利尻漁協沓形地区でコンブ養殖を営む中辻漁業部(中辻清貴代表)は人材育成と併せた養殖規模拡大を視野に入れている。中辻代表の下で5年間経験を積んできた平川力樹さんを筆頭に、同漁業部で働くメンバーが着実に成長。新たに迎え入れた新規就業者にも漁業技術や思いを伝えて組織力を強化、増産につなげる考えで、乾燥施設を1棟新設する計画。既存の大型施設2棟と合わせ計3棟での生産体制を構築し「水揚げを今の倍くらいまで増やしたい」と展望を示す。
「守りぬく 光輝く 豊かな海」をメインテーマに「第1回北海道豊かな海づくり大会」が1日、小樽市で開かれた。厚岸町で2023年9月に開催された「第42回全国豊かな海づくり大会北海道大会」を契機に大会の理念を全道に広く波及させ、オール北海道で取り組みを推し進めるために北海道主導で初開催。小樽水産高校の研究発表や大会宣言などの式典行事、ニシン種苗の放流行事などを通し、日本の食を支える北海道の海の幸と豊かな海を守り育て次世代に引き継いでいくことを再確認するとともに、北海道水産業界の決意を道内外に発信した。
宮城県の気仙沼魚市場がカツオ一本釣漁船によるビンナガの水揚げで活気づいている。今季は昨年より4日早い5月17日に初入港があり、30日には12隻が合計797トンを水揚げ。4日にも一本釣漁船13隻、巻網漁船1隻が入港し今季2度目の750トン超え、水揚げ高2億9700万円。加工原料など引き合いが強く、キロ平均単価は400円を超える好調な出足となっている。
後潟漁協で理事を務める西谷水産の西谷文昭代表(第八正栄丸)は、マボヤ養殖のロープに付着したムラサキイガイの商品化に乗り出した。漁獲対象外のイガイをマボヤ出荷時に取り込みきれいに磨き上げ、大・中・小の3サイズに分類し販売。主に関東・関西の飲食店から高評価を獲得しており、昨年から活貝販売に注力している。
東京都・豊洲市場の真ツブ消流は相場が下落後に安定している。主力産地・厚岸からの入荷が順調で、落ち着いた水準となり、飲食店での利用拡大につながっている。サイズ別の価格差も明確になり、用途に応じた使い分けが進んでいる。4月以降、相場が下落傾向となり、飲食店でも利用しやすい状況が生まれている。6月2日時点では5キロ入り12~13玉でキロ4千円。仲卸業者は「相対で少し値引きしてもらえれば、顧客に4千円で供給できる。売れて店頭在庫が減ったので、ひと回り小さいホッキの箱に入れ替えて展示している」と話す。
神奈川県の三崎漁港から鮮魚を供給している活々水産合同会社(大庭剛代表)がシンガポールの高級すし店への出荷に注力している。品質重視の戦略で信頼関係を構築し、週3~4回の定期供給体制を確立。SNSを通じた情報発信と顧客との直接的なコミュニケーションもリピート注文の要因になっている。納品先は「鮨 龍次郎シンガポール」。責任者・池田成樹料理長から「ぜひ店舗で使いたい」との依頼を受け輸出を始めた。
水産庁は6日、2024年度の水産白書を公表した。特集では海洋環境の変化による水産業への影響と対応について取り上げた。海洋環境の変化が、水揚量の減少や出漁の見合わせなど漁業経営への影響となっているが、利用可能な資源への転換、新たな漁法の導入など水産業を持続させるために着手している取り組みについて示した。白書を通し、広く国民の関心を促し、日本の水産業について理解してもらうことを目指している。
斜里第一漁協の斜里漁業生産組合(佐藤寛之組合長)は今年の春定置から自船「みくに丸」で水揚げした漁獲物の鮮度保持で、ワイヤーを使った神経じめや胃洗浄に乗り出した。同業者の実践成果などを踏まえ、従来手掛けてきた血抜き、脳じめに新たな処理方法を付加。サクラマス、トキサケの価値向上を試行している。
「イカがいない」-。函館のスルメイカ釣漁が1日に始まったが、出足は水揚げゼロの船もあり、市場入荷がない異例の幕開けとなった。道総研函館水産試験場の漁獲調査によると日本海側の分布密度は極めて低く、今年も厳しい操業が予想される。
日本昆布協会は2日、石川県金沢市のANAクラウンプラザホテル金沢で通常総会を開き、輸入昆布や消流宣伝といった本年度の事業計画や収支予算などを報告した。また、任期満了に伴う役員改選を行い、新会長に瀬川靖副会長(瀬川食品株式会社社長)を選任した。