宮城県石巻市で2016年に設立、震災復興の歩みを地域ブランドの構築に変えてきた水産加工業者らの協同事業「石巻うまいもの株式会社」(木村一成代表、湊水産株式会社代表取締役)。参画10社が会社の垣根を越えた「バーチャル共同工場」を構成し、18年発売の「石巻金華茶漬け」シリーズは累計250万食を突破。「石巻金華」の統一ブランド認知を広げてきた。設立から10年、順調の要源流は「競合ではなく共存」にあった。
近年のライフスタイルや物価変動などを背景に、道産水産物の特産品のマーケティングやトレンドも大きく変化している。首都圏を中心に展開する北海道公式アンテナショップ「北海道どさんこプラザ」や、道内で道産品セレクトショップ「きたキッチン」を運営する株式会社北海道百科(社長・桑折功)営業本部の坪根淳道外事業部長と、中村健人バイヤーに運営ショップから見た最近の動向を聞いた。
胆振管内白老町(町長・大塩英男)のホッケ陸上養殖実証実験は、学生インターンの活動で取り組みを加速している。26年度の養殖ホッケ初出荷を見据え「生産体制」「収益性」「町内認知」の3つを問題提起し、町内のニーズ把握や関係構築を推進。町の担当者は「学生の力で将来ビジョンがより明確になった」と成果を実感している。
浜中町のNPO法人霧多布湿原ナショナルトラストは、豊洲市場など消費地で高い評価を獲得しているブランド「浜中養殖うに」の魅力を伝える「冬のウニツアー」を実施している。ウニの殻むきを体験、丼にして味わえるほか、ウニ種苗生産センターや加工場も見学できる「ウニ三昧」の内容で好評を博している。また、昨年はコンブ干し体験や花咲ガニを食べられるツアーも初開催、町で水揚げされる水産物に触れ理解を深めてもらう機会を創出した。
2025年の玉冷消流は、円安基調の為替相場を背景に欧米やアジア勢の堅調な買い付けが継続し、輸出主導の展開に拍車を掛けた。産地蔵前の製品相場は3Sがキロ7千円と過去最高値。オホーツク海の中心サイズとなった5Sでも6千円程度と前例のない水準に高騰した。しかし同年後半の輸出は米国の買い渋りも見られ軟調傾向に。26年の生産量も国内外で低水準と予想される中、中心サイズが小型となれば在庫がだぶつく可能性を指摘する関係者は多く、現状相場でのシーズン入りに警鐘を鳴らしている。
食品包装容器の製造・販売大手の中央化学株式会社は、新しい折箱の形として紙製のサステナブル容器SKS(Stackable Kraft Paper Sustainable Tray)を開発した。環境に配慮するとともに、プラスチックには出せない色合いや、従来の紙容器ではなかった重ね陳列の機能や嵌合性の高さを実現させた。すし用で始まった開発は、機能をさらに改良し、日本向けに適応した容器が完成。冷食市場にも順応し、ユーザーの支持を獲得している。
減産傾向が続く北海道のコンブ。2025年度の生産量は、異例の大減産に見舞われた24年度(8213トン)に比べると回復するものの、過去10カ年平均(15~24年度、1万2978トン)を下回る低水準となる見込み。北海道のコンブ生産量は19年度から4年連続で過去最低を更新。22年度は1万970トンまで落ち込んだ。23年度は1万2245トンと若干回復したものの、24年度は、前年夏以降の海水温上昇により太平洋側海域を中心にコンブの付着力が低下して流出し資源状況が悪化したことなどが影響し、初の1万トン割れに低迷した。
40年奉職した道信漁連を2024年3月に定年退職した市原宏行さん。通算22年の電算システム担当で各漁協と関わり、6年の広報誌「マリンバンク」担当では全道の浜を訪ね歩いた。第2の人生で「お世話になった漁協・漁業者の一助に」と、昨年からその浜との縁を紡ぐ事業に乗り出している。漁業者の身体をケアする「足圧」の出張施術やホタテを中心に「キッチンカー」による消費拡大。今年は活動地を広げるほか、漁協女性部とコラボした販売などの進展も構想している。
静岡県で漁業者向け製品を販売する焼津漁具センターは、道東沖のクロマグロを狙う新規着業者が増加している動きを受け、漁具の提案を強化している。マグロ漁場の北上に伴い、昆布森や厚岸などの漁業者から一本釣り漁具の引き合いが増大。実績のある疑似餌や信頼性の高いハリスなど初めてマグロ一本釣りに取り組む漁業者を後押ししている。
ホタテ養殖の稚貝生産を手掛ける網走漁協の城戸貴裕さん(37)は、2025年6月からタコ箱に新規着業し、漁業経営の幅を広げている。以前から「挑戦したかった」と考えていたタコ箱漁。「箱に入って揚がってくるミズダコを見た時にはテンションも上がった」と回想する。今年は規模を拡大し「いろいろな箱で試してみたい」と目を輝かせる。