昆布森漁協青年部(能登崇部長)が試験的に取り組むトロロコンブ養殖。昨夏収穫分は全般的に生育が良く、従来の刻み加工(生)に加え新たに乾燥品も生産した。
天然資源が減少する中、養殖の可能性を探るため釧路地区水産技術普及指導所の協力で数年前に開始。昆布森漁港内に施設を設置、のし2本で養殖する。
総務省の家計調査によると、昨年1年間の1世帯当たり(2人以上)の昆布購入金額は、富山市が全国主要都市の中で最も多く、6年連続の全国一となった。昆布つくだ煮は、福井市が前年から2つ順位を上げ、4年ぶりの1位に浮上した。両品目とも上位は昆布食文化が根付く近畿・北陸勢が多く、昆布は東北勢も食い込んだ。
浜中町の株式会社北産(和田英雄社長)は浜中産コンブで作る「キリタップ昆布物語」シリーズの新たなブランド「昆布だし」を昨年9月から販売している。11月にローソンの商品アイテムに登録されたのを皮切りに、今後はセブンイレブンでも取り扱いが予定されるなど早くも販路拡大の勢いをみせる。
株式会社マツモト(堺市、松本紳吾社長)の「徳用おつまみ昆布」(内容量100㌘)=写真=が、インターネット通販最大手「アマゾン」の「おつまみ・珍味」部門売れ筋ランキングで上位をキープ、人気を集めている。
アマゾンには5年ほど前から出品。現在とろろなど10品程度出品する中で、売れ行き好調なのが徳用おつまみ昆布。同社は「おつまみ・珍味部門で1位になったこともあり、ここ2年ほど上位にランクインしている」と話す。
日高中央漁協浦河地区の高桑祐大さん・陵さん兄弟は、昨夏のコンブ漁に合わせて中古のユニック付き2トントラック=写真=を導入した。荷揚げなど各現場でユニックをフル活用することで作業を効率化。労力も大幅に軽減された。祐大さんは「漁業は肉体労働。どうすればその肉体を長く使えるかを考えた」と言い「体力的に余力ができた分を拾いコンブなど他の作業に回すことができ、生産向上につながる」と利点を話す。
えさん漁協椴法華地区の岡山潤也さんは自身が養殖する促成マコンブを加工、各種製品をつくる。「大好きな昆布。その魅力を多くの人に伝えたい」と語り、需要が低い若年層を意識した斬新な包装デザインを採用。衛生管理にも注力して製品化する。主力の「千切りビストロ昆布」がヴィーガン(完全菜食主義者)認証を取得したことをきっかけに、関連業者への営業を強化、販路開拓に奔走する。従来柱だった漁船漁業の不漁を背景に開始した6次産業化の取り組みは今年で4年目を迎え、徐々に軌道に乗ってきた。
道漁連と道こんぶ消費拡大協議会はこのほど、小学校の食育授業用に「昆布食育キット」を作成した。原藻や試食・試飲用の昆布など教材一式を同封。地域に限りなく全国各地の希望校に無料で貸し出しする。生徒にだし文化の魅力を伝え、昆布に対する関心を高めるため、見て、食べて、触るといった五感で学ぶ食育授業を提案する。
道総研函館水産試験場は、浜と連携しガゴメの促成養殖試験に取り組んでいる。2019年度は種苗センターを利用した成熟誘導(人工的に子のう斑を形成させる技術)と事業規模での採苗が可能となり、約8000メートル分の種苗を生産した。また、昨年夏の収穫ではえさん漁協日浦地区で品質的に良好な結果が得られるなど着実に前進。新たに戸井漁協の2地区も加わり、夏の収穫に向け養殖試験を進めている。
道南・本場折浜で促成の種付けが11月に終了した。今季はシケが多く、一部で種に雑海藻が絡むなど影響が出たものの、おおむね順調に推移。着業者は今後の生育に期待を寄せる。年明け以降順次間引きを開始、夏の収穫期に向け成長を促す。
利尻・礼文両島の養殖業者は種コンブの巻き付けを進めている。作業が順調に推移し大半の漁家が終漁した地区もある。種の再生状況は地区間でばらつきがあり「今までにないほど良い」との声も。不足した浜も良好な地区からの供給分で補てん、満度に巻き付けられる見通しだ。