに欠け、10月に入って9日まで全道の日量千トン以上が皆無。道漁連の集計(速報値)によると、9日現在で前年同期比61%減の9673トンと10月上旬で1万トン割れの近年にない不振に見舞われている。
東京都とNTT東日本株式会社は9月26日、「漁協運営型陸上養殖プロジェクト」に関する協定を締結し、事業の詳細を明らかにした。閉鎖循環式の施設を福生市内に建設し、ヤマメ(サクラマス)を生産する。陸上養殖を活用した教育(食育)や地域づくり(地域交流・観光)、雇用創出を目指し、多摩地域を起点とした新たな地域振興の実現を図る。
北海道の秋サケ定置網は9月が7800トンと前代未聞の1万トン割れとなった。昨年は善戦した中期に期待がかかるが、10月も勢いがない滑り出し。浜値はメスが昨年より3~5割高、根室やオホーツクでは異例のキロ2100円以上に高騰している。道漁連の集計(速報値)によると、昨年は全道で2千トン台となった日曜休漁明けの9月29日が815トンと千トンにも届かず、9月は日量千トン超が23日(1280トン)の1回にとどまり、漁期前予測も下回っている。
北海道で初めて線状降水帯が発生した9月20日から21日にかけての豪雨・突風・高潮が漁業にも深刻な被害をもたらしている。道水産林務部が現在、各振興局を通じて被害状況を調査・集計中だが、盛漁期を迎えた定置網では使用不能となった漁場や操業継続が困難となった漁場も出ている。
大樹漁協の事業部・自営加工場は、大樹さけ定置共同経営体が手掛ける船上活じめ秋サケの拡販に取り組んでいる。塩蔵品(新巻き・山漬け)などの加工品、生筋子の差別化に加え、今季から数量限定で漁業者が厳選出荷した3.5キロ以上の大型サイズを一尾発泡で消費地市場に生鮮出荷。来遊資源の低迷が続く中、沖の水揚げから陸の加工処理まで短時間の強みを生かし、1尾1尾の価値を高める流通対策を続けている。
いぶり噴火湾漁協の秋サケ定置は、全般的に厳しいスタートを切った。低水準のため網入れもそろわない状況の中、シケ後の15日は有珠~礼文地区の6カ統で130尾と多少増加した。一方伊達地区は16日に2カ統で230尾となり、地区間で格差が見られる。浜値は高値基調で、メスが15日にキロ1700円台を付けている。
北海道の秋サケ定置網漁は序盤の9月中旬まで大平洋側主体に漁期前予測を上回る水揚げ。昨年が前年比7割、5カ年平均比1割強と極度に不振だったえりも以西・日高地区が低水準ながら期待のかかる日量ペースを見せている。
北海道の秋サケ定置網漁は今週から全網がそろって本格化する。未知の漁獲量3万トン割れも想定される前年比35%減の来遊予測下、出足の水揚げは日高・釧勝を中心に昨年に比べて良好。浜値は生鮮需要が好漁のサンマにシフトし、高水準ながら昨年より冷静に滑り出した。昨年産の在庫薄、海外産の高値相場などの流通環境を踏まえた売り場の堅守、円滑消流への適正価格の形成が例年以上に試されるシーズン。盛漁期に向かって大所・オホーツクをはじめ日量動向が注目される。
漁業部門(有限会社三水漁業)の定置船「漁吉丸」を持ち、北海道日高のサケ・マスの加工を手掛ける浦河町の三協水産株式会社(小西哲平社長、電話0146・22・2075)は今年から春定置のサクラマスの加工販売に力を入れる。従来の塩切り身に加え、旬期に生原料で製造する「生仕立て」のスモークサーモンを打ち出した。
東京都・豊洲市場の秋サケ生筋子消流は、北海道の定置網漁の水揚げが好スタートを切り、各仲卸業者が航空便、陸送便の入荷品を目利きし、品質や価格帯の幅を広げて販促に乗り出している。ただ、大口の飲食店や量販店ではサンマの取り扱いに力を入れており、生筋子の需要はまだ限定的。近年では冷静な相場で滑り出している。卸値は航空便でキロ1万1千円ほど。定置解禁直後としては近年に比べ千円ほど安値。根室産を扱う仲卸は「今年は荷が集まりやすかった。8月下旬より1500~千円ほど安くなっている。陸送品ならどれも1万円を切るようになった」と手応えを話す。