7月1日付で、水産庁長官に森健(もり・たけし)消費・安全局長が就任した。神谷崇長官は同日付で退職した。森新長官は1964年6月生まれの59歳、愛知県出身。
いぶり噴火湾漁協の毛ガニ漁は、各地区とも苦戦を強いられている。日量は1隻30~50キロと極端に少なく、異常発生しているオオズワイガニが大量に掛かる状況に着業者は頭を抱えている。浜値は大がキロ7千円台と例年以上の高値を付けているが薄漁のため金額は伸び悩んでいる。
厚岸漁協のホッカイシマエビかご漁は開始から1カ月が経過。序盤の漁模様について奥野広勝厚岸ほくかいえび篭漁業班長は「好漁だった昨年に比べると落ちる」と話す。例年後半にかけて徐々に大サイズが増える傾向にあるため、今後のサイズアップに期待を寄せている。
日高沖で大量発生しているオオズワイガニが日を追うごとに漁業者の経営を圧迫している。特別採捕許可を得た日高中央漁協での捕獲やえりも漁協でのエビかごなどでの混獲で水揚げが集中。安価なカニとして注目を集める一方、漁業者は「『本業』の水揚げを補うのは無理。この状況が早く終息しないと、漁業を続けるのが難しい」と本音を吐露する。
釧路管内のさお前コンブ漁は、全5単協が計画操業日数を消化し終漁した。昨年流氷の影響で操業を見送った浜中漁協は2年ぶりに採取した。値決めは7月11日からを予定している。
有限会社泉澤水産(岩手県釜石市、泉澤宏社長)は6月27日、釜石湾で海面養殖した「釜石はまゆりサクラマス」約8.4トンを今季初水揚げした。事業化初年度の今季は直径40メートルのいけすを2基増設したほか、人工知能(AI)搭載の自動給餌機を導入。はまゆりサクラマスから採卵した種苗も使い、「オール岩手産」を実現した。7月20日まで前季比7.4倍の200トンの水揚げを目指す。
いぶり噴火湾漁協の耳づりは、地区別で垂下した量や成長度に差が生じている。稚貝を収容していたザブトンかごにザラボヤが付着したことで、取り出し作業や稚貝自体の成育にも影響が及んだため。作業はずれ込み、6月半ばまでかかった漁家も少なくない。
地場産業の活性化を目指すスタートアップのReterras合同会社(リテラス、新潟県粟島浦村、本保輝紀代表)は地元漁業者や地域おこし協力隊と連携し、新サービス「粟島鮮魚直送便」を始めた。粟島周辺で獲れた魚を「津本式」で血抜きし高鮮度のまま契約する飲食店や宿泊施設、一般消費者に直送する。
噴火湾北西部と東部海域のホタテまひ性貝毒数値が、6月後半に異常なほど高まった。北西部の長万部では中腸腺の数値が1グラム当たり1800MU(マウスユニット)を超え、道漁連が定める出荷規定(20MU未満)の90倍に上昇。同漁協では1850トンの残存貝を抱えており「出荷のめどが全く立たない」と困惑している。1800MUを超えたのは1989年以来、34年ぶりという。
斜里第一漁協の有限会社北洋共同漁業部(伊藤正吉代表)が今年打ち出したブランドサクラマス「知床桜鱗(おうりん)」が札幌市の飲食店のメニューを彩った。6月16~25日の10日間、6店舗が合同で料理フェアを開催。船上活じめ・胃洗浄などで鮮度保持を徹底、脂の乗りが厳選された素材の妙を生かし、各店が趣向を凝らした料理を創作・提供。丹精込めたサクラマスが料理人の技でグレードアップされ、伊藤代表は「自分らが獲っている魚の可能性が広がった」と価値向上に取り組む意欲を新たにしている。