福島町の有限会社ヤマキュウ西川水産(湯浅哲社長、電話0139・47・2139)は、イカのとんび(口ばし)を有効活用した商品などの展開で、新ブランド「ウエマチストア」を立ち上げた。商品形態、パッケージなどターゲットに応じて新機軸を創出。訴求力を高めて販売拡大に取り組んでいる。本体のヤマキュウ西川水産はスルメなど乾物卸に特化。「ウエマチストア」は冷凍食品・加工品などを展開していく。「上町」は地元で昔から呼ばれている会社所在地の集落名で「小さい町の小さい集落から新しいものを発信していくという意味を込めた」と湯浅社長。また、今後、水産以外の素材を使った商品開発も計画しており「ストア」と名付けた。
添加物など食品加工資材の販売・開発の青葉化成株式会社(仙台市、石田守社長)は、ホヤに豊富に含まれ脳の調子を支える存在として注目される脂質「プラズマローゲン」を手軽に摂取できるサプリメント「ほやプラ」を10月末から販売開始する。ホヤむき身を原料に、安定化が難しいとされる同成分を独自技術で高品質に製品化。同社はホヤの食用以外の活用を広げ、養殖業増進への貢献を開発目的のひとつに掲げている。プラズマローゲンは人間の脳や心臓などに多く含まれる脂質で、特に脳の働きに重要な関係を持つとされる。同社によると加齢や認知症により脳内の同成分が減少するなど研究が進んでおり、特にホヤには人間と同じ性質のプラズマローゲンが多く含まれることが知られているという。認知症予防や睡眠改善など利活用が期待される一方で、酸化しやすく成分の保持が難しい特性があった。同社はホヤ由来のプラズマローゲン研究を進めていた東北大学未来科学技術共同研究センター・宮澤陽夫教授と共同で、その安定化を模索。以前開発した魚油のDHAを粉末化する技術を応用し、3年の試行錯誤を経て多様な活用が見込める加工原料に仕上げた。
ホタテ玉冷の相場が過去にない超高値を形成している。産地蔵前の3Sはキロ7千円~6千円台後半、今年のオホーツク海の中心サイズとなる5Sでも6千円前後と、前例のない価格帯に高騰した。国内外の水揚量減少に伴う供給不足に加え、依然円安基調の為替相場を背景に、輸出主導型の高値相場が形成されている。しかし欧米では買い渋る兆候も見られ始めており、商社筋は「この辺で頭打ちにさせなければ大変なことになる」と警鐘を鳴らしている。
北海道の秋サケ定置網漁は極度に低水準の水揚げで推移している。善戦地区もなく、全道的に不振の展開。前年比35%減の漁期前予測を下回る記録的凶漁の様相を呈し、浜値は高騰。卵需要のBメスが空前のキロ3千円台、オスの銀が千円台半ばを形成する浜も出てきている。昨年は全道の盛漁水準を支えたオホーツクの斜網地区や根室海峡の羅臼などが振るわず、日本海や大平洋も盛り上がりに欠け、10月に入って9日まで全道の日量千トン以上が皆無。道漁連の集計(速報値)によると、9日現在で前年同期比61%減の9673トンと10月上旬で1万トン割れの近年にない不振に見舞われている。
余市郡漁協のエビかご漁は9月から主漁場を水深600メートルから300メートルの浅海に移し、ボタンエビを1隻当たり日量50~60と混獲のヤナギダコを水揚げ。依然として餌を食い尽くすシオムシの漁業被害により厳しい漁況が続いている。
福島県の相馬双葉漁協は1日、今季のトラフグ延縄漁を開始した。県内外に出荷し、35センチ以上を「福とら」の名称でブランド展開。相馬市では新たな名産としてPRに取り組んでいる。県の速報値によると8日までの水揚量は前年同期比68%減の1904キロ、キロ平均単価は27%高の2890円。出漁隻数も少なく出足は鈍いが、関係者らは今後の漁況に期待を寄せる。漁期は2月まで続く。
札幌市の株式会社ふじと屋(齋藤裕一社長、電話011・787・4155)は、食品脱水シート「ピチット」(オカモト株式会社製)を使った浸透圧脱水製法でふっくら食感に仕立てる干物商品を提供している。今年から北海道産イワシで酸化・腐敗・臭みの抑制効果を持つ魚介類専用処理水を組み合わせた商品も新規に打ち出し、催事販売で好調な売れ行きを見せている。「ピチピチ造り」(登録商標)と名付けた干物はピチットに包んで低温熟成。魚の余分な水分と生臭みを取り除き、うま味を凝縮する。味付けは塩と特製のイワシ魚醤(ぎょしょう)のみ。マホッケを売れ筋に、サバ、ソウハチ、ニシン、サンマ、イワシ、ソイ、コマイ、ハッカクなどの商品アイテムをそろえている。
東京都の株式会社UMITO Partnersが主催する漁業コミュニティ「UMITOBA=ウミトバ」の初となる対面イベントが9月11日、東京都新宿区の明治公園内Parkletで開かれた。全国から漁業者、研究者、料理人、行政ら約50人が参加し、気候変動や環境変化に直面する海の現状と持続可能な漁業について議論した。
胆振管内のむかわ町は「未来につなぐ鵡川ししゃもプロジェクト」を始動し、町魚・シシャモの資源保全と地域の魅力発信に力を入れている。地域団体商標に認定されるなど地域産業を支える主要魚種の一つ「鵡川ししゃも」。近年は資源の減少により、漁獲量は20年が3トン、21年が1.4トンと減産し、休漁前の22年は64.6キロと過去最低を記録。鵡川漁協のシシャモこぎ網漁は、23年から3年連続で今季の出漁を見合わせた。同プロジェクト(PJT)を推進する町農業水産グループの担当者は「むかわ町のシシャモを幻の魚にしないために、まずは町民の意識醸成と再認識を図り、町の事業者や関係団体と連携して地域経済の活性化につなげていきたい」と話す。
ニチモウ株式会社(本社・東京)は3日、富山県射水市、堀岡養殖漁協(同市海竜町)と「いみずサクラマス」の海上養殖事業の推進や地域活性化などに関する連携協定を締結した。これまで培ってきた海上養殖のノウハウを生かし、稚魚・餌料の供給や技術指導、商品開発などを進める。いみずサクラマスをブランド化することで、地場産業の活性化にも貢献していく。