東日本大震災と東京電力福島第一原発事故で被災した水産加工業者のうち、「売り上げが震災前の8割以上に回復した」と答えた福島県の事業者は21%(前年度比7ポイント減)と低い水準にとどまることが水産庁の2020年度のアンケートで分かった。宮城県は57%(同1ポイント増)、岩手県は51%(同7ポイント増)と回復基調にあるものの、被災3県の販路が依然広がっていない実態が明らかになった。
不漁が続く三陸のイサダ(ツノナシオキアミ)漁が予定の漁期を待たずに終了した。漁業情報サービスセンター(JAFIC)によると岩手、宮城両県の今季水揚量は計4112トン(前年比2.1倍)。2年連続の不漁に伴う在庫薄を反映し、1キロ当たりの平均単価は231円(同2.4倍)と高騰した。
イサダは養殖魚や釣りの餌となるほか、健康維持効果のある成分を含むことからサプリメントの原料にも使われるなど近年需要が拡大している。
羅臼漁協のバフンウニたも採漁は3月の操業日数が伸び、数量・金額は昨年を上回るペースで推移している。うに漁業部会の濱田久吉部会長は「餌となるコンブなど海藻類の繁茂状況が芳しくなく身入りが悪い。それでも操業回数でカバーしている」と説明する。
東京電力福島第一原発で増え続けるALPS(多核種除去設備)処理水の処分について、政府は4月13日、関係閣僚会議を開き海洋放出の方針を正式決定した。これに対し、JF全漁連の岸宏会長は即刻、方針決定に抗議する声明を発表。説明や代替案、支援策を国に要求。断固反対、徹底した抗議の姿勢を崩さないでいる。多くの水産関係者からも「到底容認できるものではない」との声が挙がっている。
名古屋大学や水産研究・教育機構、総合地球環境学研究所の研究者らによるグループは、仙台湾に生息するヒラメを検証し、生活履歴が異なる2つの集団が存在することを明らかにした。ヒラメの生活環の一端が解明されたことで資源保護に役立てていく。また、今回の分析手法を他魚種でも活用し、その生活史や行動、集団の構造解明への見通しも得られたとしている。
留萌管内のエビかご漁が3月に始まった。主力のナンバンエビは北るもい、増毛漁協とも低調な水揚げ。1航海で日量千箱に届かず本来の漁模様には程遠い状況。中心サイズの小はキロ1500円前後と安値基調。薄漁に加えコロナ禍の魚価安が追い打ちを掛けている。
大樹漁協のサクラマス養殖実証試験は2年目を迎える本年度、養殖規模を拡大して取り組む。いけすを3基加え4基体制に拡充、シケ対策も講じる。また飼育尾数も昨年度を大きく上回る2千尾以上とするほか、自動給餌装置も導入する。昨年末の試食会では好評で、今年度は身色や脂乗りを意識した飼育にも注力、さらなる品質向上を目指す。
潜水用スーツなどの製造販売・修理を手掛けるカンバラ(広尾町、勘原賢三代表、電話01558・2・4876)の「拾いコンブ用かっぱ」が日高管内中心に普及している。袖部分に防水性などに優れるネオプレンゴムを取り付け、海水の浸入を防いだつくりが特長。昨年からはかっぱ本体を厚手で丈夫なものに切り替えた。
昨年12月1日施行の改正漁業法に伴い、オホーツク海沿岸(宗谷、オホーツク、根室海峡)でホタテを漁獲する小型機船底びき網漁業の漁船規模が、従来の15トン未満から20トン未満に引き上げられた。これを受け、新船に順次更新中の常呂漁協が2隻を適用。このほど第八十一ところ丸がオホーツク初の20トン未満船として進水・回航した。
網走漁協のホタテ稚貝養殖船「第十八翔由丸」(15トン、アルミ)がこのほど竣工、4月14日に母港・網走港でその雄姿を披露した。操作性・安全性の向上はもとより稚貝出荷作業の効率化を重視。船主のほたて養殖部会副部会長・田口公司さんは「希望通りの船体に仕上がった。前船より大型化し安定性も増している」と大満足。5月末に始まる稚貝の出荷作業で本格デビューする。