改正漁業法が12月1日に施行された。水産資源の減少で生産量や漁業者数が長期的に減少傾向にあることを受け、資源管理や漁業許可、免許制度など漁業生産に関する基本的制度を一体的に見直し、「資源の持続的活用」と「水産業の成長産業化」の両立を目指すのが狙い。ただ、既存の漁業者が従事してきた漁家経営への影響を危惧する声も少なくない。施行当日の1日には沿岸漁業者ら有志が東京都内に集まり、改正漁業法下の新たな資源管理がもたらす影響について考えるフォーラムが開かれた。漁業者の暮らしと漁協経営が守られる資源管理の在り方について意見を交わした。
いぶり中央漁協のスケソ刺網は不漁だった昨年を下回る低水準の漁模様で推移している。10月の薄漁が響き、11月末現在で数量が前年同期比51%減の1660トンと振るわない。ただ、群れが岸寄りに来遊している傾向が見られ、12月中の好転に期待もかかる。一方、低調な水揚げから浜値は上昇、地元の加工会社は高値仕入れを余儀なくされている。
岩手県釜石市で産官学連携によるサクラマスの養殖実証試験が始まった。釜石湾で稚魚から出荷サイズまで育て、陸上では種苗開発に挑戦する海面・内水面一体のプロジェクト。秋サケなど主要魚種の不漁が続き、県内でギンザケやトラウトサーモンの海面養殖試験に乗り出す動きが相次ぐなか、県民になじみ深い国産種で独自性を打ち出し競争力強化につなげる。初水揚げは来年5月を予定。2023年9月まで3期にわたって試験を行い、事業化の可能性を見極める。
今年度の陸奥湾地区水産振興研修会(一般社団法人青森県水産振興会主催)が1日、青森市の県水産ビルで開かれた。青森産技水産総合研究所ほたて貝部の小泉慎太朗研究員は「ホタテガイの異常貝発現メカニズム」と題して講演。異常貝は外套膜(ヒモ)のけがのほかに物理的衝撃によっても現われるとの試験結果を示した上で「異常貝やへい死を減らすためには『ホタテにけがをさせない』という意識を持つことが大切」と呼び掛けた。
様似町の丸富水産(株)(髙橋求幸社長、電話0146・36・3221)は、ボイル、ブランチングを主体に通年でタコの加工を手掛け、全国に販売している。特に近年は主力商材・秋サケの水揚げ低迷が続き、第二の柱を強化。町のふるさと納税返礼品など個人向けに調味付けも商品展開している。
捕鯨国内大手の共同船舶(株)(所英樹社長)は国産鯨肉の価格向上とアイスランドからの輸入再開を目指している。昨年7月に31年ぶりに再開した商業捕鯨で、水揚げの中心になったニタリクジラの需要の底上げに力を入れる。またアイスランド産(ナガスクジラ)の輸入元の三坂商事㈱と提携して、国内の流通量を年間5500トンと倍近くに押し上げたいとしている。
共同船舶は10月2日に都内でニタリクジラの商流や漁模様などを説明する勉強会を開いた。
えさん漁協日浦・尻岸内地区のマダラ一本釣りは、11月末に水揚げが一気に上向いた。日量が500キロ超えの船もあるなど好漁で、浜は活気に包まれた。ただ浜値は弱含み。着業者は「コロナの感染拡大も相まって、かなり安い」と嘆く。
道南白口浜で、養成綱に挟み込んだ促成の種苗が芽落ち・損傷する被害が出ている。主にホッケの食害とみられ、同様の被害を受けた一昨年より規模が大きい模様。高水温による生育不良も重なり、全滅に近い施設もあるという。種苗の差し直しや、成長後の移植で回復を目指すが「完全復旧は難しい」と厳しい見通しを示す着業者もいる。
歯舞漁協のロングセラー商品「はぼまい昆布しょうゆ」が今年、1990年の販売開始から節目となる30年を迎えた。誕生当時は漁協による商品開発が珍しい時代。地道な営業活動に加え、テレビCMや地域団体商標を取得するなどし、今では全国区のブランドとして存在感を発揮している。
網走湖産ヤマトシジミの資源回復を目指し、西網走漁協のシジミ部会、青年部が中心となって行った人工種苗生産は、650万粒を確保し10月末に放流した。同漁協は「陸上養殖の課題を精査し次年度につなげたい」と継続に意欲を示している。