国産サンマのブランド価値を高め消費拡大につなげる「日本産さんま推進プロジェクト」が7月1日に発足した。全国サンマ産地市場流通連絡協議会の下部組織として設立され、発起人である気仙沼魚市場買受人協会の阿部泰浩理事長(株式会社阿部長商店代表)が代表に就任。阿部代表は設立理由について「産地が連携し交流を深めることで需要の底上げにつながる」と説明する。日本国旗をイメージした日の丸の中をサンマが泳ぐプロジェクトのロゴマークは国産の魅力を力強く表現した。阿部代表は「日本産のサンマは近年、マーケットでの存在感が薄れつつある」と危機感を募らせる。以前は「鮮魚をはじめ冷凍や干し、缶詰など加工製品が一年を通し店頭に並び、日本の魚食文化の象徴といえるほど食卓になじみの深かったサンマだが、近年は旬の時期だけ注目される魚種になってしまった」と説明。「他魚種の商品が増える中、常に売り場にある魚種に戻していかないと消費は回復しない」と続ける。
東京都・豊洲市場のマイワシ消流は千葉県・銚子産が主力の展開となっている。昨年は北海道産と青森産が中心だったが、今年は安定供給に加え、数年ぶりに脂の乗りが良く、青魚の主役の座を獲得している。銚子産の組成は90~100グラム中心。入荷状況にもよるが、相場は良品の4キロ38~40尾がキロ800円。取り扱う仲卸業者は「近年は脂が薄い状況が続いたが、今夏は脂がある。北海道産の同サイズと比べて銚子産の方が安く、近場なだけに鮮度も高い」と評価している。
礼文島のバフンウニ漁は資源状況が芳しくないことに加え、シケも多く水揚げは苦戦。着業者は「将来の資源となる小さい個体も少ない」と憂慮する。薄漁を映し浜値は高騰している。
ザ・キャピトルホテル 東急(東京都千代田区)は7月29日、「食のキャピトル、サステナブル~未来へつなぐ一皿を~」と題したプレス懇親会を開催した。注力する持続可能な食材調達について、曽我部俊典総料理長らが取り組みを紹介。だしをとった後の昆布の活用やサステナブルシーフードの採用など未来を見据えた料理の提供などを示した。
漁済連は7月24日、東京都内で6月の通常総会で会長に就任した奈良満宗谷漁協組合長(道共済組合長)の新任会見を開いた。岩下巧専務理事ら役員も出席し、経営方針や抱負などを語った。漁業者のセーフティネットとして安定的に機能する制度を維持していくことが「組織の使命」と示した。奈良会長は自身が漁業者で、浜の思いが制度に反映されることを望んでいることを強調。「かつて、ホタテの大暴落や爆弾低気圧などの自然災害に直面した際、漁師として『ぎょさい』があって助かったという思いがある。直近ではコロナ禍など今までにない事態にも対応した」とし、共済制度の必要性を訴えた。
ロシア極東カムチャッカ半島沖で7月30日に発生した巨大地震による津波で、宮城県気仙沼市ではカキ養殖施設に被害が及んでいる。湾内の有人島・大島では養殖いかだの転覆や流出被害が確認されており、漁業者は「東日本大震災からようやくここまで戻ってきた矢先だったのに」と肩を落とす。津波注意報が解除され、1日に復旧作業を開始。宮城県などは県全体の詳細な被害状況の把握を進めている。
ここ数年、カラフトマスの水揚げが伸び悩む網走漁協のマス小定置は、低水準ながらも昨年よりやや多いペースでスタートした。一方、海水温が高めに推移しているため、着業者らは今後の漁況に不安を感じている。
日高定置漁業者組合(佐藤勝組合長)は今年度から環境保全対策事業「『さけの里』森づくり」に着手した。生業・定置網漁の主力魚種・サケの資源造成を担うふ化場の運営に不可欠となる増殖用水・地下水(湧水)の安定確保で森林の「水源かん養機能」を考慮し、施設内に植樹。10年計画で全10カ所の増殖施設に実施していく。定置網漁業経営の組合員47人が賛同し、苗木の購入費を拠出。植樹木は保水能力を有することに加え、寒冷地に適応・生育可能で成長が早い早生樹「春蘂柳(はるしべやなぎ)」を選定した。
礼文島の天然コンブ漁が最盛期を迎え、自由操業での採取が進んでいる。今季はナギや天候に恵まれない日も多いが、島全般的に繁茂状況が良く、着業者は「順調に水揚げできれば」と力を込める。
サロマ湖3単協(湧別・佐呂間・常呂)で稚貝の仮分散が始まった。採苗器の付着は良好で、成長も良く、十分な数量を確保できる状況。採苗不振で苦戦した昨年とは異なり、3単協とも7月後半から例年通りに開始した。一方でシュウリガイ(ムラサキイガイ)など付着物が多く、高水温の傾向にあるため、慎重な作業を心掛けている。