全漁連は20日、東京都内で通常総会を開き、2023年度事業報告、24年度事業計画など全議案を承認した。また、今年度を初年とする第7期中期経営計画(24~28年度)を策定。漁業や漁村を取り巻く環境が依然として厳しいなか、状況を注視しながら、漁業者が安心して操業できるような環境づくりに努めていくことなどを共有した。
歯舞漁協あさり部会は4月11日の操業終了後、例年同様にトーサムポロ沼の漁場整備に着手。6月上旬まで稚貝の採取や移殖、砂の補充、害敵のタマツメタガイ類を駆除。来季に向けてアサリの成育環境を整えた。長山吉博部会長は「約2カ月間で潮回りの良い日はほぼ漁場整備に費やした」と話す。
ひやま漁協熊石支所のいさり樽流漁は7~8隻が着業。日によって船間で漁獲差があり、主体のミズダコは各船が昨年を下回る日量で低調に推移している。
砂原漁協のカレイ刺網は、アカガレイ、ソウハチの水揚げが振るわず、カレイ類全般に安値基調のため、堅でキロ千円台を付け、依然として混獲量の多いオオズワイガニで補っている。ただ最近は脱皮後の若が増加し軟調に推移。水揚げの7~8割を占めるため金額は伸び悩んでいる。
道総研さけます・内水面水産試験場は21日、今年の北海道の秋サケ推定来遊数を昨年実績比24.5%減の1702万9千尾と発表した。予測通りの場合、3年ぶりに2千万尾を下回り、平成以降最低水準に後退。沿岸漁獲量は5万トンに届かず、親魚の不足地区も見込まれ、定置経営、増殖事業とも厳しい状況が続く。昨年沿岸来遊に影響を及ぼした高水温の海況も懸念される。
今年のラーバの発生状況は、全道的に少ない傾向だ。浮遊幼生の出現は終盤に入っているが、例年より遅れている可能性もあり、漁業者は6月末まで採苗器への付着を期待している。
定置網漁を営む有限会社道下漁業(岩手県大船渡市三陸町越喜来、道下晃嘉社長)の新造船「第十八正伸丸」(アルミ製19トン)が竣工した。国内の定置船で初めて、軽くて高強度で燃費向上につながるカーボン素材のプロペラを導入。荷役作業を省力化するスクープマスターや夜間航行をサポートする暗視カメラも備える。最新技術を詰め込んだ新鋭船で大々漁を目指す。
青森県漁連(二木春美会長)は17日、青森市の県水産ビルで2024年度通常総会を開き、23年度の事業報告や収支決算などを承認した。23年度の総取扱高は計画比99%の295億3506万円で、計画をほぼ達成したものの前年度と比べ45億8553万円(13%)のマイナス。スルメイカやホタテの不漁が響いた。昨夏の高水温による大量へい死の影響でホタテの24年度取扱高が前年度から半減し、70億円を割る見通しも示された。
道漁協系統・関係団体は13、14の両日、札幌市の第2水産ビルで通常総会を開き、2023年度事業・決算報告と24年度事業計画を承認した。全道組合長会議では「将来に繋ぐ 北海道漁業の構築」を目標に、福島第一原発ALPS処理水の海洋放出に伴う漁業被害対策、持続的漁業のための資源管理・資源増大対策、漁業経営基盤の安定・強化対策、漁場環境保全対策の4項目の決議を採択した。早期実現に向け、14日の道・道議会を皮切りに要請活動を展開していく。
食品卸、地域商社の株式会社かね久(仙台市若林区、遠藤伸太郎社長、電話022・353・7697)は、おいしく食べられるのに調理の難しさや見た目の悪さから市場に出回りにくい魚などを活用するプロジェクト「みらい・バリュー・TOHOKU」に取り組む。産学官共創で付加価値の高い加工品を開発、販売。環境や人、社会に配慮した商品やサービスを選ぶ「エシカル(倫理的)消費」に対応した東北発のブランド確立を目指す。