岩手県の宮古漁協(山根秀幸組合長)が養殖する「宮古トラウトサーモン」の今季出荷が4月28日に始まった。初日は前年の倍となる6.3トン(約3千尾)を水揚げした。秋サケなど主要魚種の減少を打開すべく2019年にスタートし今年で7季目。いけすを1基増設し、計6基で前年実績(225トン)の3割増となる300トンの生産を計画する。増産と安定供給により、ブランド認知の一層の向上を図る。
岩手県の久慈市漁協(木下清隆組合長)は16日、久慈湾で養殖するギンザケ「久慈育ち琥珀サーモン」の今季出荷を開始した。初日数量は昨季比65%増の約4.3トン(3300尾)。生産規模を年々拡大しており、事業化5年目の今季はいけす2基を増設。昨季実績を300トン上回る千トンの水揚げを計画する。20日に発生した地震では久慈港で80センチの津波を観測したが、養殖施設に被害はなかった。水揚げは7月下旬まで続く予定。
岩手県山田町の三陸やまだ漁協(菊地敏克組合長)は13日、山田湾で手がける養殖トラウト「岩手三陸やまだオランダ島サーモン」の今季出荷を開始した。県内の海面養殖では一番早い開幕となる。初日のサイズは2キロを主体に1~2.5キロアップで計7.4トン(約3800尾)、全量入札販売で初値キロ平均1150円。事業化3年目、一層の増産を図るほか買受人と協力しブランド認知拡大に注力。一部に自家育成の稚魚も投入した。
檜山管内で取り組む海面養殖のトラウトサーモン(ニジマス)は、2025年の水揚数量・金額ともに主力のサケを初めて上回った。水揚数量は前年比43%増の86トン、金額は61%増の1億2572万円(税込み)といずれも過去最高を更新。サケやイカなど主要魚種の不振が続く中、地域漁業の代替資源として重要性が増しており、増産体制の拡大と安定化が課題となっている。
道水産林務部は、2026年度のさけ・ます人工ふ化放流計画を策定し、19日に開かれた道連合海区に諮問、承認された。サケの稚魚放流数は道計画が前年度比3109万尾減の7億6432万尾。水産研究・教育機構水産資源研究所(水資研)の計画分を合わせた総放流数は8億9332万尾。海区別で日本海410万尾、えりも以東2604万尾、えりも以西95万尾のそれぞれ減少。近年の採卵実績などを踏まえた見直しで、日本海、十勝釧路、胆振の3増協分の減。
ひやま漁協江差支所の江差サーモン部会は冬場の海水温低下など環境の変化に対応しながらトラウトサーモン(ニジマス)海面養殖に取り組んでいる。4期目の今年度は養殖いけすと種苗の数を倍増。昨年11月に江差港内の直径20メートル、深さ3メートルの大型円型いけす2基に、八雲町熊石から搬入した幼魚1万尾を投入した。給餌作業は部会員11人が3班に分かれ、2日交代で実施。基本的に一日2回、1基(5千尾)当たり1回50キロの餌を与えている。
函館の新たな特産品へ-。函館市漁協の函館サーモン養殖部会が手掛けるトラウトサーモン海面養殖試験が5期目を迎えている。従来の漁港内に加えて今期から外海養殖にも着手し生産規模を拡大、昨期実績(約30トン)を大幅に上回る130~150トンの水揚げを目指し飼育を進めている。オリジナルの餌も開発し品質向上を図る。また、市内にある多目的大型施設のネーミングライツ(命名権)を取得。回転ずしチェーン「くら寿司」とも連携し知名度向上にも注力。松川雅樹部会長は「函館サーモンのブランド価値をより高めていきたい」と力を込める。
ひやま漁協熊石支所の合同会社二海サーモン(高橋聖治代表)が取り組むトラウトサーモン(ニジマス)の海面養殖は例年以上に水温の急激な変化やマイワシの大群来遊などの対策に注力しながら、5月末の水揚げに向けて重量アップを図っている。
秋サケの来遊急減を踏まえ、安定的な増殖事業を推進する中期的方針の策定に向け、道水産林務部は、全道の増殖事業団体や試験研究機関などで構成する「持続可能なさけ増殖事業検討会」を立ち上げた。適切な放流規模など各地域の増殖事業の最適化、親魚の安定確保対策、資源の回復・安定化対策などの検討を進めて方向を見いだす。検討会は全道さけます増殖事業10団体、水産研究・教育機構水産資源研究所、道総研さけます・内水面水産試験北場、北海道定置漁業協会、道水産林務部漁業管理課で構成。2026年度中に4回程度開催し、検討結果は2027年度から5カ年を推進期間とする「北海道さけ・ます人工ふ化放流計画中期策定方針」に反映していく方針。
増殖技術の向上で右肩上がりとなった起点の50年前まで来遊資源が後退した北海道の秋サケ。今年もさらに厳しい状況が想定される中、道総研さけます・内水面水産試験場は海水温の上昇や海流の変化に伴う稚魚放流適期の変化や餌環境の悪化を要因に指摘。水産研究・教育機構の沿岸水温予測システムを活用した大型種苗の適期放流の推進と合わせて環境変化に耐えうる種苗生産技術の開発・確立に取り組んでいく対応策を示した。