鹿部町は2022年度から試験的にアオノリ(スジアオノリ)の陸上養殖に取り組んでいる。道内では初めての試みで、先進地高知県の高知大との共同研究。鹿部漁港に設置した水槽で培養液を添加しながら養成、初年度は10回収穫し養殖期間などを検証する。23年度以降は漁業者が主体となって事業を進め、培養技術の確立や販路確保を目指す。天然コンブをはじめ浅海資源が減少する中、新たな漁業種の創出に期待がかかる。
函館の新たなシンボルに―。函館市漁協のサーモン養殖部会は、2022年春の水揚げを皮切りにトラウトサーモン(ニジマス)のブランド「函館サーモン」の海面養殖に挑戦している。前浜での漁業はスルメイカの不振など苦境が続く。国内でも有数の食と観光の都市の新たな水産資源に育て上げようと、漁業者や水産加工会社が奮闘している。
マルハニチロ株式会社は、さまざまなテーマや物事を掛け合わせることで、魚の新たな価値や可能性を生み出すアクション「SAKANA ×(サカナクロス)-魚と、その先へ-」を昨年始動した。第1弾がスポーツとの「クロス」。2年目の今年はより幅広いテーマとのクロスを本格化させ、魚食拡大につなげていく。
約8万トン、3千万尾に水揚げが急回復した北海道の秋サケ。越年在庫が低位、輸入物の高値基調などを背景に全道のキロ平均単価(11月20日現在)が前年比1割安の704円と魚価も堅調で、水揚金額は600億円に伸長した。ただ、各海域とも昨年を上回ったものの、太平洋側は依然低水準。背面処理能力の低下もあらためて浮き彫りとなった。一方、消流は親、卵とも供給急増下で高止まり。年末需要期の消費促進、来季に向けて売り場の拡大、在庫の適正化が焦点となる。
ひやま漁協乙部支所ナマコ協議会の加工部門は来年2月にも、延縄で漁獲される前浜産スケソの卵を使った塩たらこ製品を、乙部町内の売店で地元住民向けに売り出す。また、新たな加工場も近く完成し、早ければ1月中にも稼働する見通し。
噴火湾で10月からマボヤの水揚げが進んでいる。仕向けは全量、韓国輸出。成育は安定しており1軒当たり1回に2~8トン前後、年間40~60トンの水揚げ。一方生産者はじめ関係者は、来年の福島第一原発ALPS処理水放出後における流通環境に大きな不安を抱いている。
南かやべ漁協の木直・尾札部両地区が主力の2年養殖は、生育不良でコンブがほとんど付いていない施設も多く、来夏大幅な減産を見込む着業者もいる。木直地区の着業者は「全般的に生育状況が悪く9割は死んだ。水温が影響したのではないか」と話す。わずかに残った箇所も長さが短く生育は不十分。「本来今時期は生育良好な種コンブを選びのれんに挟み込む作業を行うが、今のところ使えるコンブがほぼない」と状況を説明。「今後どれだけ成長するか様子を見て良ければのれんに付ける」と考えを示す。
野付尾岱沼の根室管内5単協(歯舞・根室・根室湾中部・別海・野付漁協)共同海区が1日にスタートした。29号巽沖造成(16隻)が日産100トン、29号外海造成(11隻)が同20トンペース。浜値はそれぞれキロ500円台、300円台と昨年より2~4割高で推移している。
コミュニケーション・リンク株式会社(仙台市若林区、山本邦雄社長)は、有害物質を含むため多額の費用をかけ廃棄されてきたホタテの中腸腺(ウロ)から有用成分のエキスを抽出できる高圧熱水処理装置「MPシリーズ」の本格販売を開始した。液体状の抽出エキスは養殖魚の餌食いを活性化するグリシンなどが豊富。水産加工残さを資源化することで、廃棄コストの削減や新たなビジネスの創出も期待される。
陸奥湾ホタテ加工最大手の株式会社マルイチ横浜(青森県野辺地町、横濱充俊社長)が、グループ会社全体の売り上げを大きく伸ばしている。資本業務提携を締結した株式会社八戸フーズ(八戸市)に冷却殺菌海水を供給することで、魚類のすしだねなどホタテ以外の販売が急拡大。今期の年商は90億円まで増え、来期は100億円に達する見通しだ。